「中ロの縄張り争いも」ウクライナの最大貿易国・中国の出方は?専門家解説(2022年3月1日)

「中ロの縄張り争いも」ウクライナの最大貿易国・中国の出方は?専門家解説(2022年3月1日)

「中ロの縄張り争いも」ウクライナの最大貿易国・中国の出方は?専門家解説(2022年3月1日)

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐり、40年ぶりに国連総会の緊急特別会合が始まりました。加盟国からは、ロシアを非難する発言が相次いでいて、ロシア軍の即時撤退などを求める決議案が採択される見通しです。

ロシア情勢に詳しい防衛省防衛研究所の兵頭慎治さんに聞きます。

(Q.国連の中でもロシアは多くの国から批判されていますが、プーチン大統領の心は動かされないのでしょうか)

兵頭慎治さん:「今回の軍事侵攻がすでに、ウクライナへの主権を侵害する国連憲章違反、国際法違反です。孤立することを覚悟して軍事侵攻をしているため、国連を含めた国際社会からどう見られるかは全然気にしていません。国際社会の目を気にすることなく、自らの目標に向けて突き進んでいるのだろうと思います」

(Q.ロシアと関係が良好とされる中国の動きはどうですか)

兵頭慎治さん:「中国とウクライナの関係は非常に密接なところがあります。ウクライナにとっての最大の貿易相手国は中国です。中国の一帯一路構想ではウクライナが要衝で、すでに中国の武漢からウクライナのキエフまでの直通電車が開通しています。中国はウクライナに対し、2年連続で20億ドルを超えるインフラ投資を行っています。

軍事的な関係もあり、中国初の空母『遼寧』はもともと、旧ソ連製のものをウクライナから購入しました。世界最大の揚陸艇『ズーブル』も、クリミア半島の造船所でウクライナが造って、中国に供与しました。中国の海洋戦力増強を助けています」

(Q.ウクライナが大事な国であれば、中国がロシアをいさめることはできませんか)

兵頭慎治さん:「縄張り争いの構図もあり、それは難しいです。ロシアはウクライナを自らの支配下に置こうとしていますが、中国も経済・軍事技術的に密接な関係にあります。ロシアは今のところ、ウクライナがNATOに入ることを気にしていますが、その次は中国がウクライナに影響力を伸ばすことが望ましくないです。一方、中国も、ウクライナがロシアの支配下に入ることは望んでいないと思います」

ロシアへの経済制裁の影響は日本企業にも広がっています。イギリスの石油大手『シェル』は、ロシア・サハリン沖の石油・天然ガス開発事業『サハリン2』から撤退する方針を決めました。この事業には『シェル』のほか、ロシア国営のガス会社、そして、日本の『三井物産』と『三菱商事』の4社が出資しています。三井物産と三菱商事は、今後の対応について「検討を進める」としていますが、エネルギー安全保障にも関わる問題だけに難しい対応を迫られる状況です。

(Q.ロシアへの経済制裁で、日本も影響受けることになりますか)

兵頭慎治さん:「日本はエネルギー供給源の多角化を図り、依存度を中東から下げようとしていて、1割弱くらい、ロシアから液化天然ガスと原油を輸入しています。今回、日本も欧米諸国と連携する形で経済制裁を強めていく場合、ロシアからのエネルギー輸入の見直しも求められると思います」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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