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【専門家解説】ウクライナ“中立化” ロシアの妥協点と本気度は 「数日で停戦」実現性は
ロシア軍によるウクライナ侵攻で、注目されるのが「数日のうちに停戦」という発言です。ロシア側は、オーストリアやスウェーデンを例に挙げ「中立化」に言及しています。この背景や真意はどこにあるのでしょうか? 停戦の実現性を専門家と考えます。
■学校や病院も…ロシアなぜ攻撃?
有働由美子キャスター
「日本時間の17日午前4時現在、ロシア軍によって支配されている地域は、北部は大きな進展はありませんが、南部のオデッサは海にいる軍艦から砲撃されました。(南東部の)マリウポリでは1000人以上が避難していたとされる劇場が攻撃されました」
「攻撃前の衛生画像を見ると、劇場の両側に2か所、ロシア語で『子どもたち』と書かれています。これを見ると、避難している子どもたちがいるということがロシア軍も分かったと思うのですが…」
慶応義塾大学・鶴岡路人准教授
「攻撃の時にこの文字が見えたかどうかは分かりませんが、少なくとも劇場であることは分かって攻撃しています。許されない行為です。ただ、今までも病院を狙った攻撃なども行われています」
「市民に対して恐怖を植え付ける、戦意をくじくという形で学校や病院が狙われています。今後もこのようなことが続くと懸念されます」
有働キャスター
「この停滞を打破するために、ロシアはアルメニアやジョージアなどから、予備兵を投入するという情報がありますが、戦力としては大きいのでしょうか?」
鶴岡准教授
「精鋭部隊ということではないと思います。純粋に数が足りなくなってきたので、背に腹は代えられず、いろいろな所から集めているのが実態なのではないかと思います」
■スウェーデンとオーストリアの違いは
有働キャスター
「こうした中で注目されるのが、『数日のうちに停戦が実現すると確信している』という、ウクライナのポドリャク大統領府顧問の発言です。『両国の大統領が署名する文書の取りまとめを進めている』とも明かしています」
「さらにロシア側の代表のメジンスキー大統領補佐官も、『ウクライナがスウェーデンやオーストリアのような中立的立場を取ることを検討している』と述べています。これは、ロシア側が妥協できるイメージが具体的にできたということでしょうか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「軍事的な同盟であるNATOには、スウェーデンとオーストリアは加盟していません。一方で、主に経済的・政治的な協力の枠組みであるEUにはそれぞれ加盟しています」
「ただ、同じ中立といってもタイプが違います。スウェーデンはNATOに入らないことだけで中立を維持している形です。一方で、オーストリアは国際条約に基づいて規定されている永世中立です」
■交渉材料に…両国は「時間稼ぎ」?
有働キャスター
「今回ウクライナはどちら側なのでしょうか?」
小栗委員
「よく分かりません。それだけに、安全保障などに詳しい笹川平和財団上席研究員の小原凡司さんは『ロシアの本気度を疑って見ざるを得ない』と話しています」
「小原さんは『ウクライナは、ロシアに最後通牒を突きつけさせないために、交渉材料を持ち続けることが大切で、そのための時間稼ぎではないか。ロシアとしても、戦争を続ける気であれば、補給を整える意味でも時間稼ぎは悪いことではない』と指摘しています」
■「EU」「ロシア勢力圏」の関係は?
有働キャスター
「スウェーデンやオーストリアの名前が挙がったことについては?」
鶴岡准教授
「具体的な議論が始まっている証拠だろうと思います。ただ、ウクライナ側に言わせると、ロシア側がこういう議論をしているということのようで、分からないことがあります」
「スウェーデンはNATOには参加していませんが、NATOに参加していないということだけで『中立』と呼んでいます。軍事的非同盟と言われています」
「しかも今、NATOとの関係を強化しているところなので、見方によっては『ほとんどNATO』という状況です。オーストリアはそこまでいっていませんが、スウェーデンもオーストリアもEUには加盟しています」
「ロシアはウクライナに関して『NATOに加盟するな』という議論をしていましたが、おそらく本質は『ロシアの勢力圏にとどまってくれ』という話だったと思います。そう考えると、EU加盟とロシアの勢力圏は相容れません」
「ロシア側がスウェーデンやオーストリアを出してきた背景は、なかなか分かりません。NATOに加盟しないということだけを強調して議論しているのか、EU加盟を容認し得るという話なのか。ただ、勢力圏という発想からはEU加盟の容認は理解できません」
有働キャスター
「停戦協議の内容は、プーチン大統領も納得済みで行われているのでしょうか?」
鶴岡准教授
「ある程度は当然、話はしていると思いますが、細かい項目について、全て今の時点で承認しているかどうかは分かりません」
■鶴岡准教授「撤退どう完了させるか」
有働キャスター
「結局、数日中に停戦というのはあり得るのでしょうか?」
鶴岡准教授
「非常に難しいところで、他にもいろいろと争点があると思います。それらをまとめて数日以内に合意文書ができるのは、非常に懐疑的です。特に問題は、停戦合意とロシア軍の撤退は果たして一体のものなのか、ということです」
有働キャスター
「どういうことでしょうか?」
鶴岡准教授
「十何万人ものロシア軍が今ウクライナにいます。彼らをどのように撤退してもらうか、この手続きと手順、どう検証するのかは非常に複雑な交渉になると思います」
「しかも撤退が完了するまでの期間、例えばロシアが『ウクライナ側が停戦合意に反して攻撃してきたから反撃した』などとして戦闘が起こることもありますし、ロシアが軍の存在を圧力として使って何かを要求することなど、いろいろあると思います」
「撤退をいかに完了させるのか、ここまでしっかり計画ができて初めて、停戦が実現すると思います」
(2022年3月17日放送「news zero」より)
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