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「引き揚げはとても難しい」現役飽和潜水士が語る知床観光船事故(2022年5月7日)
(報告:村上亜沙)
「午後5時前です、いま新日丸が網走港を出発しました」
KAZU Iの沈没現場からおよそ80km離れた網走港。
午後5時ごろ民間のサルベージ船「新日丸」が出航しました。
事故から2週間、行方不明となっている乗客乗員12人の捜索に進展はあるのでしょうか?
停泊中の「新日丸」ではROV=無人潜水機「はくよう」のチェックが行なわれていました。
(水難学会 斎藤秀俊会長)
「無人潜水機でいろいろ観察するメリットは長時間にわたって観察できる点がある」
「要するに人が入れば、それだけ人的リスクが上がりますので、できるだけ、人のリスクを少なくするためには、まずロボットを使ってできるところまでやって、それから人を入れて、という手順かなと思います」
人が簡単にはいけない深海で長時間の調査が可能な無人潜水機。
ただ現場に行くだけではありません。
その特徴は、装備されたロボット・アームで発揮されます。
「はくよう」には、どんなことが期待されるのでしょうか。
製造したメーカーは、深さは問題ないといいます。
潮流については・・・。
(ISE ドン・ムース 上級技術顧問)
「コンピュータにより無人潜水機の位置を固定します。音波探知機能を搭載しているので、強い潮流でも無人潜水機は固定されます」
これは、アメリカ近海での沈没船を調査した映像。
無人潜水機がロボット・アームの先端を回転させてタンクの栓を、抜きとっています。
その小さな穴へ、カメラと見られるアームを近づけると・・・
穴から丸い油の塊が出てきました。
こうした細かい部分を見ることも可能です。
(ISE ドン・ムース 上級技術顧問)
「1本のアームで船をつかみながら、もう一本のアームで操作が可能です。そうすることで、コンピュータ制御で正確で緻密な作業が可能です」
(水難学会 斎藤秀俊会長)
「この『はくよう』での大体の捜索終わりましたら、今度はいよいよ船内に入るんですけれども、これはもう飽和潜水士が今現場に向かってますので、飽和潜水士によって人の目で、それぞれ船内に確認をしていくという作業になると思います」
では、水深120mでの作業とは、どんなものなのか。
飽和潜水士として、東南アジアや中東の深海で、パイプラインなどの設置や解体、引き上げ作業をしているロメオさんに聞きました。
(飽和潜水士 ロメオ・ストーリさん)
「今回のような場合、まず船体の損傷を調べます。沈没船の場合、オイルが漏れている可能性が高く、そのオイルで、機材が故障したり腐食する恐れがあるので、とても危険なんです」
「その後、船内に入りますが、この船は観光船で窓が多いので、割れていればスーツが傷つき命取りになることもあります」
「また、水深120mは真っ暗で、船内では方向感覚が失われ、出口が分からなくなり、パニックになる危険性もあります」
調査後の引き上げ作業は、どう進められるのでしょうか?
(飽和潜水士 ロメオ・ストーリさん)
「難しいのはワイヤーを通す作業ですが、そのために船の周囲にある泥などを吸い取り、隙間を作る必要があります。その際に巨大なホースを使うのですが、吸引力がとても強く、吸い込まれる危険もあり、飽和潜水士の仕事の中でも、船の引き揚げは、とても難しいミッションと言えます」
現役の飽和潜水士が難しいと評価する船の引き揚げ作業。
いったいいつ行われるのでしょうか?
(水難学会 斎藤秀俊会長)
「飽和潜水士が入って捜索までだいたいこの辺のスケジュール感で今月いっぱいぐらい」
「このデータを見ながら引き上げをするかどうか決定するでしょう」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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