遺族「判決では無念晴れない」責任能力“認める”『京アニ事件』青葉被告に死刑判決【報道ステーション】(2024年1月25日)

遺族「判決では無念晴れない」責任能力“認める”『京アニ事件』青葉被告に死刑判決【報道ステーション】(2024年1月25日)

遺族「判決では無念晴れない」責任能力“認める”『京アニ事件』青葉被告に死刑判決【報道ステーション】(2024年1月25日)

アニメ界を支えていたクリエーターや、夢を持ち入社していた若き社員など、36人が亡くなり、32人が重軽傷を負った、京都アニメーション放火殺人事件から、4年半。犠牲者の数が戦後最悪となったこの事件で、青葉真司被告(45)に死刑判決が言い渡されました。

◆京都地裁「責任能力」認める

青葉被告自身も大やけどをしましたが、一命を取りとめたことから、裁判は行われてきました。

増田啓祐裁判長
「本件の主な争点は、本件犯行当時、被告人が心神喪失、または心神耗弱の状態でなかったか否かである。当裁判所は、被告人は本件犯行当時、心神喪失の状態にも心神耗弱の状態にもなかったと判断した。主文、被告人を死刑に処する」

裁判所は、青葉被告の責任能力を認めました。

◆裁判長「環境に責任転嫁」と断罪

青葉被告は、京都アニメーションに放火した動機について、このように話しています。

青葉被告
「自分が書いた小説を、京アニに盗用され恨んでいた。闇の組織のナンバー2に、付け狙うのをやめさせるため、犯行を決意した」

ただ、こうした主張に裁判所は…。

「動機の形成については、妄想性障害が影響しているが、大量放火殺人という手段を選択したのは、被告人自身の判断であって、犯行を思いとどまる能力が著しく低下していたとはいえない」

公判では、青葉被告が父親から虐待を受けて育ったなどの生い立ちが明かされ、そして「申し訳ない」という言葉も述べていました。その件については…。

「虐待の影響もあって、独善性・猜疑心が強く、攻撃行動をしやすい性格傾向が、犯行に影響した可能性は否定できない。しかし、犯行当時41歳であったことからすれば、与えた影響は限定的であり、責任非難を減じる事情ではない」

「今もなお、周囲の環境等に責任を転嫁しており、被告人の他責的で自己中心的な考え方は変わっていない。死刑を回避し得る事情を見いだすことはできず、被告人に対して死刑をもって臨むほかない」

◆遺族の言葉に裁判員「法廷で涙」

戦後、最も多い犠牲者を出し、裁判員裁判も異例の長さとなった、京アニ事件。裁判員たちは感情の置き場が難しかったと振り返ります。

会社員(30代)
「感情的にならないようにと心がけて参加していたが、実際、話を聞くと法廷でも涙が出てしまって。胸が痛くて、つらい気持ちになりました。事件を理解するのに必要な時間だと感じました」

会社員(40代)
「被害に遭われた方、遺族の意見を聞いて、命の重みを痛感しました。こういう裁判ではないと感じることができないところもあった。表現難しいが、感情をおさえるのに苦労しました」

判決の中で、裁判長は遺族感情についても触れています。

「被害者の遺族らは、DNA鑑定の結果が出て、遺体の身元が判明するまで、絶望的な気持ちや生存を信じたい気持ち等が交錯する中、不安な日々を過ごした。その中には、警察から、遺体の損傷が激しく、遺体を見るのは勧めないと言われながらも、やっとの思いで、変わり果てた姿と対面することになった方や、顔を見ることができず、心残りに思っている方もいる」

◆遺族「判決では無念晴れない」

妻が京アニで人気アニメのキャラクターデザインを務めていた男性は…。

寺脇(池田)晶子さんの夫
「最初は、区切りになると思っていたけど、晶子にとって一番心配なのは子どものことだろうし、判決っていうのは、1つの中間報告でしかない」

息子はこの春、中学生になります。寺脇さんが出席した公判は、13回を数えました。「死刑」という判決を聞き、このように思ったそうです。

寺脇(池田)晶子さんの夫
「簡単に言ってしまえば、たぶん安堵したんだろうなって。『やったー良かったー』『思っているように死刑判決が出た』という単純な気持ちではないです。晶子からはたぶん『で?その次は?』『子どものことは?他のことは?』と言われるじゃないかと。もっともっとアニメを描きたかっただろうし、子どもの成長を横で見たかったんだろうなと。本当に無念だろう。であるがゆえに、青葉さんの判決だけでは、まだまだ晶子の無念は晴れないだろうなと」

寺脇(池田)晶子さんの夫
「(Q.青葉被告の退廷の様子をずっと見ていて、印象的でしたが)親として、子どもにはありのままを伝えたい。退出する時に、判決をどう思っているんだろう。受け入れているのか、いないのか。自分の犯したことの結果をまず、かみしめてほしい。それができれば、今の彼であれば、反省と謝罪というのは自ずと考えてくれるのでは」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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