「ネット中傷」厳罰化へ… TikTokケチャップさんも被害 “自発的にやめさせる”対策とは?
今、厳罰化の議論が進むネット上の誹謗中傷について。240万人のフォロワーがいるTikTokの人気クリエイター・ケチャップさん。実は日常的に誹謗中傷を受けていると話してくれました。また誹謗中傷を“自発的にやめさせる”という新たな対策も・・・。
■「早く死ねばいいのに」誹謗中傷は日常的
カットを細かく繋ぎ合わせたTikTok動画。「トランジション」と呼ばれる編集技術でカリスマ的存在の人気クリエイター、ケチャップさんです。
TikTokクリエイター ケチャップさん
「一応スマートフォン1台で全部撮影は完了させていますね」
山本恵里伽アナウンサー
「スマホ1台でできるんですか?」
TikTokクリエイター ケチャップさん
「はい、編集も全部。15秒で多いもので8時間ぐらいです」
山本恵里伽アナウンサー
「15秒に8時間かける!?」
時間をかけて丁寧に編集された動画が人気となり、フォロワー数は240万人に。その人気の裏で、「メイクと髪型きもい」、「早く死ねばいいのに」などの誹謗中傷の言葉も日常的に届くと言います。
TikTokクリエイター ケチャップさん
「普通に『死ね』とか言われますね。まつ毛を赤くしたりとか、髪型を特徴付けたりとかもするんですけど、なんかそれが『おかしいよ』みたいな。『普通にした方がいいのに』のもっと酷い版みたいな感じで届きます」
常にマスクをして撮影するのは、誹謗中傷から自分を守る一つの手段だと言います。
TikTokクリエイター ケチャップさん
「『傷つきたくないな』、『隠した方が総合的に楽だな』と思ってマスクをし始めました。眠れなくなったり、心に残ってしまう、自分の心が保てなくなってしまうときもあるんじゃないかなと」
■誹謗中傷に「侮辱罪」適用も 科料は数千円程度
誹謗中傷をめぐっては、2年前プロレスラーの木村花さんがSNS上で誹謗中傷を受ける中、自ら命を絶ちました。その後、誹謗中傷を受けた被害者たちが続々と声を上げています。
タレント・中川翔子さん(2021年10月20日OA)
「『自殺しろ』とか『硫酸かけるぞ』とか。人格とか命を脅かす言葉、言葉は人の命を奪うナイフになり得る」
中日ドラゴンズ・福敬登投手
「打たれた試合(の後)になると、おびただしい数の殺害予告等が来る」
2022年3月。愛知県警は、中日ドラゴンズの福投手に対し、ツイッター上で誹謗中傷をした侮辱の疑いで神奈川県の男性を書類送検しました。ところが仮に「侮辱罪」で有罪となっても、今の法律では、数千円の科料に留まるケースがほとんどです。
厳罰化を求める声が高まり、政府は侮辱罪の法定刑を「1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金」に引き上げる改正法案を閣議決定。今国会での成立を目指しています。
■「誹謗中傷で命を落とさないで」発信する想い
TikTokクリエイター のケチャップさんは、フォロワー数が増えた今だからこそ誹謗中傷について広く訴えたいと、こんなメッセージを発信しました。
ケチャップさんのTikTok動画より
「外見をいじるようなコメントをいただくことがあります。それを踏まえて『イジメ』とか『誹謗中傷』の総体というのは、『自分が知っている常識と違うから排斥する』という流れが多いのかなと感じます。『自分と違うから排斥する』のではなくて、『全く違う互いの存在』を認め合えたらそれは相手の気持ちを推し量るきっかけになるのかなと思っています。このインターネットを通じて出会った自分と皆様も、互いに人間として想い合えたらうれしいです」
山本恵里伽アナウンサー
「どんな想いから、動画を発信をしているんですか」
TikTokクリエイター ケチャップさん
「(誹謗中傷を受け)死にたいと思っている子に自分の経験を伝えることで、本当は『最悪の結果を回避できたらいいな』と思っているんですけど、そんな人に自分の動画が目に留まれば嬉しいなと思って」
すると、ケチャップさんの元には、「とても共感しました」、「めちゃくちゃ刺さりました」とのコメントが届きました。
TikTokクリエイター ケチャップさん
「共感する声をたくさんいただいたので、『1人じゃなかったんだ』という安心感があって、自分の境遇を吐き出すことでちょっと楽になるみたいな状況があると思うんですけど、そういうのが生まれてるなと思って、自分は嬉しかったです」
■誹謗中傷 自発的にやめさせる方法とは
誹謗中傷を自発的にやめるよう促すという新たな対策を行うNPO団体もあります。
山本恵里伽アナウンサー
「具体的にどのように対策しているのですか?」
NPO法人「ビリオンビー」小松崎礁さん
「誹謗中傷監視システム、このスレッドの書き込みは記録、監視対象となりました。これが我々が書き込んだものですね。」
掲示板に誹謗中傷の言葉を書き込まれた人からの依頼を受け、この掲示板に「監視対象となった」というメッセージを投稿します。
さらに協力する弁護士などが、内容について「人権侵害」と指摘した場合には、そうした情報も提供。すると誹謗中傷は激減しました。
NPO法人「ビリオンビー」小松崎礁さん
「残念ながら(誹謗中傷が)止まらないこともあるんですけど、7~8割は基本的には止まる。これ以降書き込ませないということを目的としています。」
■誹謗中傷で命を絶った友人・・・繰り返さないために
ネットに溢れる誹謗中傷を消すのではなく、加害者自身に気付かせて今後の投稿を自発的にやめさせるのです。
これまで無償でこうした対策に取り組んできた小松崎さん。その原動力は、15年ほど前、友人が誹謗中傷を受けた末に自ら命を絶ったことです。
NPO法人「ビリオンビー」小松崎礁さん
「相談を受けていて、100%力になれなかったですね。この友人を失った悔しさも続けていかなければならない一つのモチベーションになっています」
より多くの人を救いたいと、今後はこの監視システムを自動化することを目指しています。
山本恵里伽アナウンサー
「どうすれば誹謗中傷はなくなりますか?」
NPO法人「ビリオンビー」小松崎礁さん
「教育が全く追いついていないことが不思議なぐらい、ここまで(SNSが)普及しているのに。誹謗中傷にそもそもどういったものがあたるのか、まず知ってもらいたいですし、これを教育していきたいし、もっと行政と連携していきたいです」
(31日00:27)
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