【解説】ロシア新司令官任命で東部に戦力集中? 専門家「本気になるのでは」

【解説】ロシア新司令官任命で東部に戦力集中? 専門家「本気になるのでは」

【解説】ロシア新司令官任命で東部に戦力集中? 専門家「本気になるのでは」

ウクライナで民間人の犠牲が次々と明らかになる中、ロシア軍が新たな司令官を任命しました。これにより、さらなる被害の拡大が懸念されています。「拡大する民間人の犠牲」、「駅へのミサイル攻撃巡りロシアがウソ?」、「新司令官を任命し『ロシア軍がさらに本気を出してくる』との指摘も」、「アメリカの追加制裁で核を巡っても新たな動き」の4つのポイントについて、詳しく解説します。

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■駅へのミサイル攻撃…親露派メディアは当初「ロシア軍が攻撃」報道か
ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊では、ロシア軍の撤退後、民間人殺害の実態が、次々と明らかになっています。ウクライナの検事総長は10日、イギリスメディアの取材に対し、「キーウ州で、これまでに1222人の遺体が確認された」と明らかにしました。

また、8日には、東部ドネツク州のクラマトルスク駅が、ミサイル攻撃を受けました。現場で撮影された映像には、突然、爆発音が響き、外では車が炎上し、混乱した様子で駅の中へ逃げ込む人たちの姿が捉えられていました。当時、駅には他の地域に避難しようと、数千人が集まっていたとみられていて、その人たちの荷物が散り散りに残されていました。そして、付近では、ミサイルの残骸が確認されました。

地元当局は、この攻撃により、少なくとも52人が死亡したとしていて、その中には5人の子供も含まれているということです。ウクライナのゼレンスキー大統領は「これも、ロシアが犯した新たな戦争犯罪だ。責任を負う者は、全員、必ず裁かれる」と、避難のために多くの民間人が集まっていた駅への攻撃を強く非難しました。

また、アメリカ国防総省の高官も、「ロシア軍が、旧ソ連製の短距離弾道ミサイルを使った」と分析していますが、ロシア国防省は攻撃を否定し、「ウクライナ軍がクラマトルスク駅をミサイルで攻撃した。駅近くで見つかったミサイルの残骸は、ウクライナ軍のみで使用されているもの」とコメントしました。

駅へのミサイル攻撃を巡って、アメリカとドイツのメディアによると、親ロシア派のメディアが、攻撃直後には「ロシアのミサイルが、ウクライナ軍が集結する駅を攻撃した」と報じていたといいます。しかし、民間人の犠牲者が出ていることが分かると、このニュースは削除されたということです。つまり、攻撃直後は、まるで“ロシア軍が成果を上げた攻撃”のように報じ、民間人への被害が分かると、そのニュースを削除しなかったことにしたと報じられています。

そして、当のロシア国防省は「ウクライナ軍が攻撃した」と攻撃自体を否定しています。しかし、ゼレンスキー大統領は11日、自身のFacebook上に公開した動画で、次のように述べました。

ウクライナ・ゼレンスキー大統領
「(ロシア国防省は)クラマトルスク駅へのミサイル攻撃についても、彼ら(ロシア)ではなく、我々(ウクライナ)がやったといっている。 彼らは責任を転嫁しようとしている。ウソをついているのだ」

■ロシア“軍事作戦を統括する司令官を任命”…専門家は「さらに破壊力を増して軍を進める」警戒
こうした中、複数のアメリカメディアは、ロシアが「軍事作戦を統括する司令官を、侵攻開始以来、初めて任命した」と報じています。

その司令官がドボルニコフ氏で、アメリカのサリバン大統領補佐官は10日、「過去に、シリアで、民間人への残虐行為を行っていた」と指摘し、「今回も、同じようなことが行われるだろう」と、警戒感を示しています。

なぜ今、司令官を任命したのか、防衛省の研究機関「防衛研究所」の山添博史主任研究官に話を聞きました。

山添主任研究官は「軍の指揮系統を立て直す意図を感じる」といいます。これまでは、モスクワに参謀本部があっても、ウクライナを北や南、東などいろいろな方向から、ばらばらに攻め込んでいましたが、それを東部に戦力を集中して、立て直すのではないかということです。そして、「新たな指揮系統で、ロシアが本気になっていくのでは」と警戒感を示していました。

さらに、山添主任研究官は、今後は、ドボルニコフ氏の指揮による戦い方も注視する必要があるといいます。というのも、ドボルニコフ氏は、今回も、ウクライナで効率的に兵力を運用し、残虐で、ひどい戦い方をしているという情報もあり、今後、山添主任研究官は「さらに破壊力を増して軍を進める、ということが起こり得る」と指摘しています。

■米、輸出規制に核物質・毒物など追加…「軍事転用」防ぐ狙い
一方で、多くの民間人を犠牲にしたロシアの攻撃に対して、国際社会はさらに制裁を強めています。

アメリカは、ロシアとベラルーシに対する輸出規制の対象品目を拡大しました。これまでは、半導体などのハイテク製品が規制の中心でしたが、核物質、毒物などの化学品、医療品を加えます。これは「軍事転用」を防ぐ狙いがあるといいます。ロシア軍の戦力にも打撃を与える措置ともいえそうです。

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今後の動きについて、11日、プーチン大統領とオーストリアのネハンマー首相が、モスクワで会談をする予定です。ウクライナへの軍事侵攻が始まって以降、EU(欧州連合)加盟国の首脳が、ロシアを訪れてプーチン大統領と会談するのは初めてのことです。事態の打開につながるのか、注目されます。
(2022年4月11日放送「news every. 」より)

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