【解説】北欧2国「NATO入り」トルコ難色 クルド問題が関係?

【解説】北欧2国「NATO入り」トルコ難色 クルド問題が関係?

【解説】北欧2国「NATO入り」トルコ難色 クルド問題が関係?

フィンランドとスウェーデンのNATO加盟表明に対し、トルコのエルドアン大統領が難色を示しています。訪問要請の拒否に透ける本音や、強気でいられる背景を考えます。専門家は「スウェーデンも水面下で話をしておくべきだった」と指摘しています。
■トルコが2か国に求める「お土産」
有働由美子キャスター
「トルコにNATO加盟を『認めない』と言われたフィンランドとスウェーデンが、『トルコに説明に行きたい』と言ったにもかかわらず、、エルドアン大統領は『わざわざ来なくていい』とまで言ったといいます。なぜトルコはそこまで頑ななのですか?」

小野高弘・日本テレビ解説委員
「これには本音があります。『お土産になる話を持ってこい』ということです」

有働キャスター
「お土産ですか?」
■根回しも…「クルド問題」で要求
小野委員
「ただ来るだけではない。トルコにとって最も大事な、クルドの問題がお土産です。クルド人は、国を持たない世界最大の民族です。トルコの国内にもいますが、反政府の武装闘争もしてきて、これがトルコを脅かしているといいます」

「そんな組織のメンバーをフィンランドとスウェーデンはかくまってきただろうと(エルドアン大統領は)言い続けてきました。『今こそこの問題を解決しろ』『かくまうのをやめろ』と言っています。今、精一杯要求を突き付けています」

「ヨーロッパの安全保障に詳しい慶応義塾大学の鶴岡路人准教授は『フィンランドはエルドアン大統領とも事前に話して根回ししていた』と明かします」

「その上で『ただトルコにとっては、スウェーデンの方がクルド人を多く構えて問題。だからスウェーデンは、簡単ではないにしても、もう少しエルドアン大統領に事前に水面下で話をしておくべきだった』と指摘しています」
■カギを握るトルコ…「思惑」は?
有働キャスター
「それにしても、他の国が(NATO加盟に)賛成している中で、なぜトルコはそれだけ強気でいられるのでしょうか?」

小野委員
「みんなトルコに賛成してほしいわけです。トルコにしてみれば『私次第だな』となります。カギを握っているので『せっかくだったら、これで何かうまみのあるものを得られればいい』と考えています」

有働キャスター
「うまみとは、例えば?」

小野委員
「例えばアメリカからF35戦闘機を調達したい、NATOの一部の国が禁止しているトルコへの武器輸出を解除してくれないか…。そういったことまで、したたかに見ている可能性があります」
■「強気」トルコに求めたいこと
有働キャスター
「このNATOをめぐる動きをどう見ていますか?」

落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「トルコに、ロシアとの橋渡し役として機能してくれることを期待します。地政学的にユーラシアの真ん中にあり、NATOにも加盟しつつロシア側にも恩を売りたいというトルコの状況が、和平交渉の入り口につながってくれたらいいなと思います」

有働キャスター
「期待はしますが、うまくいきますか?」

落合さん
「うまくいくかどうかは分かりませんが、周りの国もそこを認識して動き出さないと、トルコだけがそう思っていてもうまくはいかないので」

有働キャスター
「今後は一筋縄ではいかないエルドアン大統領をどう動かすかがカギを握っていると思います。全会一致は本当に難しいですね」

落合さん
「今の世界だと、ほぼ不可能だと思います」

有働キャスター
「その中での交渉になっています」
(2022年5月17日放送「news zero」より)

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