【解説】「“虐殺”はウクライナのでっち上げ」駐日ロシア大使は本当にそう思って発言したのか

【解説】「“虐殺”はウクライナのでっち上げ」駐日ロシア大使は本当にそう思って発言したのか

【解説】「“虐殺”はウクライナのでっち上げ」駐日ロシア大使は本当にそう思って発言したのか

ウクライナ情勢をめぐって世界中が非難の声をあげている「ロシア軍による暴挙」。そうした声に対して、ロシアのガルージン駐日大使は「すべてウクライナによる“でっち上げ”」「ロシア軍が無防備の市民を殺した事実はない」と私たちのカメラの前で言い放ちました。ガルージン大使は、ロシア軍の発表を事実だと思って自分たちの行動を正当化しているのか、それとも、事実とは違うと認識しながらこうした発言しているのか、専門家の見解をうかがいました。

■駐日ロシア大使は今の状況をどう感じているのか単独インタビューに応じる

ホラン千秋キャスター:
ウクライナの検事総長はキーウ州だけでこれまでに1200人を超える遺体が見つかっていると話しています。

井上貴博キャスター:
ロシアでの情報統制、教育の一端が見えてくるようなインタビューとなりました。日本に駐在するロシア大使はブチャでの虐殺は「自作自演のでっち上げだ」という発言をしました。

インタビューが行われたのは4月7日(木)。日本の追加制裁が正式発表される前日です。相手はミハイル・ガルージン駐日ロシア大使で、2010年から12年にロシア外務省第3アジア局局長、そして2018年から日本に駐在するロシア大使をつとめています。

3月末、ロシア軍がブチャから撤退しました。4月に入ってからロシア軍が撤退したブチャで、民間人400人を超える遺体が発見されました。ゼレンスキー大統領は「これは大量虐殺だ」と非難、世界にメッセージを発しました。

4月4日以降、各国制裁を強化し、ヨーロッパが先陣を切る形で外交官らの国外退去を発表しました。これに追随する形で日本も8日に追加制裁で外交官など8人を追放するということが発表されました。

■虐殺はあった? ロシア大使「認めない」

井上キャスター:
ブチャで虐殺があったことを認めるかと問われると、ガルージン駐日ロシア大使は次のように述べました。

ガルージン駐日ロシア大使:
「虐殺があったことは認めない。そもそも第二次世界大戦後、最も残虐な虐殺、軍事犯罪、戦争犯罪を起こしているのはむしろゼレンスキー政権です。ロシアに泥を塗るために意図的に挑発的な事件をでっち上げたのは、ウクライナ側です」

井上キャスター:
また、取材中、大使館が編集した「ブチャ市の真実」という動画が流されました。ウクライナ側が撮影したとする映像を示し、ブチャの通りに遺体はなかったと主張しました。

ガルージン駐日ロシア大使:
「(遺体があった道路と)同じ通りです。誰もいないです。遺体とか、つまり明らかにそれがウクライナ軍・ウクライナ当局による挑発で自作自演のでっち上げ」

ここからはTBS「報道特集」の金平茂紀キャスターと記者、ガルージン駐日大使のやりとりです。

金平キャスター:
「私達の仲間が実際に何があったのかというのを現地で住民から聞いているんです。遺体も見ました。それが“でっちあげ”だと言っているんですか」

ガルージン駐日ロシア大使:
「遺体がロシア軍に殺されたというのはでっち上げです。無防備の市民を殺して街の通りに置いたという事実はないということだけを言っています」

金平キャスター:
「“(事実が)無い”とはどうして分かるんですか」

ガルージン駐日ロシア大使:
「それがロシア軍の発表だから」

金平キャスター:
「私の仲間が取材した内容を信じたいと思うから言っているんですよ」

ガルージン駐日ロシア大使:
「それはどうぞ信じてください。私は信じていません。それだけです」

ガルージン駐日ロシア大使:
「我々が攻撃しているのは軍事施設だけで、民間施設ではない」

金平キャスター:
「私たちの仲間が私たちの同僚が取材に行って来て、例えば病院や民間施設が破壊されている現場で、実際に目で見て取材してきましたよ」

ガルージン駐日ロシア大使:
「それはなぜ起きたかというとウクライナ軍が学校や病院から一般人、生徒たちを追放して、それを軍事拠点としたからです」

記者:
「手を下しているのはロシアの兵器であり、ロシアの戦車から放たれたミサイルです。また巡航ミサイルで死んでいます」

ガルージン駐日ロシア大使:
「それはあなたが言うことです。ロシア軍は軍事施設だけを目的にしていて民間の施設を目的としておりません」

井上キャスター:
ロシアの中で教育を受け、プーチン大統領と共に仕事を進めているロシア大使の主張はこういうことになるわけです。

ホランキャスター:
ガルージン駐日ロシア大使の主張ですが、大使は本当にこれが事実だと思って自分たちの行動を正当化しようとしているのか、それとも事実と話していることは、一致していないとわかっているけれども、このように言うしかないのか。廣瀬さんはどうご覧になりましたか。

慶應義塾大学 廣瀬陽子教授:
おそらくですが、事実としてはわかっていると思います。大使も日本に住んでいて日本の報道も絶対ご覧になっているはずなので客観的な判断ができるはずなんですね。ですのでやはり国の方針に従って話していると考えるのが妥当ではないかと思います。

■連日続く悲惨な報道心の平穏を保つには

ホランキャスター:
ウルヴェさん、連日見るのも聞くのも耐えないような悲惨な光景が現地から送られてきますが、この状況で皆さんが心の平穏を保つためにどんなことをすればいいんでしょうか?

田中ウルヴェ京さん(メンタルトレーニング指導士):
例えば、「どのように心を保たせますか、心を安らかにするにはどうしたらいいですか」というご質問に対して、心理学的に言えることは、つらいときはつらいと思うし、悲しい映像を見たら悲しいと思う、“心というものは動く”ということです。しかし、それをずっと溜めすぎることが良くない。どうすれば良いかというと、心の風通しを良くする。気持ちを通り過ぎさせるイメージをすることも大切です。

■ロシアに行き届く“ 統制”今後の戦況は

井上キャスター:
4月10日、ゼレンスキー大統領が新たに発した戦況についてのメッセージです。「ロシア軍はウクライナ東部でのより大規模な作戦に向けて動いている。さらに多くのミサイルや空爆を仕掛けてくる可能性がある」首都キーウではなく東部に集中させていくということで「より大規模な作戦」という言葉を使って危機感をあらわにしていたわけです。

ホランキャスター:
廣瀬さん、先ほどの大使の発言からわかることや今後ロシアが行ってきそうな計画などわかることがあれば教えてください。

廣瀬教授:
ロシア国内ではかなり統制が行き届いていて、皆さん大使がおっしゃっていたような内容でかなりの洗脳を受けていると思います。ですので、国内から反対の声が出る可能性というのは極めて低いです。その中で、5月9日に戦勝記念日を祝えるような形で国家を挙げてこの戦争に取り組んでいくことになると思います。そのため、東部での戦況はますます厳しいものになっていくと思います。

ホランキャスター:
そうすると少なくとも5月9日までは平和に向かってこの問題が進んでいくことは、希望は持てないということでしょうか。

廣瀬さん:
まず東部の2州をどれだけしっかり落とせるかというところで、全勢力を挙げての戦闘になってくると思います。

(11日20:25)

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