「政治の安定や経済発展のために人を殺す必要があるのか」天安門事件33年 真相究明求める“天安門の母”の思い｜TBS NEWS DIG
民主化を求める若者たちが武力で弾圧された中国の「天安門事件」から4日で33年です。我が子を失った母親たちは、当局の監視が続く中でも真相究明を求め続けています。
北京中心部にある天安門。新型コロナ対策の名目で現在、厳しい入場規制が敷かれていますが、西におよそ5キロ進むと…
記者
「ここは33年前の天安門事件で多数の死傷者が出た場所ですが、周辺には公安関係者とみられる人たちが多数確認できます」
1989年、民主化を求める学生に対し、中国政府が軍を出動させ弾圧した天安門事件。死者は公式発表で319人とされていますが、実際は数千人にのぼるとの推計もあります。
84歳になる張先玲さん。33年前、当時19歳の息子を事件で亡くしました。
張先玲さん
「王楠、母はいつもあなたのことを思っています。この件が一刻も早く解決するよう願っています」
カメラ好きだった息子の王楠さん。学生たちのデモの様子を撮影しようと自転車で天安門に向かい、軍の銃弾を受け、死亡したといいます。
遺体は、なぜか現場の近くに埋められていて、後に掘り起こされました。変わり果てた息子と再会することになった張さんは。
息子を亡くした張先玲さん
「母として息子のために証拠を見つけ、何が起こったのかを知るべきだと思いました」
それ以来、張さんは遺族グループ「天安門の母」を立ち上げ、当局による圧力や監視が続く中でも真相の究明を中国政府に求め続けてきました。
しかし、中国政府が責任を認めることはありません。
中国外務省 趙立堅報道官
「80年代末に発生した政治的騒動について、中国政府はとっくに明確な結論を出した」
創立100年を迎えた中国共産党の歴史を総括する「歴史決議」。去年11月の重要会議で採択されましたが、天安門事件について「党と政府は動乱に反対して社会主義国家の政権を守った」と弾圧を正当化しています。
習近平国家主席はこのときの演説で「党と国家の生死存亡をかけた闘争に勝利した」と称賛しています。
息子を失った張さんは憤りを隠せません。
息子を亡くした張先玲さん
「6月4日の弾圧後、国が栄え、経済発展したという議論もある。どこの国が政治の安定や経済発展のために人を殺す必要があるのか。ばかげています」
天安門事件について、張さんたち「天安門の母」は1日、政府を非難する声明を発表しました。遺族の高齢化が進み、他界するケースが相次いでいるといいますが、張さんは「いつか中国本土にも事件を追悼する記念館ができると信じている」と語りました。
一方、かつては数万人規模の追悼集会が開催されていた香港。警察の取り締まりによって去年、初めて集会が開けず、国家安全維持法の施行から2年を迎える今年も開催が危ぶまれています。
集会を主催していた団体は既に解散していて、香港メディアによりますと、警察当局は「届け出のない集会に参加するのは違法だ」として1万人態勢で警備を行うということです。
▼TBS NEWS DIG 公式サイト https://ift.tt/9VmscPy
▼チャンネル登録をお願いします！
http://www.youtube.com/channel/UC6AG81pAkf6Lbi_1VC5NmPA?sub_confirmation=1
▼情報提供はこちらから「TBSインサイダーズ」
https://ift.tt/YcgPjAT
▼映像提供はこちらから「TBSスクープ投稿」
https://ift.tt/nMm7P5U
