吊り下げベルトが2本切断 えい航中に船体落下・・・水深182mの海底へ(2022年5月24日)

吊り下げベルトが2本切断 えい航中に船体落下・・・水深182mの海底へ(2022年5月24日)

吊り下げベルトが2本切断 えい航中に船体落下・・・水深182mの海底へ(2022年5月24日)

北海道・知床沖で沈没した観光船『KAZUI』は、24日にも、海から引き揚げられる予定でしたが、水深約180メートルまで落下しました。

水面近くに吊り上げられたKAZUIの曳航が始まったのは、23日午後4時過ぎ。船体の引き揚げ作業を行う斜里沖を目指していましたが、ウトロ漁港の沖合で落下しました。その海域は、沈没現場の120メートルよりも、さらに深い182メートル。水中カメラで確認したところ、船底を下にして沈み、原型は留めているものの、詳しい損傷度合いはわかっていないといいます。

24日夜、落下した原因が明らかにされました。船を吊り下げていたナイロン製のベルトが切れていました。ベルトはKAZUIの船体に装着していたもので、5本中、後ろの2本が切れていたといいます。

一方、落下した時刻は、午前8時から10時までと2時間の幅を持たせて発表されています。一体、なぜなのでしょうか。

作業船から午前10時20分に「KAZUIを海底に落としてしまった」と海上保安庁に連絡が入りました。その2時間以上前の午前8時、KAZUIを目視で確認したところ、異常はなかったそうです。船がなくなっていることに気付いたのは、午前10時のことでした。

立憲民主党・大串議員:「常時監視ではないのか。常時監視することを国交省から事業者に言っていたのでは」
海上保安庁の担当者:「ご指摘の通りでございまして。常時、しっかり見るということは言っている部分ではあるが、実際に船がいなかったタイミングは10時であった」

知床の海を知り尽くす釣り船の船長は、落下した現場について、こう話します。
遊漁船『第三幸洋丸』石渡淑朗船長:「こっちの地形は棚田になっている。段々畑のような状態が点在している。(Q.一気に深くなる)そこに止まったらいいが、ずれ込んでいって、また深いところに落ちる可能性もある」

水難学会の犬養理事は、ひと月前に沈没事故が起きてから、ずっと知床の海の流れを調べてきました。
水難学会・犬飼直之理事:「今回の現場は、海流などがとても強いところ。沈没船の周りでの作業は、とても大変」

この周辺は、水深200メートルあたりまで海の流れが強く、船をまっすぐ吊り下げるのは難しいほどだといいます。作業船は、その流れに逆らう形で航行していました。
水難学会・犬飼直之理事:「ゆっくり運んでいても、行きたい方向に行かせてもらえない。強い抵抗を受けていたと考えられる。しっかり器具を固定していても、いろんな理由があって、保持できなくなったなど、そういうことも発生するのかなと」

こうしたなか、運航会社への重い処分の方針が明らかになりました。
斉藤国土交通大臣:「再び重大な事故を起こすがい然性が高いことから、事業許可の取り消し処分が適当と判断し、処分に向けた聴聞の通知を、本日、行うこととした」

公表された文書には、安全管理規定の違反が確認された項目が17にも及びました。さらに、桂田社長が提出した運航管理者の届け出についても、要件を満たさない虚偽のものと判断。国土交通省は、来月中旬、運航会社から意見を聴いたうえで、事業許可を取り消す方針です。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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