真鶴町長が「失職」ヤジ飛び交う“20年戦争”の舞台裏 長引く行政の混乱に終止符か(2023年9月24日)
神奈川県真鶴町で重要な住民投票が24日行われました。
今回問われたのは町長のリコールです。
町長派と反町長派が町を二分して激しく争った結果は…。
■真鶴町が二分“20年戦争”町長は解職?続投?
(反町長派)「住民投票には必ず行くぞ」「イエス!」
(町長派)「行かねぇぞ!!行かなくていい!」
(男性)「(住民投票は)お金ばかりかかる。なんでそんな…」
(反町長派)「しないほうが良いですか?」
(男性)「我慢すればいいんだよ」
町長リコールの住民投票で二分された町…ここは、神奈川県南西部。相模湾に面し、小田原市と湯河原町に接する真鶴町。そんなのどかな港町で…
「松本町長の1年間無給という公約が守られていない」
反町長派は、投票日前日、ウグイス嬢を投入。
「住民投票をしてください。〇つけてもらいたいんです」
さらに電話作戦も。
「こういうものを入れてむこう(町長派)もけんかを売っているということ」
「のんきにおそばなんか食べちゃって。松本一彦がどれだけ税金の無駄遣いをしているかわかっていないから、この人たちダメ」
一方、受けて立つ側の町長は…
(真鶴町松本一彦町長)「過疎問題を解決するためには人が住みやすい環境を作ったり、仕事や学びの機会を増やしたりする必要があります」
自身の思いを動画で配信。
(真鶴町松本一彦町長)「仕返しなんだよね。ある意味。仕返しなの。それこそ20年戦争だよね」
住民投票をめぐって、この真鶴町で何が起きているのでしょうか?
真鶴町は人口およそ6800人。人口に占める65歳以上の割合は県内最高の44.9%で、県内で唯一の過疎地にも指定されています。
(真鶴町松本一彦町長)「ひざが痛い人はこれだけでいいのでやってください。テレビを見ながらでもできると思うので」
この町のトップを務めるのが、松本一彦町長です。元真鶴町役場の職員で、2020年、現職の町長を破って当選しました。ところがその翌年、選挙人名簿を不正にコピーして持ち出し、自身が当選した選挙に利用していたことが発覚。その直後、町長を辞職して出直し選挙で、再選をはたしました。それから9カ月後、町は窃盗などの容疑で松本町長を神奈川県警に刑事告発。受理されます。町が町長を告発するという前代未聞の事態に。そして今年、住民グループが有権者の3分の1以上の署名を集め、町長リコールの住民投票実施が決まりました。
■「ブラック企業」町長に不満で職員が大量離職
異例の経過をたどった今回の問題。その間、町役場は「混乱に陥っていた」といいます。
「民間で考えればただのブラック企業」
「正直、町長の再選を見たとき、町民のために働こうという気持ちは相当喪失してしまいました」
これは問題発覚後、役場職員を対象に行われたアンケートの結果。8割を超える職員が町政は「混乱している」と回答しました。混乱の理由については…
「町長就任時から続く場当たり的人事による行政事務の混乱」
「異動の基準が不明確であり、適任とは思えない配置が多い」
真鶴町役場では全職員の2割を超える24人が自己都合で退職。県から職員の応援を受け入れ、新規採用も行い、5年目までの職員が4割を占める状況だといいます。
(現場職員)「もともと人数が少なく、イベントや災害時の呼び出しなどで負担が多かった。辞めた職員の多くは給与面などの条件がより良いほかの自治体に移っていった」
(町民)「(町で)健康診断やっている。役場から電話が来るんだよ。『いついつお会いできませんか』って、『いいですよ』って言ったら、なんでか知らないけど、そのまま終わりで、どうも辞めたらしい。約束したけどお会いできなかった…」
こうした役場の混乱を受け、県は町に委託している真鶴港の管理について、来年4月以降、県が直接管理することを発表しています。
相次ぐ職員の退職…松本町長はどのように感じているのでしょうか?
(真鶴町松本一彦町長)「辞めちゃった子もたくさんいてさ、そういう判断させちゃって申し訳なかったなと思うけど、そういう子って自分のことが全く原因じゃないとは言わないけど、そういうことを元々考えていたと思うんだよね。どうせ同じ仕事するなら給料良い方が良いし、神奈川県で一番特に安い給料だから、他のところ行けば少しでもお金多くもらえるっていうのもあるだろうし。おおもとは自分で、ちょっとずつ関わりはあるかもしれないけど、でもそこで起こった事のすべての原因は松本じゃないと思ってて、でもそれを『全部お前だ、全部お前だ』っていう空気を作られちゃったのが現状って感じだよね」
「真鶴の心をひとつに」2020年の町長選で松本町長が掲げたのは、町を二分する派閥争いを終わらせることでした。
真鶴町では前の町長の宇賀一章氏と2代前の青木健氏の2人による派閥争いが長く続いてきたといいます。その後、青木氏が町長時代に部下だった松本氏が宇賀氏を破って町長に。2021年の出直し選挙で、宇賀氏は松本氏に88票の僅差で敗れています。
反町長派が開いた集会。その会場の最前列の隅には…宇賀前町長の姿が。
(宇賀一章前町長)「誰が見てもさ、こんなふうになるとは思ってなかったよ。でも元々俺2回(選挙)やって、松本に2回負けたんだよね。はじめからあいつは反則してた。要するに選挙人名簿を泥棒したとか、犯罪らしいものは5つぐらいついてるよね。色々松本君もしゃべってることが私の実績を自分のモノにしちゃった」
Q.例えば?
「牡蠣がそうだろう、移住がそうだろう。あいつ言ってるのみんなそうだよ。私の実績を取り上げて自分のあれにしてるんだよ。元々住民投票やる前に町長は自分で責任取るべきだよ」
宇賀前町長は、自ら署名集めにも参加したといいます。
(宇賀一章前町長)「元々俺は派閥なんてない、俺はないよ。俺を推してた住民は派閥なんて言わないよ。みんな宇賀派とかさ、青木派なんて、別に全然思ってない。ただ選挙中はさ、やっぱ2つに分かれるよ。これはしょうがないよな。でもノーサイドだったんだよ、終わったら」
そして、その争いの構図は、今回も…
(町長派の住民)「近所の住民なんですけどもう少し小さい音でやってもらえます?音小さくしてもらっていいですか?」
(反町長派の町議)「わかりました。もうマイクは使わない」
「何でそんな松本君を応援しているの?」
(町長派の住民)「小学校の少年野球で一緒だったんですよ」
(反町長派の町議)「ただそれだけ?それだけのために町はどうなってもいいんだ?」
(町長派の住民)「松本さん辞めて誰が次の町長出るの?」
(反町長派の町議)「それは選挙ならなきゃ分かんない」
(町長派の住民)「(前町長の)宇賀さんですか?」
(反町長派の町議)「誰がなっても、宇賀さんがなるのか、誰がなるのか分かんないけど、誰にしろ松本町長よりいいのは確かだ」
そして、きのう23日。松本町長が娘とともに投票に…町を二分してきた住民投票の行方は?
■神奈川・真鶴町長「リコール成立」
(※ここからは投票所から最新情報です)
(小木アナウンサー)「住民投票の結果ですけど、つい数分前に出たようですね。現場から佐々木一真アナウンサーです。どうなったんでしょうか?」
(佐々木一真アナウンサー)「こちらが開票作業を行っている真鶴町の町民センターです。つい3分ほど前に、今回の住民投票の結果がアナウンスされまして、松本町長に対するリコールが成立したということです。これによって松本町長は町長の職を失うということになります。これは神奈川県では17年ぶりということになりました。こちらがつい先ほど、私たち報道陣に配られた今回の住民投票の結果です。賛成が2204票、反対が1378票ということで、リコールに賛成が1000票ほど上回るという結果になりました。投票率は59.40%だったということです。今回はリコール成立ということになりましたけど、以前松本町長は私たちの取材に対し、『もし仮にリコールが成立したとしてもその票差によっては50日以内に行われます町長選に立候補すると話していまして、もし今後町長選に立候補するということになりますと、真鶴町の混乱は今後も続くことになりそうです。松本町長、そしてリコール活動を行っていたグループはこのあと記者会見を行うことになっています』
9月24日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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