上皇さま88歳の誕生日 “新種のハゼ”今年も論文発表

上皇さま88歳の誕生日 “新種のハゼ”今年も論文発表

上皇さま88歳の誕生日 “新種のハゼ”今年も論文発表

 上皇さまが88歳の米寿を迎えられました。長年続けてこられたテニスとハゼの研究を間近で見守り、支えてきた、ゆかりの人たちからも祝福の声が寄せられています。

上皇ご夫妻と60年以上交流 織田和雄さん
 「私も86歳ですから、2つ上の方が、まだお元気でいらっしゃるのはとてもうれしいこと」

 上皇ご夫妻とは、テニスを通じて60年以上の交流がある織田和雄さん(86)。上皇さまは、23歳だった1957年、軽井沢のテニスコートで、22歳の美智子さまと出会われました。その翌年、上皇さまから頼まれて、美智子さまに当時のお住まいの電話番号を伝え、電話をかけるよう何度もお願いしたのが織田さんでした。

上皇ご夫妻と60年以上交流 織田和雄さん
 「私(皇太子さま)が応接間の電話の前にいるから、(美智子さまから)お電話をしてくれないかと」

 織田さんのアシストで、「テニスコートの恋」は成就。出会いから2年後に、上皇さまと美智子さまは結婚されました。その後も、テニスを通じて織田さんとご夫妻の交流は続きます。

上皇ご夫妻と60年以上交流 織田和雄さん
 「(上皇さまは)派手じゃない、地味だけど丁寧なテニスをなさっていました」

 ただ、ご夫妻はこの2年近くは新型コロナの感染拡大を受けて外出を控えられています。

上皇ご夫妻と60年以上交流 織田和雄さん
 「上皇后さまをお連れになってテニスクラブにいらっしゃって(ほしい)。そうすると足の衰えも少し予防というか、止めることができる」

 テニスの再開がままならない一方で、コロナ禍にあっても上皇さまが続けてこられたことがあります。ハゼの研究です。今年5月にも魚類について34本目となる論文を発表。2種類の新種を発見し、自ら命名されました。

京都大学 中坊徹次名誉教授
 「(論文が掲載されたのは)国際的なレベルが高い学術誌。あれに載ったということがもうレベルが高いということになります」

 上皇さまの論文にアドバイスするなど、40年にわたって研究を見守ってきた魚類学者の中坊徹次さん(72)。新種の発見は特に手間のかかる研究で、中坊さん自身も一つの新種を明らかにするために7年かかったことがあるといいます。上皇さまが60年ほど続けているハゼの研究で、これまでに明らかにされた新種の数は10種に上ります。

京都大学 中坊徹次名誉教授
 「本当にね、やっぱり学者ですし、鋭いんですよ。根気があること、好奇心をお持ちであること、それから簡単に鵜呑みにしない」

 素人目にはとても見分けのつかないハゼの新種。上皇さまは独自の視点で、水底付近にいるハゼと水面付近にいるハゼは浮き袋の大きさが違うのではないかと仮説を立て、自らサイズを測って証明されたこともあるといいます。

京都大学 中坊徹次名誉教授
 「生態から形態の違いをお考えになるというのは、これはすごいことだなと私は思うんですけどね。普通逆なんですよ。形態しか見ない人が多くいて。やっぱり並みの質ではない」

 そのうえで、中坊さんは、ハゼの標本を眺められているときの上皇さまの表情が印象的だといいます。

京都大学 中坊徹次名誉教授
 「標本をご覧になっているときがどうも一番楽しい感じですので、できる限り標本をご覧になって、いつまでもお元気で続けていただければと思います」

 皇太子として、天皇として、長年、公務に多くの時間を費やす傍らで、根気強く続けてこられたハゼの研究。上皇さまにとって、一研究者として没頭できる貴重な時間なのです。(23日14:45)

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