美浜原発に原子炉“新設”へ 関西電力が地質調査の再開発表「稼働ゼロ」から一転…安全は?コストは?
関西電力は22日、会見を開き、福井県・美浜町での新たな原子炉の建設に向けた地質調査を再開すると発表しました。
“絶対に安全”、その神話が崩れてから14年。
原子炉の新たな建設に向けた動きが始まりました。
関西電力・森望 社長
「当社は2011年3月12日以降、美浜発電所の後継機設置検討の自主的な現地調査を見合わせてきましたが、再開することとしました」
関電が設置を目指しているのは、安全性が高いとされる、次世代の原発「革新軽水炉」です。関電は、地質調査をした上で、革新軽水炉の開発状況や、建設による費用対効果などを総合的に判断し、建設を決めるとしています。
美浜原発は現在、1号機、2号機の廃炉が決定。
3号機もまもなく稼働から50年を迎える中、増設に向けた地質調査は2010年から行われていましたが、東日本大震災の原発事故を受けて中断していました。
22日、福井県を訪れた関電の水田仁副社長は…。
関西電力 原子力事業本部長・水田仁 副社長
「美浜町の地元の方にどのようにご説明するのかというのは、町と皆様とご相談の上、やっていきたい。いずれにしても丁寧にしっかり説明するのが大事」
地元の住民は…。
30代女性
「この町が元気よく活性化されるんだったら、私は賛成。不安な要素が増えるということは私の中ではない」
20代女性
「作るのに反対というわけではないけど、不安が大きいような気がします。(福島第一の事故と)同じようなことが起こらないようにしてほしいのが一番の思い」
事故が起きた際に屋内避難などが必要になる30キロ圏内には、滋賀県長浜市や琵琶湖も含まれるなど、決して人ごとではない関西。
電気代や安全性など、暮らしへの影響が注目されています。
◇◇◇
(黒木千晶キャスター)
これから原発はどうなっていくが気になるんですが、今この原発はどうなっているんでしょうか?
(中島舞子記者)
はい。まず、今年日本のエネルギー政策について、大きな方向転換がありました。
2011年の東日本大震災の福島第一原発の事故をきっかけに、政府としては2030年代には原発稼働ゼロへという方針をずっと示していました。
そして、今年2月、閣議決定されたのがこちらです。
「原子力発電を最大限活用する方針」、原発をこれから使っていく方向に大きく舵を切りました。
国は、「日本経済が成長機会を失うことはあってはならない」と電力を作っていく方向へと原発を使おうという方向に持っていく話になっているんです。
(黒木キャスター)
きょう森社長はこのように話していますね。
(中島記者)
そうですね。新たに作る原発について、福島第一原発の事故を教訓にした安全面に配慮した構造であるこの「革新軽水炉」という全く新しい原発を作ることを念頭に進めていきたいとしていまして、その上で森社長は事業として成り立つかどうかはまだこれからとしています。
(黒木キャスター)
まず一回調査をしてみてということなんですね。
(中島記者)
そうですね。調査をして、そこに原発を作っていいというのが分かった上で、事業としてもちゃんと成り立つのかどうかというのをこれから検討していくということです。
(黒木キャスター)
このように、政府が原子力発電を最大限活用する方針に舵を切った理由というのはどういうところにあるんでしょうか?
(中島記者)
一つ言えますのがこちらです。
(中島記者)
私たちの生活が大きく変化したことが挙げられます。
14年前と比べても、スマホで写真を撮影して保存したり、ネットショッピングでスマホ決済したり。そのようにデータを使う機会が増えて、電力を使う場面が14年前と比べても増えたことがあります。
(黒木キャスター)
実際にどういうデータがあるんでしょうか?
(中島記者)
はい。
日本でもGoogleやAmazonがデータを処理する施設であるデータセンターを作ったり、たくさん電力を使うとされる半導体工場を新たに日本国内に作るとしていて、これらなどで使われる電力が向こう10年と比べても、向こう10年までに14倍も増えるという見通しが立っているんです。
(黒木キャスター)
安全性の課題については、どうでしょうか?
(中島記者)
まず必要なところで言うと、今原発自体が老朽化がやっぱり進んでいます。
美浜原発3号機でも今年で49年を迎えますし、原発というのは60年しか稼働できないんですけれども、老朽化が進んでいるというのがあります。
加えて、安全性についても課題がありまして、美浜町で、あってはならないことなんですけども、もし事故があったときに、避難経路をどうするんだというところもまだ整備を検討している段階です。
既存の原発の使用済み核燃料というのを処理する施設もまだまだ工場が未完成だったりと、今ある原発でも課題が残るのが現状です。
(黒木キャスター)
はい。私たちがやっぱり気になるのは安全性もそうですし、私たちが使う電気をどう確保してそのお金がどれくらいかかってくるのか、こちらも非常に気になるんですが、そこはどうでしょうか?
(中島記者)
はい。電気料金についてはこちらです。
原発は太陽光発電よりも高く、火力発電よりも安いといった位置づけにあります。
そして、新たに原発を作るとなれば、加えて建設費用が乗っかってきますので、電気料金というのは上がっていくものとみられます。もし、原発を作った場合ですが。
万が一のリスクもあります。
福島第一原発の事故では、事故のあった原発を廃炉にするのにおよそ8兆円かかったり、賠償金にもこのぐらいの金額がかかっていますので、かなりの金額がかかってくるというのがリスクとしてはあります。
(黒木キャスター)
高岡さん、このいろんなコストに関して、それぞれメリットデメリットあるかと思います。太陽光だったら面積がより必要だったり、原子力だと今言ったような安全性の問題、火力だとじゃあ脱炭素の中でどうしていくのか。
いろんなメリットデメリット議論していかないといけないですよね。
(高岡特別解説委員)
事業者が関西電力ですので、やっぱりニュースでも関西電力が決めたという言い方にどうしてもなりますが、結果は最後は国が認可を出しますから、やはり日本政府の方針が大きく変わって後を押しているという風に取った方が確かです。
世界はもうAIのスピード感なんですよ。AIがどんどん企業の経営から、法律の部門に入ってくるということになると、それを処理するデータセンターっていっぱい電力使うんですね。
それが早く立たない国は、乗り遅れてしまう。だから、世界的な潮流としては脱炭素だからというよりも、そのAIの世界に行くからどんどん作りましょうと。
フランスなんかは、原発とセットでAIの技術を応援します、なんていう宣言を大統領がしているぐらいですので、そういった背景もあると思います。
(黒木キャスター)
新設された場合ですけど、料金というのはこれからどうなっていくと考えられるんでしょうか?
(中島記者)
専門家に伺いますと、短期的に見れば建設費が上乗せされるので、電気料金は上がると。長期的に見ても、災害が起こればコストが増える懸念もあります。
再エネ発電を主力電源として、原子力発電を副電力とするバランスで考える必要があるとしています。
(中島記者)
きょう関西電力が会見に踏み切ったのは、やはり東日本大震災から14年経ったというのが大きいかと思います。
世論の流れだったり国の方針転換だったりというのが、後押しになったといえます。
(黒木キャスター)
やはり電力というのは私たちの暮らしに欠かせないものですから、そのエネルギー源をどうしていくのかというのはやはり中長期的にも考えていかないといけない問題だと感じます。
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