【独自】社長失踪・突然倒産・・・「再スタート」パン店 “予期せぬ妨害”2号店オープン(2022年4月6日)

【独自】社長失踪・突然倒産・・・「再スタート」パン店 “予期せぬ妨害”2号店オープン(2022年4月6日)

【独自】社長失踪・突然倒産・・・「再スタート」パン店 “予期せぬ妨害”2号店オープン(2022年4月6日)

 社長の失踪、突然の倒産から約半年。元スタッフが集まり、“再スタート”を切ったパン店「リベルべ」の2号店が、5日にオープンしました。予期せぬ妨害にも見舞われるなか、開店までの道のりを独占取材しました。

■元社長の娘婿立ち上がり“大反響”

 焼きたてのパンが、評判の店・リベルべ。倒産したベーカリーチェーン「ベルべ」の元従業員たちが集結し、ようやくこぎ着けた再スタートです。

 しかし、まさかの事態が起こりました。店の機材が、何者かに持ち出されてしまったのです。

 再生を邪魔する人物は一体、誰なのか。その正体は、“驚くべき人物”でした。

 自ら厨房に立つのは、小嶋亮社長(45)です。

 株式会社アズ・小嶋亮社長:「現段階では、準備に追われながらも、不安はありますね」

 神奈川県を中心に、首都圏に28店舗を構えていた人気ベーカリーチェーン・ベルベ。店舗ごとに手作りしたパンやケーキが人気でしたが、去年11月、元社長が突然、行方不明になり、倒産しました。

 元従業員:「倒産したのが、11月9日。知ったのが、8日です。10月の末くらいに、社長がいなくなっちゃったんですね。専務とか常務の人が、連絡を取ろうとしても取れなくて。置手紙だけを置いて、飛んじゃった」

 負債額は、およそ50億円。従業員らは突然、職を失ってしまいました。途方に暮れる元従業員たちを見て立ち上がったのが、元社長の娘婿にあたる小嶋さんでした。

 小嶋社長:「私も当時、ベルべの一店舗の責任者でありましたので。私も、同じように解雇になった」

 小嶋さんは、身内でありながら、元社長からは何の連絡もなく、突き放されました。

 小嶋社長:「(今『ベルべ』元社長と連絡は取れる?)全く取れないですね。本当は居場所を知っていて、黙っているんじゃないかとか、色々言われるけども、それを証明する手立てがない」

 しかし、「ベルべの味を再び食卓に届けたい」という思いで立ち上がりました。

 新しい店は、その名もリベルべです。元従業員たちを呼び戻し、1月、神奈川県伊勢原市にリベルベをオープンしました。

 ベルべに「再び」という意味を込めた「リ」をつけた新しい店は、大きな反響を呼びました。

■機材持ち去り・・・“思い当たる人物”

 小嶋さんは、東京・八王子市で、2店舗目となる南大沢店オープンを計画。ベルべ倒産以来、そのままになっていた店舗です。

 しかし、小嶋さんが開店準備のために店を訪れると、信じられない状態になっていました。

 小嶋社長:「ここは何もなかった。本来こういう、レジが2台あって、食パンを切るスライサー。ああいう、はかりもなかった。電話も、根こそぎ取られていた」

 あらゆる機材が、持ち去られていたのです。さらに、小嶋さんが防犯カメラを確認。すると、なぜか、映像まで消されていました。

 小嶋社長:「(防犯カメラの)会社さんを呼んで、説明をもらったんですけど、HDDが壊れることはまずないらしい。復旧もさせられないほど壊れているというのは、考えづらい。人為的に壊したのだろうと」

 ハードディスクがあった場所を知っているのは、ベルべの関係者。ごく限られた人物です。小嶋さんには、思い当たる人物がいました。

 小嶋社長:「なんとなく心当たりがあった。レジやスライサーという機械の行方を知らないかと尋ねたところ、『自分が持ち出した』という話を本人がしていたので。なかなか参りましたね」

■元役員「“ベルべ”の所有物だから」

 小嶋社長によると、持ち出しを認めたのは、なんとベルべの元役員でした。これは、その元役員に送ったメッセージです。

 元役員に送ったメッセージ:「南大沢店のレジ、プリンター、スライサー、FAXがなかったのですが、何かご存じですか」「南大沢店の話ですが、ご存じなかったでしょうか?なければ、防犯カメラの解析を業者に依頼しようかと考えています」

 元役員からの答えは、次のような内容だったと話します。

 小嶋社長:「電話連絡がありまして、これについては“ベルべ”の所有物だから持ち出したというふうに、本人は言っていましたね。本人は、合意解約前で“ベルべ”の資産だから持ち出したと」

■元役員接触も「応答なし」・・・機材不明

 番組が入手した資料です。倒産したベルベ側の弁護士は今年1月31日、南大沢店の物件所有者と建物を明け渡す“合意解約”を結んでいました。

 元役員は、それより前に、レジなど店の中にあったものを「ベルべの資産として持ち出した」というのです。

 再起にかける店の備品が、倒産させた側の人物によって持ち出されるという信じられない事態です。

 加藤・浅川法律事務所 加藤博太郎弁護士:「(一般論として)社長であったとしても、会社のものを勝手に持っていってしまうとか、自分のものにしてしまうというのは、違法性が問われる可能性が十分ある。本来であれば、会社が破産が近いという状況だったんでしょうから、そういった状態になったのであれば、破産を申立した後に、破産管財人に引き継ぐように、財産を保全しておかないといけない」

 機材は今、どこにあるのでしょうか?

 番組は、持ち出したという元ベルべ役員に接触を試みましたが、応答はありませんでした。機材の行方は、分かりませんでした。

■約300万円分の機材を・・・新たに購入

 なぜ、このような事態が起きたのでしょうか?

 小嶋社長:「妨害でしょうね。妨害以外はない。持ち出したものが、ここだけじゃなくて、他の店舗からも持ち出しているのであれば、お金のためなのかなと思いますけど。他の店舗からは、一切持ち出してないですから」

 小嶋社長らリベルベは、300万円近くの機材を新たに購入することになりました。レジは特注品のため、注文してから届くまでに時間がかかります。

 南大沢店に設置されたのは、開店のわずか4日前。オープン前日、ギリギリまで新調されたレジの使い方を学ぶスタッフの姿がありました。

 最後は、レジの業者も駆け付け、作業は夜になっても続きました。

■感無量・・・“妨害”乗り越え「完売」

 そして、5日、オープンまで10分を切った時、店の前には、すでに行列もできていまいた。

 小嶋社長:「予想を大きく上回ってますね」「(Q.結構な列ができていますね?)そうですね。大変、ありがたいですね」

 午前9時になり、店がオープンし、客が続々と店内に入っていきます。

 リベルべに来たお客さん:「子どもたちも食べたいと言ったので。行ってみる?という感じで。なくなった時、残念だったので。また、ここでやってくれると知って、よし!と思った」

 午後6時になりました。

 小嶋社長:「製造がだいぶ前から追い付かなかったんですが、あすからの営業も考えまして、本日は閉店となります」

 予定より1時間早めて閉店。3300個余りのパンが完売しました。

 小嶋社長:「イレギュラーなことは多々ありましたが、何とか営業にうまくこぎ着けられたことは、本当に良かったなと思います」

(「グッド!モーニング」2022年4月6日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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