大型トラック「路上駐車」問題 減らない迷惑駐車にはドライバーのやむを得ない理由 物流業界の課題は

大型トラック「路上駐車」問題 減らない迷惑駐車にはドライバーのやむを得ない理由 物流業界の課題は

大型トラック「路上駐車」問題 減らない迷惑駐車にはドライバーのやむを得ない理由 物流業界の課題は

 大阪市内の幹線道路で大型トラックの路上駐車が問題となっていて、警察が取り締まりに乗り出す事態となっています。地域住民が長年頭を悩ませる問題に根本的な解決策を見出せるのでしょうか。

 大阪市鶴見区の幹線道路「花博通」。平日の早朝、この道を走ってみると…。

 「トラックがかなり止まっているのが見えます。後ろから今見える限りでも、1、2、3、4台ほど止まっています」

 路肩に連なるように駐車する多くのトラック。しかし実はここ、駐車禁止の区域です。

 近隣住民
 「朝方ずっと止まってたりとかするので、渋滞がひどいのは気になります。20年近く住んでいるけど、結構前からあります」
 「警察がしょっちゅう来て移動をお願いしているみたいですけど、その時はなくなるんですけど、またすぐいたちごっこ」

 警察によると、花博通では、約800mにわたってトラックが連日、路上駐車していて、重点的に取り締まりを実施しているということです。路上駐車をしているドライバーを直撃すると…。

 (Q:ここが駐車禁止というのは?)
 トラックドライバー
 「はい 分かります。迷惑かけていますけど、でもやむを得ず止めている」

 大型車の場合、1万2000円以上の反則金が科せられる駐停車違反。ドライバーにとって交通違反のペナルティは死活問題。なぜ、それでも路上駐車をするのでしょうか。

 トラックドライバー
 「(荷降ろしが)何時(から)何時って決まっているので、時間が。その時間までにぴったりの時間に行かないと1台ずつしか入れないんですよ。ここで待つことしかない」

 ドライバーは、決められた時刻にしか搬入先に荷物を入れられず、一時的な待機場所も用意されていないため、路上駐車をせざるをえない状況だと釈明します。

 物流業界に詳しい専門家は。

 流通経済大学・矢野裕児 教授
 「対策としてはもちろん搬入・搬出する物流センターで駐車場を確保するというのが一番ですが、もし確保できない場合、公的に駐車場を確保することも重要」

 山口佐助 記者
 「路上駐車の問題を少しでも解決するために設置されたのが、この『荷さばき場』なんです」

 JR奈良駅前に設けられた「荷さばき場」。運送業者などが、店舗や住宅に荷物を集配する際、一時的に車を止めることができます。

 奈良市 建設部土木管理課・田中伸一さん
 「『駅前に設置してほしい』という要望がありました。(ドライバーは)喜んでおられるというのは聞いています」

 奈良市によって5か所の荷さばき場が設置され、料金はなんと無料。問題解決の糸口になればと、今後も主要駅を中心に設置が計画されています。

 一方、トラックドライバーを巡っては、路上駐車以外にも課題が。それは…。

 「430休憩」

 去年4月、ドライバーの休憩時間に関するルールが改正され、4時間を超えて連続で運転する場合には、30分以上の休憩をとることが定められました。

 長距離輸送を担うこちらの会社では…。

 「これはリアルタイムで、今トラックがどこを走っているかというのが分かるものになります」

 ドライバーが走っている場所や休憩の取得状況などをリアルタイムで把握しています。しかし、この休憩時間のルールには、頭を悩ませる部分も。

 トレーラージャパン大阪支店 星野慎二郎 支店長
 「(休憩の取得は)計画通りにはいかないですね、夕方ごろからサービスエリアは車が止められないというところが出てきますので、なるべく早めの休憩、時間をずらしたような休憩をとる形で指示は出しています」

 トラックを止められないことも多いというサービスエリア。実態はどのような状況なのか。実際に同乗させてもらうと…。

 トレーラードライバー 浅井悠童さん
 「夕方4時を過ぎたら、もうみんな パーキングに止まり出すので、止められないですよね」

 午後5時半ごろ。休憩のため、サービスエリアに到着しましたが…。

 トレーラードライバー 浅井悠童さん
 「(Q:どうですか)いっぱいですね」

 駐車場はトラックやトレーラーで満車状態。浅井さんはこのサービスエリアでの休憩を断念しました。

 様々な課題に直面する物流業界。あとを絶たない路上駐車問題を解決するカギはどこにあるのでしょうか?

◇◇◇◇◇◇

(中谷しのぶキャスター)
 今、現状このようになっています。この通りに、約800メートルにわたって路上駐車が起きていて、渋滞も発生している。積み込みや荷降ろしの順番待ちで、いわゆる「荷待ち」でこういった状態になっているということなんです。

 その通りのすぐ近くに駐車場があり、大型車5台が駐車可能だということなんですが、そこには使われていない訳があります。料金が1時間600円、そして荷待ちの平均時間3時間で換算すると1800円かかります。

 ドライバーからはこんな声が上がっています。「会社は待機の駐車料金を払ってくれない」ということなんです。専門家の方によりますと、荷主から配送業者に駐車料金が払われていないから、ドライバーにも払われていない現状がある、ということです。

 考えないといけないのが「配送料の価格転嫁」ということです。

 こういった背景もあります。ドライバーを守るための働き方改革が、ドライバーを困らせているという現状です。「430休憩」これは4時間ごとに30分以上の休憩を取らないということなのですが、ドライバーの方からは夕方を過ぎるとサービスエリアなどの駐車場に止められないという困った声が聞かれています。

 一方で、こういった取り組みもあります。例えばネクスコ西日本など高速3社は、大型車用の駐車スペースを2018年から約4000台以上増やしてきました。また埼玉県戸田市では、ボートレース上のバスターミナルを夜間に無料開放しています。

 さらにはこの先、こういった問題もあります。「2030年問題」です。宅配需要が増える一方でドライバーの担い手が不足する。つまり輸送能力が約34%不足と言われている「2030年問題」です。「2024年問題」と言われて1年半以上が経過して、この先また5年後に「2030年問題」がやってきます。

(指宿文 解説委員)
 もう生活に物流は全く欠かせなくて、一つ一つの食料品や日常品というのは物流を通らないと私たちの手元に届かないということを考えると本当に考えなきゃいけないんです。「430休憩」にしても物流業界の方に話を聞くと、ずっと前からサービスエリア各所に増やしてほしいというのは、この働き方改革が分かった段階の4~5年前から言ってらっしゃるんです。

 それでも変わらない。この法律だけはやってくるという状態というところをその現状に合わせて変えていかなきゃいけないですし、いま行政指導で「是正勧告」というものをやってきているものの、実際のところ、うまく行政指導が届いていないということを考えると、行政指導のあり方も、実名で勧告を出すなど対処を厳しくしていかないと、弱い立場の物流業者の下請けの方々に全部しわ寄せが来るという状態は変わらないんじゃないかなと思います。

(中谷しのぶキャスター)
 物流の効率化に向けて体制を整えていくのと同時に、こういった厳しい現状があるということも私たち消費者も理解していかなければならないと感じます。
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