“アートの公園”に美術館建設 3回とも業者応募なしの理由は?…近隣住民反対も(2023年11月30日)

“アートの公園”に美術館建設 3回とも業者応募なしの理由は?…近隣住民反対も(2023年11月30日)

“アートの公園”に美術館建設 3回とも業者応募なしの理由は?…近隣住民反対も(2023年11月30日)

 東京・町田市の新たな美術館の建設計画を巡って、建設業者を選定するための入札が3回にわたって行われながら、まだ決まっていません。何が起きているのでしょうか。

■理由は…“施工業者の応募がない”

 町田市にある「芹ケ谷公園」。東京ドームおよそ3個分の敷地に、豊かな緑と水を生かした様々な広場が設置され、市民の憩いの場として親しまれています。

 また、全国的にも珍しい版画を専門とした美術館があり、「アートが楽しめる公園」としても人気です。

 そんな公園で今、「版画美術館」の隣に新たに「工芸美術館」をつくる計画が進められています。ところが、建築計画を知らせる看板には「着工予定、未定 完了予定、未定」と記されていました。

 当初の建設計画が進まず、先延ばしになっているのです。その理由は、“施工業者の応募がない”というものでした。

 市はこれまで20億円を超える予算で3回にわたり、施工業者を選定するための入札を実施。しかし、3回とも応募した業者がいなかったため、中止を余儀なくされました。

■建設業者「色んな意味で厳しい仕事」

 市内にある建設業者は、入札参加を見合わせた訳について、こう話します。

 システム・ハウジング建設 渋谷俊彦社長:「金額のところが、なかなか厳しい予算だったということが一つです。人件費もそうですし、色んな細かな資器材も例外なく、すべての価格が上がっていますから。あとはスケジュールですね、工期ですね。工事の難易度ですとか、色んな意味で、なかなか厳しい仕事だなと」

■斜面崩して数百本の樹木伐採…建設計画

 建設業者が語る“難しい工事”とは…。地元の1級建築士に現場を案内してもらいました。

 地元の1級建築士 渡邉太海氏:「ちょっと急ですけど、この上が今回の建物の計画の場所です」

 向かった先は、公園内の最も高い場所にある広場です。

 渡邉氏:「この裏ですね。あの裏辺りが建物になるわけなんです。崖地の上に、中腹に建物を建てるということで、建物の建設にすごく手間がかかるというか、お金がかかる」

 さらに…。

 渡邉氏:「こちらの左側の木を実は全部切っちゃうんですよ。これを切ってですね、すっきりさせて、ここに工事車両の通路を作りましょうと」

 渡邉さんによると、建設計画では、斜面を崩して数百本の樹木を伐採するということです。

 渡邉氏:「それもすごくお金がかかっちゃうんですね。そういう経費が結構、入札に響いちゃっているのでは」

■市担当者「必要な部分ではあるのかなと」

 番組の取材に対し、市の担当者は次のようにコメントしました。

 町田市の担当者:「整備すべきところは整備をする。切るべき木は切らなければならない。公園を安全に楽しんでもらうためには、必要な部分ではあるのかなと思います」

 しかし、問題はこれだけではありませんでした。

■“建設見直し”署名運動も

 町田市で建設が計画されている新たな美術館の入札で、3回にわたり応募した建設業者がいなかった問題。さらに、公園の周辺では、計画の見直しを求める“のぼり”が至る所に掲げられていました。

 芹ケ谷公園近隣住民有志の会 清家亮三代表:「反対した最大の理由は500本、この公園の木を500本も切ると。少なくとも、今、予定地の傾斜地、そこに建てることは勘弁してほしいと」

 自然が破壊されるだけでなく、大量の土砂が出ることや、騒音などの影響を懸念していました。現在、建設見直しを求める署名が、およそ9500人分集まっているといいます。

■町田市 “建設見直し”しない方針

 新美術館の建設について、市民はどう思っているのでしょうか?

 賛成 80代女性:「いいんじゃないかしらと思います。町田は結構そういうのをやってますよね」

 反対 70代男性:「反対です。やっぱり緑がなくなって、違和感を感じますね」

 やや賛成 20代男性:「計画案自体は面白い計画だなと。少なくとも反対ではないですね」

 市は今のところ、建設計画の見直しはしない方針を示しています。

(「グッド!モーニング」2023年11月30日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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