バイデン大統領訪日直前 対ロシア“秘められた狙い”とは【後藤部長のリアルポリティクス】|TBS NEWS DIG

バイデン大統領訪日直前 対ロシア“秘められた狙い”とは【後藤部長のリアルポリティクス】|TBS NEWS DIG

バイデン大統領訪日直前 対ロシア“秘められた狙い”とは【後藤部長のリアルポリティクス】|TBS NEWS DIG

後藤部長のリアルポリティクスです。アメリカのバイデン大統領が日本を訪れ、5月23日に岸田総理と初の首脳会談を行う予定です。翌日には日本・アメリカ・オーストラリア・インドの4か国の枠組み「クアッド」の首脳会談が行われます。東京を舞台に展開される一連の首脳協議でバイデン大統領やアメリカは対ロシア政策についてどういった狙いを秘めているのでしょうか。後藤部長の解説です。(聞き手:斎藤哲也キャスター)

後藤政治部長:
アメリカのバイデン大統領がこの週末から週明けにかけて日本を訪れます。首脳会談を行う予定ですが、岸田総理も2021年10月の就任から“できるだけ早い時期に対面式の首脳会談を行いたい”と意欲を示していました。これまでは2011年11月にイギリスのグラスゴーで開かれたCOP26で立ち話での会談はありましたが、対面式の本格的な首脳会談と呼ばれるものは今回初めてとなります。

――岸田総理にとっては“待ちに待った”首脳会談ということになると思いますが、今のテーマは「ロシアのウクライナ侵攻」になるのでしょうか?

後藤部長:
主要なテーマの一つはそれになると思います。また、アメリカが主導して発足させるIPEF=「インド太平洋経済枠組み」これは実現することになり、日本も参加するという意思表示が示されると思います。
それと並ぶテーマとしてロシアの問題もあります。首脳会談終了後には通例、両首脳が並んで記者会見を行うことになっていて、そこで日米が合意したことを文書声明で発表しますが、その中に、何らかのロシアに対して強いメッセージが発せられることになると思います。特にバイデン大統領はプーチン大統領に対して“独裁者”と名指しで批判しています。今回どういった厳しい発言がバイデン大統領からあるのか、それに応じる形で岸田総理がどういうコメントを出すのか、ということがポイントです。
すでに5月8日、岸田総理・バイデン大統領が参加したG7首脳会議がオンラインで開かれ、ロシアから石油の輸入を原則禁止するという決定をしています。これに則った対応が首脳会談で行われると思います。

――その他に注目する点は?

後藤部長:
それともう一つ、今回バイデン大統領が訪日する大きな理由が「クアッド」と呼ばれる枠組みがあります。

――「クアッド」はインド太平洋地域で中国が軍事的にも経済的にも影響を拡大していることに対抗した、日本・アメリカ・オーストラリア・インドの4か国による外交安全保障の枠組みですよね?

後藤部長:
そうですね。今回は東京で開催されます。中国を意識した枠組みですが、今回はおそらくロシアの侵攻についても議論されると思います。この4か国がどういう風に協調していくかが議題になると思います。クアッドの性質上、対中国ではある程度利害が共有できますが、対ロシアとなると本当に共同歩調で行けるかどうか見えないところがあります。
というのも「インド」の存在です。インドはこれまでの歴史的に旧ソ連時代から友好な関係を結んでいます。ロシアのウクライナ侵攻直後に国連総会で行ったロシアへの非難決議について棄権していて、インドは必ずしもアメリカ主導のロシアへの対応からは乗ってこない部分もあります。
クアッドで、いろいろな確認をしますが、おそらくロシアを名指しの形では批判しないのだと思います。ただアメリカにとって意味があるのは、今やインドは経済的な意味でも大国の一つに位置付けられている、そのインドをいかにロシアの側にアプローチさせないかは重要な観点になってくると思います。

――アメリカ側としては、今までの繋がりではインドとロシアの結びつきというものは無視できないので、クアッドという枠組みによって繋ぎとめようという意図があるのでしょうか?

後藤部長:
そう思います。なぜインドがロシアよりなのかというと、インドの最大の軍事的ライバル、仮想敵と言ってもいいと思いますが、中国の存在があります。中国に対抗するためには隣の隣の国ロシアと協力しなければいけないという事情もありますから、そこをちゃんと止めるために中国を見据えてですが、ロシアとも最低限こういった歩調をとりましょう、インドになるべくロシア寄りにさせない、つなぎとめる舞台装置がクアッドになると思います。

――実際、4か国で話し合った際、インドはロシアに対して厳しい態度をとってくれるのでしょうか?

後藤部長:
おそらく、これまでもクアッドはオンラインなどでやり取りはしてきましたが、インドの一般論として「軍事侵攻はよくない」というスタンスは共有しています。あとはロシアやプーチン大統領を名指しの形で批判することに対して、若干のためらいの部分がありますから、その分を政治的にどう切り分けていくのかが協議の注目点だと思います。
その他、日本の役割にも注目したいです。日本とインドは首脳間が相手国を相互に行き来する“シャトル外交”を展開していますから、アメリカとしては日本にも“インドを繋ぎとめるため”に助けてもらいたいという思惑が秘められていると言えます。

――クアッドが安全保障の枠組みであるならば北朝鮮…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20220518-6018811)

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