スマホ画面に「助けてください」 防犯アプリで「SOS」・・・“痴漢被害”10代少女の思い(2022年4月22日)
先週、1人の少女が電車内で痴漢被害に遭い、男が逮捕される事件がありました。周囲の乗客が、少女の「SOS」に気付いたのは、声ではなく、スマートフォンの画面。なぜ、こうした状況になったのか、少女の思いを取材しました。
■画面に「助けて」 音声で「やめて」
「痴漢です 助けてください」と書かれた画面。タップすると・・・。
アプリの音声:「やめて下さい。やめて下さい。やめて下さい」
赤い画面に切り替わり、「やめて下さい」という音声が連呼されます。
画面の文字と音声で、周囲に助けを求めることができる、警視庁が開発した防犯アプリ「デジポリス」です。
その「痴漢撃退機能」が、男の逮捕につながりました。
事件が起きたのは、15日の朝。埼玉県から東京・北区に向かう混雑した電車内。会社員の50代の男が、10代の少女の体を触った疑いが持たれています。
10代の少女は、スマートフォンを握り締め、「痴漢です 助けてください」の文字を周囲に見せて、助けを求めました。
それに気付いた1人の男性客が「大丈夫ですか?」と尋ねたところ、少女は助けてもらうために、画面をタップしました。
すると、音声が流れ、周囲に痴漢の被害が伝わります。
すると、今度はこの音声に気付いたもう1人の男性客が、「何やってんだ」と言って、この男を取り押さえたということです。
警視庁は、電車内で少女の体を触ったとして、50代の会社員の男を逮捕しました。
少女を救った2人の男性客は、警察が現場に駆け付けた時には、立ち去っていたということです。
■専門家「容疑者に非常に嫌な装置」
防犯アプリを使った少女のSOS。このシステムは、痴漢の容疑者に対して、非常に効果的だと、犯罪心理学の専門家は指摘します。
東洋大学(犯罪心理学専門)・桐生正幸教授:「誰にも知られず、警察にも届け出がないということをよいことにして、そういった犯行を繰り返すというのが、痴漢の現況なんですよね。ですので、こういった装置がある。そして、電車内でリアルタイムに、自分のやった行為が周囲に知らされるっていうことは、容疑者にとって、非常に嫌な装置だということになる」
■利用客「女子目線ですごくいい」
電車の利用客も、次のように話します。
大学生:「実際、その場になると、怖くて声が出せなかったりするから、すごくいい」
19歳学生:「押すだけで、周りに助けが求められるには、すごくいいなって、女子目線で思います」
実は、このアプリは、6年前から存在していました。
20代学生:「いいと思いますけど、あまり使われていないし、自分も知らないので。もうちょっと広めるべきだと思います」
実際に、街で話を聞いてみても、防犯アプリの存在を知らないか、今回の報道で知ったという人がほとんどでした。
■被害に遭った少女「4日前にDL」
防犯アプリの「痴漢撃退機能」が男の逮捕につながった、今回の事件。被害に遭った少女は、あまり知られていないこのアプリを、なぜダウンロードしていたのでしょうか?
テレビ朝日・藤原妃奈子記者:「実は、この少女なんですけども、4日前に(アプリを)ダウンロードしたそうなんです。というのも、以前も同じような被害に遭ったことがあって、万が一、次も被害に遭った時に使おうというふうに、ダウンロードしたということなんです」
以前から、痴漢被害に悩まされていた少女。今月8日からは、アプリに新たな機能として、「ちかん されていませんか?」という画面が追加されました。
「痴漢されている本人は、声を出すことができない」いう意見を参考に、被害者が声を上げられなくても、周囲の人が、救いの手を差し伸べられるよう追加されました。
他にも、防犯ブザーや、現在地から最寄りの交番までの最短ルートが分かる機能も搭載されていて、警視庁の担当者は「色々な人に利用してほしい」と話しています。
(「グッド!モーニング」2022年4月22日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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