高校授業料の無償化制度 国が拡充決定「非常に心強い」私立に人気集中?関西の保護者や学校のホンネは
この春、国が高校授業料の無償化制度の拡充を決定しました。公立高校は完全無償、来年度には私立高校についても支援の幅が広がります。保護者や学校、学習塾の本音とは?関西の動きを取材しました。
3日朝、大阪市立我孫子中学校では入学式が行われました。新年度、多くの子どもが新たな門出を迎えた一方…
加藤沙織 記者
「私立中学校・高校の合同説明会にやってきました。大変なにぎわいとなっています」
週末、大阪・梅田で開かれたのは、私立学校22校が出展する学校説明会です。集まった保護者や子どもは約300組と、イベント史上最多に。
その背景にあるのが…
保護者
「今、無償化の話とかもありますので…」
保護者
「今回の無償化というのが非常に心強い」
高校授業料の無償化制度です。
大阪府では、去年から段階的に、家庭の所得に関係なく、府民であれば誰でも公立高校・私立高校ともに授業料“ゼロ”で通えるようになりました。
大阪在住の新中学2年生
「私立のほうが、先生からの手厚いサポートとかが多くあるから いいなと思うけど、でもお金が…」
大阪在住の父親
「親として一番望んでいるのは、本人が行きたい学校に行ってもらうこと」
そして今年、国も高校授業料の無償化制度の拡充を決定。
この4月から、家庭の所得に関係なく、公立高校の授業料が無償となるほか、来年度からは、私立高校でも家庭の所得が問われなくなり、支援金の上限も全国平均の授業料である45万7000円まで引き上げられる予定です。
大阪の制度をきっかけに全国一律で支援が拡充されることを受け、近隣府県の反応は…
兵庫県在住の母親
「ありがたいです単純に。最終的に子どもが決めることですが、(私立も)選択肢に入ってくるかな」
雲雀丘学園(兵庫)の山内 勉さん
「兵庫県の方から質問が出ます。『入学の時にはそう(無償化)なってるんですよね』という感じで…。僕もニコニコはしましたけど」
影響は、学習塾にも。
学習塾「成基」の 中内賢央 部長
「競争というか、勉強をして合格を勝ち取るという部分は、ある意味で激しくなってくる」
私立人気の高い京都の学習塾。今はまだ保護者などからの反応はないということですが、無償化の広がりは歓迎するといいます。
学習塾「成基」の 中内賢央 部長
「情報会、セミナーなどをたくさんやっていけば、塾生を増やすチャンス。そういう計画はしています」
一方、公立高校では…
「あしたをもちまして、この泉鳥取高校は、なくなってしまいます」
大阪府阪南市で唯一の府立高校、泉鳥取高校が3月末で閉校し、週末、同窓会の解散式が行われました。
大阪府では今年、私立高校を第一志望とする私立の「専願率」が過去最高となった一方、公立高校の平均倍率は1.02倍と、今の制度では過去最低に。少子化はもちろん、私立無償化の影響があるとみられます。
子を持つ親となった卒業生は…
子どもが6歳の卒業生
「どんどん(公立学校が)なくなっていって、『行く学校ない』という子も多いし、それで落ちる子もいるから、それはそれでかわいそうかなと」
府立泉鳥取高校・橋本敏和 校長
「大阪府としては(公立と私立で)切磋琢磨(せっさたくま)しなさいとあるのですが、難しいところですね。きれいさとか、そこで私学と公立を比べろと言われたら、もう絶対勝てる要素がまずないので」
期待の声が上がる一方で、課題も指摘される高校無償化制度。子どもたちの未来を守るため、引き続き、議論が求められています。
◇◇◇
(中谷しのぶキャスター)
こちらを見ていきます。高校無償化の「メリット」と「デメリット」です。
まず、メリットです。
授業料に関して、家計の負担が減るというところがメリットです。
そのことによって私立の選択肢が増える。実際に今年の専願率は、過去最高の35.04%だったということです。
他府県から すでに私学無償化を進めていた大阪府へという流れが、今後は全国一律になりますので、人口流出が今後解消されるのではというメリットも挙げられます。
一方で、デメリットもあります。
まずお金の面です。結局、公立と私立で切磋琢磨することによって、生徒にとっても受験戦争が激しくなる。そのことに伴って、塾など教育投資が今後さらに必要になって、これが教育格差が拡大することになるのではないか。
また、私立高校の人気の高まりで、入学金や施設整備費など増額される可能性もあるのではないかという点です。
また、公立離れが、そういったことによって進むのではないか。今年の平均倍率は過去最低の1.02。半数近くが定員割れで、統廃合によって公立の数が減ってしまうんではないかというデメリットがあるということです。
実際に、公立高校で「寝屋川ショック」と呼ばれる現象もありました。
今年度の最終出願状況なんですが、難関公立とも言われている寝屋川高校が「0.94倍」と定員割れしているというデータもあります。
一方で、公立高校も手をこまねいているわけではなくて、このような対策も行っています。
大阪府立高校の一般入試は、2028年度から一般入試の日程を前倒ししたり、第一志望校が不合格の場合は第二志望校に出願できる制度も導入する。
また、学校としても、国際科、工業科、商業科などで特色づくりを行っています。
専門家(慶應義塾大学の中室牧子教授)も、このように話をされています。
「環境の条件、建物や設備の古さなどが揃わないと、そもそも競争にならない面はありますが、中身で判断すると質の高い公立高校が淘汰されるリスクもある」ということです。
(横須賀ゆきの解説委員)
いずれにしても少子化で、統廃合が急速に進んでいくと思います。だから公立の学校の先生を減らさずに、設備投資もきちんと公立にもして、農業や工業や水産業など地方にたくさんありますから、そういう特色ある学部づくり、学科づくりというのも必要です。
私は、大阪に私学高校無償化が導入された時から取材をしているんですけど、やっぱり一番子どもたちの声で大きかったのは、高校生になると、朝に働いて、学校に通って、また働いて学費のカバーをしている子どもがいたんです。私学無償化になった時に、自分がもし私学を選べていたら、どんなにチャンスが広がっただろうっていう話をするんです。これ一人じゃないんです。
やっぱり子どもたちの目線で考えると、選択肢が広がることは、すごく重要なことだなって身に染みて感じたんです。
だからまず「平等性」という意味で、私学の高校無償化は一定効果があるんですけれども、今一つ懸念材料で起きているのは、今度は中学受験の方が過熱し始めている傾向があるんです。比較的収入に余裕がある人は、中学からも受験させようという傾向があるので、今度はこっちで格差が生まれるかもしれない、今後、見極めが必要だと思います。
(中谷キャスター)
一つ動けば、またそれに伴って影響が広がってくるというところもあると思いますが、子どもたちにとっていい選択ができる制度になってほしいと思います。
▼特集動画や深堀解説、最新ニュースを毎日配信 チャンネル登録よろしくお願いします!
https://www.youtube.com/channel/UCv7_krlrre3GQi79d4guxHQ
▼情報提供はこちら「投稿ボックス」
https://ift.tt/1Ed7bJz
▼読売テレビ報道局のSNS
TikTok https://ift.tt/ujP0m24
X(旧Twitter)https://twitter.com/news_ytv
▼読売テレビニュース
https://ift.tt/G5O7Yj1
▼かんさい情報ネットten.
Facebook https://ift.tt/jpi741b
Instagram https://ift.tt/wBsqPr4
X(旧Twitter)https://twitter.com/ytvnewsten
webサイト https://ift.tt/DfoRytT
▼情報ライブ ミヤネ屋
https://ift.tt/Yegvns6
▼ウェークアップ
X(旧Twitter)https://twitter.com/ytvwakeup
webサイトhttps://ift.tt/KhXg46E
コメントを書く