【演説分析】繰り返し「ふるさとに戻りたい」発言 間接的な例えか
ウクライナのゼレンスキー大統領が23日、日本の国会で演説しました。大統領と交流があった専門家の分析では、日本の事情や心情に配慮し、共感を呼ぶフレーズが強調されていました。巧みな発信を支えるチームでは、元映画プロデューサーらが活躍しています。
■岡部教授「共感を呼ぶ表現」
有働由美子キャスター
「ウクライナのゼレンスキー大統領が23日夜、日本の国会で行った演説では『原発への攻撃』『サリンの準備』『侵略の津波』という表現がありました。ロシア軍の侵攻を、かつて日本に大きな被害をもたらした出来事になぞらえました」
「そして、『日本はアジアで初めてロシアに圧力をかけた国』と持ち上げた上で、経済制裁の継続、貿易禁止、機能していない国連安保理の改革を訴えました。印象に残ったフレーズについて、神戸学院大学の岡部芳彦教授にうかがいます」
岡部教授(ウクライナ研究会会長)
「一言でいうと「感謝」「平和」「復興」だと思います。例えば、『ふるさとに戻りたい』というワードを何度も使っていたことが印象的でした」
「直接例えてはいませんでしたが、われわれが聞くと、北方領土や、もしかするとシベリア抑留などを思い起こされた方もいるのではないかと思いました。非常に共感を呼ぶ表現でした」
■映像ではなく…言葉で「平和」強調
有働キャスター
「その中で日本の昔話の話も出てきました」
岡部教授
「視覚障害を持っている人に、ゼレンスキー大統領夫人のオレーナさんが読み聞かせしているというもので、私の記憶違いでなければ『桃太郎』だったのではないかと思います。日本人に配慮した内容だったと思います」
有働キャスター
「一方で、他の国で使っていたような映像はありませんでした」
岡部教授
「アメリカへの演説であったような、フィルムとしてはよくできていたのかもしれませんが、凄惨な戦場の眼を背けたくなるような映像はなく、大統領の言葉によって語っていました」
「特に、平和を意味する『ミール』という言葉は私が確認した限りでは12~13回使っていたのも非常に印象的でした。日本は平和国家であって軍事面で支援できませんし、それを意識した言葉遣いだったかなと思います」
■「チームゼレンスキー」の顔ぶれ
有働キャスター
「こうした演説やSNSでの発信でゼレンスキー大統領を支えるのが『チームゼレンスキー』です。大統領自身ももともと俳優でコメディアン、芸能プロダクションの社長でもあります。チームの中を見ると、元映画プロデューサーやIT技術者がいます」
「中でも岡部教授が最重要人物として挙げているのが、元映画プロデューサーのイェルマーク氏です。なぜ注目されているのでしょうか?」
岡部教授
「彼は大統領府長官で、側近中の側近です。副長官は10人前後いますが、3分の1が法律家で、官僚が3分の1、プロダクションから連れてきた人が3分の1。映画プロデューサーの経験で良くまとめるという役割があり、非常に重要な人物です」
■大統領の戦略は…「伝えるプロ」起用
有働キャスター
「チームゼレンスキーのメンバーを含めた戦略をどうご覧になりますか?」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「政治の世界で、チームの3分の1を占めるほど『伝えるプロ』を起用しているのがすごいと思いました。伝え方1つで、世論や戦況にどれだけ大きな影響を与えるかということ(を考え)、人選やSNSでの一挙手一投足まで神経を張り巡らせているように感じました」
「演説でも各国の文化を表面的にすくうのではなく、歴史的背景や国民性のようなものまで組み込んだ、とても精巧なものだと感じました。国に呼び掛けているというよりは、国民1人1人の意思や声を信じて訴えることで、世論を動かそうとしていると思いました」
(2022年3月23日放送「news zero」より)
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