カキ小屋内は30℃“季節外れの暑さ”で秋の味覚に異変続々 サケ不漁でイクラも心配(2023年11月5日)
きょう4日も熊本で真夏日を記録するなど、この3連休、季節外れの暑さが続きました。
一方で多くの人が楽しみにしている秋の味覚には「暑すぎた夏」の影響が…
■3連休最終日熊本は史上初“11月の真夏日”
(奈良から来た観光客)「もうTシャツじゃないと無理ですわ」
Q.11月に入ってこの暖かさはどう?
「異常です」
(神戸から来た観光客)「11月になって涼しいかなと思って来たんですけどめちゃくちゃ暑かった」
3連休最終日のきょう5日、西日本では、季節外れの暑さが続きました。
(金敏雅記者)「きょうの熊本市の最高気温は30℃を超えました。立っているだけでも汗がじわじわと出てきます」
熊本は、最高気温が30℃まで上がり真夏日に。11月としては観測史上初の暑さとなりました。
(観光客)「きょう暑いですね。結構日が照って、冬場なんですけどすごい汗かきました」
異例の暑さに桜も…
(桜の所有者)「これ植えて3~4年経つけど初めてですね。ここのところの陽気ですね」
このほか福岡で29.3℃、大阪で27.9℃と各地で真夏日に迫り、名古屋で11月に3回目の夏日となったのも観測史上初です。
■カキ小屋盛況半袖・汗だくで味わう秋の味覚
最高気温23.7度を記録した横浜市。“夏日”とまではなりませんでしたが、こちらは、ちょっと違います
(武隈光希アナウンサー)「横浜市金沢区にあるカキ小屋に来ています。手元の気温は現在27℃を超えています。きょうは3連休ということもあって、多くの方で賑わっています」
炭火で焼いて、熱々をいただく、秋の味覚『カキ』。今月1日に期間限定でオープンした、こちらの『かき小屋』では、炭火の熱から逃れるためか、屋外の席が大人気。しかし…
(お客)「暑いね」「暑いですね」
テント内の温度を計ってみると…屋外にもかかわらず、30℃。半袖の人も目立ちます。
(お客)「ちょっと汗だくでもカキは美味しいので、カキはこれからだから」
一方、店側の悩みは、品質の良い食材の確保です。
(海の公園かき小屋黒川金一郎店長)「カキの供給が不安定な部分があります」
夏の記録的な暑さによる海水温の上昇でカキの生育が悪く、供給が遅れていると言うのです。
(黒川金一郎店長)「通常だと前日とかに発注すれば入れてもらえるのですが、今年に関しては2、3日前とか、長ければ1週間前から(発注を)入れないと、数がある程度確保できない。寒くなってきた方が、カキが安定した数も出てくるので、早めに寒くなってくれるといいかなと」
■仕込みの最盛期“酒どころ”襲う酷暑の余波
全国有数の酒どころ山形。品評会で高い評価を得た地酒を楽しむことができるこの施設には、多くの観光客が訪れています。
(東京からの観光客)「この季節、紅葉が良くて日本酒もかなり熟成して美味しい季節になるのかなって思って」
(大阪からの観光客)「がぶがぶ飲んでます。(日本酒が)あまり好きじゃないんですけど、めっちゃ飲みやすいですね」
しかし夏の猛暑は、いま本番を迎えている“酒造り”にも影響を及ぼしています。
(秀鳳酒造場杜氏相田勝之さん(54))「(酒の)でき具合にかなり影響しますね。今年に限っては高温障害もあって、今まで経験したことがないくらい良くない状況で…」
こう話すのは、杜氏の相田勝之さん。創業133年を迎える老舗のこの蔵元で36年に渡って酒造りに携わり、数々の賞に輝いてきました。しかし…
(相田勝之さん)「めちゃくちゃあるなぁ、これ…」
相田さんの頭を悩ませているのが、米の品質です。
(相田勝之さん)「一番最初の精米からまず壊れちゃうんで、精米で壊れて、浸漬で水分を吸わせるんですけど、その段階でめちゃくちゃ割れちゃうんですよ」
酒造りは、米を磨く『精米』から始まります。さらに米ぬかを水で洗い流し、水に漬けて水分を含ませるのですが、これらの工程で、米が割れて小さくなり、想定を超える水を含んでしまいます。このような米は、日本酒の味を左右する“麹”の育ち方を悪くすると言うのです。
(相田勝之さん)「きれいな酒質を目指しているんですけど、味の多い(雑味がある)後味の残るような酒質になりやすいかもしれない」
こうしたことから相田さんは、これまでの品質と味を保つため、試行錯誤を繰り返していますが、不安は残ります。
(相田勝之さん)「毎年同じことなんですけど一番難しいのが洗米。今年はなおさら集中してやらないと難しい年かなと…(例年と)違ったお酒も出せないですし、なるべく近づけるようにはしている」
■サケ激減1日1000匹→50匹食卓にも影響
暑さの影響は、日本の朝食の定番ともいえるあの魚にも出ています…
「サケが今、次々と水揚げされています。立派なサケですね。ただ数は少ないように見えます」
Q.サケの漁獲量は?
「ダメっス!」
(寺泊漁業協同組合栗田哲也さん)「例年の5分の1から3分の1くらい。きょうの本数は50本ちょっと、多い時だと1000本近く行くときもあります。今のところ去年よりも少なめ」
さらに、とれる魚にも変化が…
「カツオが入るのは初めてですね。温暖化とかそういう影響なんでしょうかね…」
普段ならば寺泊ではとれない魚も水揚げされています。激減するサケ。その影響は食卓にも。
(寺泊中央水産山口誠太郎社長)「値段の安いサケがなくなっているから売りにくいですね。天然のサケの場合は数があればある程度値段が下がるので、割と安く売れる商材なんですよね、特にメスは数が少ないので取り合いで結構高いです」
何が起きているのでしょうか?新潟県柏崎市で、サケが遡上する谷根川を取材すると…
「サケが川を上っているんですが、数はそれほど多くはありません」
水中カメラで見てみると…川には、サケの遡上を見守る人の姿も…
(サケの孵化場で働く小峰崇弘さん)「いや~いないや…」
「最初の初漁日は去年と比べて多かったので(今年は)いいのかなと思ったんですけど、さっき川の状況見て(サケが)少なかったのでだんだん不安になってきますね…」
この川に遡上するサケを捕獲し、放流を行っている孵化場でもサケの減少に頭を抱えています。
Q.平成27年度は2万という数字だったのがサケはとれなくなっている?
「そうです」
Q.10分の1くらい?
「うん、県内全域ほとんど不漁なんだわ…」
谷根川では、ここ数年3000~5000匹のサケが獲れていましたが、去年は1700匹あまりに激減。今月末に予定されている「豊漁さけ祭り」の開催も危うい状態です。
(柏崎市さけ・ます増殖事業協会片山洋一会長)「祭りが25日に控えている関係上、サケが帰って来るかどうかが不安ですね。ちょっと(サケの)姿が見えないからさ、焦りはじめてる…」
新潟県のサケの漁獲高は、2015年をピークに徐々に減少。こうした現象は、全国的に起きているといいます。サケの遡上が見られる地域は、各地で孵化場を設け稚魚を放流、水産資源確保のため、孵化放流事業を行って来ました。そんななかでも、サケが減ってしまう理由とは…
(寺泊漁業協同組合栗田哲也さん)「例年より暖かい海になっているんじゃないかと思いますね。サケに限らず魚は適した温度・海水温がある。サケが来ないということはサケに適した温度ではない。多分20℃以上ぐらいはあるんじゃないでしょうか」
きのう4日の日本周辺の海水温は20℃以上あり、高い水温を嫌うサケには厳しい状況です。そしてこれは、来年以降のサケ漁に大きな影響を与えると言うのです。
(栗田哲也さん)「ある程度サケが上がってくれないと採卵活動、孵化させることも卵の絶対数が少なくなるので、それ自体出来るかどうか大きく影響します。まったく先が読めない状態なので(サケが)来てくれることを願うしかないですね…」
11月5日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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