観光船の捜査難航 水中カメラ阻む「横の海流と縦の潮流」(2022年5月1日)

観光船の捜査難航 水中カメラ阻む「横の海流と縦の潮流」(2022年5月1日)

観光船の捜査難航 水中カメラ阻む「横の海流と縦の潮流」(2022年5月1日)

 北海道知床沖で沈没した観光船の捜索が難航しています。こうしたなか、沈没した観光船を運航していた「知床遊覧船」の元従業員が取材に応じました。

 知床遊覧船の元従業員:「お客さんを船に乗せて、船長には『午後からしけるから気を付けろよ』って。そして酔い止めを渡した。帰り波が出るからって」「(Q.船長に?)船長に(渡した)」

 事故から1週間余り。行方が分からない12人の捜索が続いています。

 船体が沈んでいる海上では北海道警察が水中カメラを投入しています。

 1日も船体の内部に残された人がいないか確認する作業が行われました。

 これまでの調査でKAZU1後部のスライド式のドアが開いていると分かったため、そこから船内の様子を探ろうという試みです。

 ただ、専門家によると簡単な作業ではないようです。

 東海大学海洋学部・山田吉彦教授:「知床半島にぶつかって斜面に沿って下に向かっておりてくる潮の流れ、網走方面から知床岬の先端に流れる大きな海流と両方がある。横の海流と縦の潮の流れ。これが非常に複雑に影響している。天候を細かく予想して比較的穏やかな時間を有効に使っていく必要がある。海が穏やかな瞬間は一瞬たりとも無駄にできない」

 これまでのところ、新たな手掛かりは発見されていません。

 そんななか、事故当時、KAZU1からの通報は乗客の携帯電話を借りていた可能性があることが分かりました。

 第1管区海上保安本部警備救難部・横内伸明次長:「KAZU1からの通報の電話は乗客の方の携帯番号だと認識しております。少なくとも船長か乗組員の電話番号ではない」

 KAZU1は先月20日、法令で定められている通信手段を衛星電話から携帯電話への変更を申請していて、“通信できる”とした豊田船長の聞き取りなどから変更は認められています。しかし、同業者からは・・・。

 知床ネイチャークルーズ・長谷川正人安全統括管理者:「俺たち携帯はあてにしない。乗客の携帯でかけているということはよっぽど切羽詰まっている。俺たちが乗客から借りるなんて絶対にあり得ない」

 新たに登録された携帯電話の通信エリアはウトロ漁港から半島に沿って北上した場合すぐに圏外となります。

 知床ネイチャークルーズ・長谷川正人安全統括管理者:「俺たちにしたら、なんで通常の携帯電話を知床のエリアで(許可を)出したのか不思議」

 携帯電話からの連絡後に沈んだKAZU1。行方不明者の捜索は続いています。

※「KAZU1(ワン)」は正しくはローマ数字 
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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