【手作り解説】韓国の新大統領 尹錫悦氏ってどんな人? 今後の日韓関係は・・・【サンデーモーニング】
過去に例のない僅差で韓国の大統領選に勝利した尹錫悦氏。検察時代には時の政権にも忖度することなく不正を追及し続けてきた尹氏の人物像に迫ります。
韓国大統領選に勝利した尹錫悦氏ですが、どのような人物なのでしょうか。
■尹錫悦氏の経歴
1960年、ソウルの出身。両親は大学教授で、韓国の名門ソウル大学の法学部を卒業するなど典型的な“エリート”でしたが、実は、司法試験で9回連続の不合格。10回目にしてようやく合格し、検事となった後は大物政治家などの摘発を行う特捜畑で頭角を現しました。
そんな尹氏が一躍有名になったのは2013年です。朴槿恵氏の大統領選での不正をめぐる捜査で、国会で「検察上層部から圧力があった」と証言。「私は権力者に忠誠を尽くさない」とまで言い切ったのです。
この発言で一度は左遷されますが、新たに浮上した朴槿恵氏の汚職捜査で捜査チームのトップに返り咲くと、朴氏を逮捕。こうした手腕を高く評価され、革新系の文在寅政権に抜擢される形で2019年7月、尹氏は検事総長に就任します。
その文政権に対しても忖度することなく、不正を追及し続けましたが、政権と対立が深まり、2021年3月に検事総長を辞任。しかし、こうした姿勢が保守層から大きな賞賛を受けて、政治経験のないまま、野党保守陣営の候補として、大統領選挙に出馬しました。
■僅差の“ワケ”
今回の選挙での得票の差ですが、わずか0.73ポイント。過去に例のない大接戦となったのです。なぜ、こうした結果となったのでしょうか。
当初は、就職難や不動産価格の高騰、側近らの相次ぐ不祥事など文政権に失望した若者を中心とする“批判票”を取り込んだ尹氏が圧勝するであろうというムードが醸成されていました。
しかし、実際は、こうした課題に対する政策論争よりも、両候補の身内のスキャンダルがやり玉にあがりました。
当選の決め手となった一つが、尹氏が公約に掲げる「女性家族省」の廃止です。ジェンダー平等を掲げるこの省の扱いをめぐり、女性層から反発を招き、票が対抗馬に流れたとされる一方で、一部の若い男性層から支持を集め、辛うじて勝利を収めたとの分析もあります。
■外交政策と政権運営
5月に大統領に就任する尹氏ですが、外交面でも課題が待ち受けています。北朝鮮について、「不法で不合理な行動に対しては断固として対処する」と強調。融和路線を進めた文政権の姿勢を転換する構えを見せています。
そして、日本との関係については、徴用工問題、慰安婦問題など様々な課題を抱えていますが、「過去よりも未来に向かって何が両国民の利益になるかを探っていくことが重要」だと表明。日韓関係の改善に意欲を示しています。
しかし、国会では、革新系の「共に民主党」がおよそ6割の議席を占めており、難しい舵取りが予想されています。
(「サンデーモーニング」2022年3月13日放送より)
(13日11:08)
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