【専門家解説】知床観光船事故 船のGPSや営業所の無線アンテナに不備か

【専門家解説】知床観光船事故 船のGPSや営業所の無線アンテナに不備か

【専門家解説】知床観光船事故 船のGPSや営業所の無線アンテナに不備か

北海道・知床半島沖で消息を絶った観光船「KAZU 1(カズワン)」をめぐり、船のGPSや営業所の無線アンテナの不備が疑われることが、取材で分かりました。その影響や、捜索の難航につながった可能性について、水難事故の専門家に聞きました。

■2日前には「GPS」ナシ…影響は
有働由美子キャスター
「NNNの取材で分かってきた『KAZU 1(カズワン)』の情報を整理します。まず、事故2日前の検査でGPSが外されていたことが分かっています」

「次に、営業所の無線アンテナが壊れて使えない状態でした。さらに、1年前に従業員が総入れ替えされたため、経験の浅い船長が独学で運航していたとの証言も出ています。浸水を知らせる海水警報機が設置されていたかどうかは不明です」
有働キャスター
「元海上自衛官で水難学会副会長の安倍淳さんは、GPSを問題視されています。事故の2日前の検査では外されていましたが、他の船の船長によると、事故前日に修理し終わったGPSを設置したと、豊田船長から聞いたといいます」

「もし運航時にGPSが設置されていなかった場合、どのような影響がありますか?」

安倍さん
「第二の目と言われる、人間の目より優秀な、自船の位置を確認する計器です。現代の航海においては、絶対に必要なものです。ましてや旅客を乗せて、安全を第一に運航するのであれば、なくてはならないものだと思います」

■アンテナ不備なら…「指示できず」
有働キャスター
「無線アンテナは、通常であれば真っすぐ伸びています。26日に撮影された『KAZU  1』の運航会社にあるアンテナは折れてしまっていて、壊れて使えない状態だったといいます。これ自体は違法ではないとしても、問題だと安倍さんは指摘されています」

安倍さん
「運航会社、(つまり)陸上側の基地局となる所の無線アンテナがもし壊れていれば、緊急時に司令塔となるベースの所が何も指示できません」

「海難の第一報を入手できないことになります。40キロも先に行く船にとっては、これが通信手段なので、壊れていたとすれば非常に問題だと思います」
有働キャスター
「非常に厳しい状況ですね。こういった装備の不備が、捜索が難航していることと関係しているのでしょうか?」

安倍さん
「第一報でGPSがもしついていれば、船の位置が分かります。北緯や東経の座標を本社に知らせるやり取りが、もう少しスムーズにできたのではないかなと思われます」

■落合さん、2月に「カズワン」撮影
有働キャスター
「落合さんは2月に知床に行き、その時カズワンの写真を撮っていましたね」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「雪で帰れず、『news zero』に出れなかった時です。ホテルから海を撮っていたら偶然写っていました。流氷の時期だったので航行はされていませんでしたが、もし今の季節だったら、家族で乗っていた確率は高いと思います」

「このニュースを見て、どういった選択をすればあのような船が遭難した状況で助かるかをいろいろ考えましたが、本人の努力ではどうにもならなさそうだなと思いました」

「いかんともしがたい。本人の過失によらず、安全確認の取れていないものに乗ってしまったらどうしようもないというのが、非常に困ったと思いました」

■安倍さん「説明責任が発生」
有働キャスター
「(運航)会社の社長は(乗客の)ご家族への説明不足、向き合っていないという声がありますが、安倍さんはどう思われますか?」

安倍さん
「結果を見れば、おそらく運行管理者としての説明責任が発生します。ご遺族の方が正しいことを知りたがっていることは当然ですので、GPSは付いていたのか、アンテナはきちんと更新できていたのか、その点を明らかにすることが非常に重要だと思います」

安倍さん
「結果を見れば、おそらく運行管理者としての説明責任が発生します。ご遺族の方が正しいことを知りたがっていることは当然ですので、GPSは付いていたのか、アンテナはきちんと更新できていたのか、その点を明らかにすることが非常に重要だと思います」

■位置特定? 発見に向けたポイントは
有働キャスター
「この後、船の発見に向けたポイントは何が考えられますか?」

安倍さん
「位置が特定できたという報道もありましたので、今後は正確な位置を押さえるというフェーズに移っていくと思います」

有働キャスター
「海も荒れているようですが、どのように発見していくのでしょうか?」
安倍さん
「超音波の機械を使い、ソナーなどを使って海底地形を把握しながら異常物を見つけていくことになりますが、海上保安庁の優秀な船が26日、出てきましたので、海底地形がとても鮮明に見えますので、そういう船で探すことは非常に有効だと思います」

有働キャスター
「ご家族の皆さんも一刻も早く救助をと思っていらっしゃると思いますが、船体が見つかると、(行方不明者の)発見も少しはメドが見えてくるのでしょうか?」

安倍さん
「船が沈没している(場所の)水深や海の状況によって、二次災害を防止しながらなるべく急いで、という救助活動が行われるのではないかと思います」
(2022年4月26日放送「news zero」より)

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