「銚子電鉄」運転士不足に“救世主” デビューに密着 3期連続黒字へ…新たな秘策も(2023年10月6日)
千葉県のローカル鉄道「銚子電鉄」は運転士不足に悩まされているなか、ある若手が救世主に成長した。さらに3期連続黒字に向け、新たな秘策を打ち出している。
■「夢グループ」とのコラボ なぜ実現?
銚子電鉄が先月から行っているのが、通信販売事業などを行い、テレビCMなどで話題の「夢グループ」とのコラボだ。一体、どういうことなのか。
銚子電鉄 竹本勝紀社長:「当社が販売している1日フリー切符で、“弧廻手形”というもの。銚子市内の25以上の施設の割引が、切符を見せれば受けられるお得な切符」
竹本社長はこの切符を世に広めるため、夢グループの石田社長が銚子電鉄沿線施設の割引情報を伝えるという奇策を打った。さらに、夢グループ歌手の保科有里さんとのやりとりも配信されている。
なぜ、この夢のコラボが実現したのだろうか。
竹本社長:「当社の販売課長が、以前からずっと『夢グループ』とのコラボを夢見ていた。有名な会社にCMを作っていただいて光栄の至り」
この動画は、銚子電鉄のYouTubeチャンネルで公開されている。
■アイドル車掌が作ってくれたお弁当
秋の行楽シーズンに向け、様々な取り組みを行っている銚子電鉄。しかし、ある問題に長く悩まされてきた。それは、慢性的な運転士不足だ。
これまで竹本社長自らが運転業務を行うなどして対応してきたが、根本的な解消には至っていない。こうしたなか、今月に入ってついに一筋の光が見えてきた。
銚子電鉄では運転士不足が長年の悩みとなっているが、今月に入り、嬉しい出来事があった。
去年、銚子電鉄に新卒社員として入社した明賀雅直さん(22)は、お昼休憩で食事をとるという。
明賀さん:「このお弁当は先輩運転士の袖山さんが作ってくれました。サプライズでした。きょうは運転士デビューの日なので」
明賀さんは今月1日付で銚子電鉄の運転士となり、3日にデビューを迎えたのだ。
2段のお弁当を作ったのは、明賀さんの8年先輩で、3年前に運転士試験に合格した袖山里穂さん(34)。2年前にはアイドル車掌として、写真集も出している。
■1年半で運転士 先輩の背中を追い続けた日々
先輩運転士の袖山さんに続き、入社からわずか1年半で運転士となった明賀さんのデビューの日に密着した。
明賀さん:「お弁当おいしかったです」
袖山さん:「よかったです。うれしいです。いってらっしゃい、がんばって」
銚子電鉄によると「一般的に運転士になるには3年から4年ほどかかる」というのだが、明賀さんは入社からわずか1年半で運転士となった。
明賀さん(当時20歳):「この春、銚子電鉄に入社しました。明賀雅直と申します。よろしくお願いいたします」
明賀さんの小さいころからの夢は「電車の運転士」になること。去年春、銚子電鉄に4年ぶりの新卒社員として入社した明賀さんは、先輩の背中を必死で追いかける日々を過ごした。
明賀さん(当時20歳):「停止位置よし。ドア開放側灯。点灯よし。乗降終了」
入社してわずか1カ月ほどで、車掌見習いとして、急成長を遂げていた。
明賀さん:「踏切よし」
そして、明賀さんは運転業務を無事に終えた。
■運転士不足の救世主「小さい頃からの夢」
竹本社長:「そこにいるのは明賀君かな」
明賀さん:「お疲れ様です」
竹本社長:「きょうは1日運転して、どうだったでしょうか」
明賀さん:「とても緊張しましたし、疲れました」
竹本社長:「蚊には、くわれてないですか。だんだんと暑さが少し和らいで、蚊の活動が活発化してきたと思うので。そういった苦難を乗り越えて、無事運転を終えてなによりです』
明賀さん:「ありがとうございます」
竹本社長:「優秀な社員。筆記試験・適性試験も一発合格、技能試験も1回でクリアして。もともと鉄道が好きなんだよね。知識は私よりずっとありますので。さらに当社ですね、鉄道だけじゃなくて、おせんべいをはじめとするお菓子の製造販売で生き残ってきたという経緯があるので、そういった方面での商品開発でもいろいろと勉強していただきたい」
銚子電鉄の運転士不足の「救世主」になった明賀さんは、次のように話しました。
明賀さん:「電車の運転士になるというのは、小さい頃からの夢でもあったので、本当にうれしいです。うれしいと同時に、しっかり一人前の運転士として、勤務にあたっていかなければと気持ちを改める所存です」
■ベテラン車両 南海から譲渡される
立派な姿を見せ、運転士になる夢を叶えた明賀さんには、もう一つの夢があるそうだ。
明賀さんは「『自分が運転士になる』という夢を応援してくれた家族を自分の運転する電車に乗せて、親孝行したいと常々思っていた。念願が叶う時が来た」と話していた。
「限界鉄道」とも言われ、困難を乗り越えてきた銚子電鉄が抱えるもう一つの悩みが車両の高齢化だ。
銚子電鉄によると、電車の老朽化などで新しい車両と取り換えを検討する時期というのは、一般的に車齢30年ほどであるといわれている。
現在、銚子電鉄で運行しているのは、京王電鉄から愛媛県の伊予鉄道へと渡り、銚子電鉄へとやってきた2両3編成で、すべて車齢が60年を超えている。車両を修理して対応していたが、1編成が限界を迎えたという。
そこで、銚子電鉄では、全国の各鉄道会社と交渉を続け、8月に大阪と和歌山、高野山方面をつなぐ南海電気鉄道から車両を譲り受けたと発表。1969年の製造から54年が経過したベテラン車両である。
現在、銚子電鉄で走行に必要な改造工事を行っていて、来年3月までにデビューする予定だ。
新車両のデビューについて、銚子電鉄の竹本社長は「難解な問題を解決すべく、何回も会議を繰り返し、南海電鉄から車両を譲り受けるなど、なんかいいちょうし」と話している。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年10月6日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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