プーチン政権に亀裂か 政権幹部が辞任、ロシア要人「離反」の動き

プーチン政権に亀裂か 政権幹部が辞任、ロシア要人「離反」の動き

プーチン政権に亀裂か 政権幹部が辞任、ロシア要人「離反」の動き

生物・化学兵器の使用が懸念される中、ロシア軍が非人道的兵器「白リン弾」を使用したとウクライナメディアが報じています。そんななか、ロシアでは政権幹部が辞任。要人の「プーチン離れ」ともみられる動きが相次いでいます。戦況のこう着で、プーチン大統領は追い込まれているのか。ロシア国内のプーチン氏支持率に変化は。今後、ロシアの「孤立化」は進むのか。専門家が解説します。

■ロシア軍 非人道的兵器「白リン弾」使用か

山形純菜キャスター:
ロシア軍による生物化学兵器の使用が懸念されています。そんな中、ウクライナメディアは、ロシア軍が首都キエフ近郊のイルピンなどで「白リン弾」を使ったと報じました。この「白リン弾」ですが、燃焼力が激しく、深刻なやけどの被害をもたらすもので、“化学兵器”には指定はされていないんですが、“非人道的な兵器”だと言われています。今回ロシア軍が実際に使用したかはわからないのですが、生物化学兵器をめぐっては3月24日、NATO共同声明で「ロシアが化学兵器や生物兵器を使用した場合、容認できず、深刻な結果を招くだろう」と警告しました。そして、アメリカのバイデン大統領は「ロシアが化学兵器を使用したら必ず対応する。具体的にはその時決める」と話しています。
さて3月24日は相次いでNATO、G7、EUの首脳会議が行われました。G7の首脳会議には日本の岸田総理も参加し、ウクライナへの支援、ロシアへの制裁強化が合意されました。それに対してのロシアの反応です。ロシア外務省のザハロワ報道官は「NATO加盟国は、ワシントンへの絶対的な忠誠心とロシアを封じ込める準備があることを示した」と話し、批判をしています。
また、2022年秋に開催される首脳会議を巡っての動きです。「G20サミット」は2022年11月にインドネシアで開催予定です。3月23日にインドネシアに駐在しているロシア大使は「ロシアはG20に招待されています」と話し、プーチン大統領も「G20」参加の意向を明らかにしています。そもそも「G20」というのは毎年開催されていまして、日本、アメリカ、中国、ロシアなど主要20か国が参加しています。「G20」では主に金融や世界経済に関する話し合いが行われます。今回「G20」にロシアのプーチン大統領が参加するということに対し、アメリカのバイデン大統領は3月24日に「G20からロシアを排除すべき」だと話し、今後どういった動きになるのか注目されます。

■「プーチン離れ」か ロシア・政権幹部ら辞任

ロシアでは“プーチン離れ”とも思われる動きも出ています。大統領特別代表のチュバイス氏が辞任したということなんです。このチュバイス氏は1990年代にエリツィン政権で経済改革を主導。2020年にプーチン政権で大統領特別代表に就任していました。今回のウクライナ侵攻に反対して辞任し、既にロシアを出国していると海外メディアは報じています。

それに対し、大統領府のペスコフ報道官は「自らの希望で辞めたのであって、国を去るかどうかは彼の問題」だとしています。

それからもう1人、ロシア中央銀行総裁のナビウリナ氏なんですがこの方は20年近くにわたり、ロシア・プーチン大統領と緊密に連携していました。ウクライナ侵攻後に辞任しようとしたところなんですが、プーチン大統領に引き留められ、再任したという情報が出ています。

ホラン千秋キャスター:
畔蒜さん、この2人の辞任というのは“プーチン離れ”なのではないかというふうに報道されていたんですけれども、ナビウリナ氏のように、「辞任後に引き留められて再任」というのは、これはどういった背景があるんでしょうか。

笹川平和財団主任研究員 畔蒜泰助さん:
そうですね。辞任にしたかったけども辞めさせてもらえなかったということなんだと思うんですよね。ナビウリナ氏もチュバイス氏も、プーチン政権を元々支える支持層というのは、いわゆるKGBとか軍とかの、いわゆる「シロビキ」という人たちと、もう一つはナビウリナ氏やチュバイス氏のように、どちらかというとリベラルな、西側との経済の協力も含めて重要視するという、そういうグループがいて。実はプーチン大統領は元々その両方にまたがって政権が成立していたわけですけれども、やはり今、間違いなくその層が「シロビキ」などの層にグッと偏ってきていて、もともと支えていった人たちが徐々に離れつつあると。その一番の大きな出来事がチュバイス氏の辞任ということなんだと思いますね。

ホランキャスター:
あと、「G20からロシアを排除するべきだ」というバイデン大統領の発言もありましたけれども、これは「G20」にロシアのプーチン大統領が来た方が、何かしらのコミュニケーションを取ることができるというふうには取れないんでしょうか?

畔蒜さん:
バイデン大統領としては、まずロシアを孤立化させるということが最優先。というのは、やはり「G20」となると中国の習近平氏もそうですし、あるいはトルコのエルドアン大統領もそうですし、プーチン大統領が話のできる人たちが集まってきます。だからプーチン大統領は「G20」に行きたいということなんだと思うんですけども、今はやはりできるだけ「プーチン大統領を、ロシアを国際的に孤立化させる」ということが今のアメリカの優先課題ということなんだと思います。

井上貴博キャスター:
この「プーチン離れか」ということで、でも本当にそんなに簡単なのか。例えば西側も日本も今、ロシア国内でプーチン大統領が孤立化して政権が倒れるというところを待っているように傍から見ると感じるんですけど。そんなに短いタイムスパンでプーチン政権が倒れるなんてことがあるのかどうかということについてはどうご覧になっていますか。

畔蒜さん:
私はそんなに簡単ではないと見てます。プーチン大統領の支持率そのものも、それほどまだ大きく劇的に下がっているということではないです。依然として国営の世論調査会社のデータですけど、やはりまだ70%以上がプーチン大統領の今回の戦争を支持している、ということですし。要するにロシアのプーチン大統領を支える根幹はやはり「シロビキ」という治安部隊、軍の部隊ですので、そこに関してはまだプーチン大統領から離れているという気配は今のところないということですね。

井上キャスター:
真綿で首を絞めていくような状況にしたいんだけれども、その時間が長引くほど、ウクライナで人の命が失われていくという状況が続いています。
(25日19:31)

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