クマ 30時間“立てこもり”麻酔効かず…柿、栗の木にも続々出没 校庭駆け抜ける姿も【羽鳥慎一 モーニングショー】(2023年10月31日)

クマ 30時間“立てこもり”麻酔効かず…柿、栗の木にも続々出没 校庭駆け抜ける姿も【羽鳥慎一 モーニングショー】(2023年10月31日)

クマ 30時間“立てこもり”麻酔効かず…柿、栗の木にも続々出没 校庭駆け抜ける姿も【羽鳥慎一 モーニングショー】(2023年10月31日)

 岩手県で住宅の敷地内にある倉庫にクマが侵入しました。麻酔の吹き矢を使いましたが、最初は効果がなく30時間倉庫にとどまったということです。

■住宅の倉庫でクマ“30時間”立てこもり

 30日、山あいの静かな集落には、緊迫した空気が流れていました。

 警察官:「ちょっと車も一緒になんぼか下がってもらっていいですか。あと作業中は車の中にいてください!」「近所の方も危ないので、1回家の中に避難という形で」

 物々しい規制線、慌ただしく動く警察官。その訳は、30時間にも及ぶクマの立てこもり。クマが長時間居座ったのは、岩手県奥州市の住宅敷地内にある倉庫です。

 倉庫の持ち主 葛西拓也さん:「最初、家の周りを(クマが)うろついているのを家族が見つけて『クマがいたー』って叫びながら家の中に入ってきて、家の周りの壁をクマがちょっとたたいたんですよ」

 29日午前8時半すぎ、家を出ると、道路の方から敷地内に侵入してきたクマと遭遇。驚いて、すぐに家の中に戻ると、クマは住宅の隣にある倉庫の中に入っていきました。

■“興奮状態”での麻酔「致死量に近い量必要」

 倉庫に入り込んだのは体長1.5メートルほどのメスのクマで、その後、30時間にもわたって居座り続けました。なぜ長時間、クマが立てこもることになったのでしょうか。

 奥州市 農地林務課 鈴木圭史係長:「(おとといは)クマがかなり動いていた状態だったので麻酔はできないということで、まず追い払いを前提でやってましたが、どうしてもクマが出ませんでしたので、捕獲という方法を取ると決定した」

 住宅街のため銃は使わず、花火などで倉庫から追い出そうと試みましたが、うまくいきませんでした。また、興奮状態で動いているクマに麻酔を使うこともできなかったといいます。

 動物研究家 パンク町田さん:「落ち着かせないと麻酔は効きません。興奮しているとノルアドレナリンが脳内を巡っていますから、興奮してる状態で麻酔を打つというのは、通常で考えたら致死量に近い量を打たないと寝ない」

■再び“吹き矢”で…

 立てこもりから24時間以上が経った30日午前中に新たな動きが…。大きなオリが現場に運ばれてきました。

 奥州市の担当者:「(きのう)午前中に吹き矢を使って、麻酔を3度試したが効かなかった。麻酔の量が足りなかったようだ」

 吹き矢を使い麻酔を打ち込むも、捕獲には至りませんでした。吹き矢を使った捕獲は過去にもあります。

 2010年7月、山梨県富士吉田市の市街地に現れた、体長1メートルのクマを捕獲した時の映像です。

 クマは木に登ったまま居座り、一向に下りてくる気配がありません。クレーン車でクマに近付き、様子を伺う男性の手に握られているのは、人の背丈ほどもある長い棒。これがクマに麻酔を打つための吹き矢です。

 さらに近付き狙いを定めると、吹き矢が命中したクマは異変を感じたのか枝を飛び移りますが、木の上で眠ったところを捕獲されました。

 奥州市での立てこもりクマの捕獲では、午後にも再び吹き矢を使った麻酔が試みられました。

■捕獲のクマは“捕殺”「危険を考慮して」

 30日午後2時半ごろ、麻酔がようやく効き30時間立てこもったクマを捕獲。クマの恐怖から解放された住人はこう話します。

 葛西さん:「これが、たぶん爪痕なんじゃないかな」

 クマが捕獲されてから倉庫に近付くと、激しく暴れたのか、シャッターは大きくへこみ、爪痕らしい傷がありました。クマが去った後の倉庫の中は、物や落ち葉が散乱していました。

 葛西さん:「(捕獲されて)安心しましたね。また同じようなクマが来なければいいなと、とにかく思うだけです。あと日本全国クマがいっぱい出るんで、皆さんも気を付けてもらえればなと」

 捕獲されたクマは、捕殺になりました。

 鈴木係長:「今回のクマにつきましては住宅の納屋に侵入したこともありまして、今後も来る危険性があるものでしたから、県と協議して今回はその危険を考慮して山の方に連れていって捕殺という形をとらせていただいた」

■柿の木にクマ「植えなきゃよかった」

 奥州市では最近、頻繁にクマが目撃されていたといいます。

 2週間前に撮影された映像には、今回捕獲されたクマとの関係は不明ですが、餌(えさ)を探しているのか、斜面をゆっくり歩くクマの姿が。すぐ近くには小屋がありいつ人と遭遇してもおかしくない場所です。動画を撮影した男性はこう話します。

 近隣住民:「出たのが10月の中ごろかな。家の前に栗の木、栗の木に来て、餌がないなら食いに来るよね」

 さらに別の近隣住民も、クマを目撃していました。

 近隣住民:「柿の木とか、それに(クマが)きてますね。食べに来てますよ。毎日のようにじゃないですか」

 毎日のように敷地内にある柿の木にクマがやって来て、柿を食べているといいます。

 近隣住民:「あれ、爪の痕」

 大切に育てた柿の木に付けられた爪痕。その大きさから一目でクマのものと分かります。この状況に近隣住民は嘆息しています。

 近隣住民:「(柿の木を)植えなきゃよかったなと思っている。こうなるんであれば」

■クマ“カロリー必要”で「甘いもの探す」

 29日、同じ岩手県雫石町でも89歳の女性がクマに襲われ、頭や顔にけがをする被害が発生しました。

 クマの狙いは、女性の自宅の玄関前にあった柿の木。クマは柿の木に登り、柿を食べていたといいます。

 秋の味覚を食い荒らすクマは今月、全国各地で出没しています。

 秋田市で撮影された映像では、建物の屋根に登った2頭のクマが、柿を食べる様子が捉えられています。別の映像でもクマが器用に柿の木を登りながら柿を食べる様子が捉えられています。

 新潟県阿賀町では、柿の木に潜んでいたクマに60代の男性が襲われました。

 クマが潜んでいた柿の木には、木の幹には至る所に大きな爪痕が。柿の実もクマにかじられたような跡があります。

 クマが柿を求めて人里に下りてくる理由について、野生動物の生態に詳しいパンク町田さんは説明します。

 パンク町田さん:「あのでかい身体を維持するためには、カロリーの高い食物をいっぱい食べないといけないので、そのためには甘いもの探す。果物でも芋でもそういう糖質の多いものは大好きです。はちみつなんかも食べる」「(Q.家に果物などの樹木がある人はどうすればいい?)熟れ始めは匂いが強くなるから呼び寄せる可能性がある。完全に熟す前に、すべて収穫するのが一番良いと思う」

■中学校庭をクマ駆け抜ける…生徒は不在

 「過去最悪」のペースで増え続けるクマ被害。目撃情報も相次いでいます。

 秋田市で、地元の猟友会が人里に下りてきたクマを爆竹で追い払う様子です。クマは爆竹の音に慌てて逃げていきます。

 宮城県富谷市の真夜中の住宅街には、餌を探すかのようにゆっくりと歩く2頭クマの姿が映っていました。

 さらに、岩手県滝沢市の中学校では雨の中、勢いよく校庭を駆け抜けるクマが目撃されています。

 滝沢第二中学校 坂本琢磨副校長:「走る姿が速いと思いましたし、実際クマに追いかけられたら逃げれない恐怖を感じました」

 目撃された時間は、幸いにも全校生徒がテストを受けていたため、校庭に生徒はいませんでした。

 坂本副校長:「いつもであれば生徒がいる場所だったので、余計怖いなと思いました」

 滝沢市によると、30日も市内のリンゴ農家などがクマの被害を受けるなどの情報もあり、今、前例のない事態が続いているといいます。

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2023年10月31日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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