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“ずさん解体工事”近隣住民不安「命綱も、ヘルメットも…」がれきの山が歩道ふさぐ【羽鳥慎一 モーニングショー】(2023年9月11日)
台風13号などによる記録的な大雨で、各地で浸水や土砂崩れの被害が相次ぎました。
千葉県茂原市では住宅街が冠水し、厳しい暑さのなかでの復旧作業となりました。
■大阪市…各地で浸水・雨漏りなど発生
激しく打ち付ける雨と鳴り響く轟音(ごうおん)。10日、大気が不安定になった西日本では各地でゲリラ雷雨が発生しました。
道路がひざの高さまで冠水し、車が通るたび水が波のように打ち寄せます。
大阪市では一時大雨警報が発表され、各地で浸水や雨漏りなどが発生しました。
■変わり果てた自宅…台風13号による“被害の爪痕”
晴れ間も見え、気温が上がった千葉県茂原市では、台風13号による被害の爪痕が…。
観測史上最大の「6時間で平年の1カ月分を上回る雨量」を記録。街の一部が水没してしまいました。
消防隊:「大丈夫ですかー!消防隊です!分かりますかー!」「動かなくていいですよ!危ないんで」
浸水した街の住民が、屋根の上に避難。隊員が肩の高さまで水につかって救助を行いました。
水が引いて、自宅に戻った住民が目の当たりにしたのは、変わり果てた自宅でした。泥などの片づけに追われます。
自宅が床上浸水した女性:「(Q.畳は全部?)もう全部(外に)出した。自然災害って怖いですね。いやだよ、どっか引っ越したいくらいだね」
■店の扉に過去の“爪痕”「前回は1000万円超えの被害」
そこに追い打ちをかけたのが…。
自宅が床上浸水した男性:「水が全部入っちゃったんです」「(Q.これだけ暑いのにクーラーは?)きかないです」
10日、47都道府県の中で、唯一熱中症警戒アラートが発表された千葉県。この日の最高気温が33.6℃となった茂原市にあるラーメン店では、入り口を締め切った状態で片づけを行っていました。
被害を受けたラーメン店 従業員:「きょう、暑いですね。きのうの泥とかが、やっぱきょう乾いて。風で中に、砂埃(ぼこり)入ってきちゃうんで、なるべく閉めて」
汗だくになりながら、再開を待つ常連客のため、復旧作業を続けます。
被害を受けたラーメン店 従業員:「仲間とかがみんな手伝ってくれて…早く、できればすぐ再開したいですけどね。4年前にね、同じくらいの被害があって」
茂原市では、過去にも台風や記録的大雨の影響で河川が氾濫し、幾度もの浸水被害を受けていました。
今回で浸水被害は3度目だという菓子店では、店の扉に過去の“爪痕”が残されていました。
被害を受けた菓子店 従業員:「深さだけは、2019年より今回の方がちょっと低いんですけど。被害状況は、ほぼほぼ変わらない感じです」
冷蔵庫の中に入っていたケーキなどはもちろん、ミキサーやオーブンなど業務用機材のほとんどを廃棄しなければならないといいます。
被害を受けた菓子店 従業員:「前回は、全部入れ替えたので。それこそ1000万円超えとかの被害だった」「(Q.今回もそのくらいになるかも?)ならないことを祈っていますけど…」
■“災害に強い”庁舎が水没「想定外の出来事」
記録的短時間大雨情報は、茨城県に8回。さらに、線状降水帯も発生した日立市では、まるで川のようになった道路で動けなくなってしまった車や、複数の場所で道路が大きく崩れ落ち、トラック数台が巻き込まれるなど、甚大な被害が発生しました。
氾濫した川の水が1階部分や地下の駐車場に流れ込んだ「日立市役所」。地下にあった電源設備は水没し、停電が続いていました。
実はこの「日立市役所」、東日本大震災の教訓を踏まえ、災害時に電力や水などのライフラインが遮断された場合に備えて、一定期間自力でそれらを賄える設備が備わっていました。
いわゆる“災害に強い”庁舎でしたが、電気を送る設備自体が水没してしまったため、機能しませんでした。
ハザードマップでは、浸水が想定されていない場所です。なのに、なぜ浸水したのでしょうか。
越水したのは、市役所手前の数沢川。市役所は、2つの川が合流する地点に建っています。本来なら、合流した川は市役所の下をくぐって下流へ流れていきますが、想定を超える雨量で、川があふれたとみられます。
日立市 小川春樹市長:「想定外の出来事でした。よく検証して、そういうことがないよう、対策を取らないといけない」
■片づけに追われる人々…いたるところに“災害ごみ”
同じく線状降水帯が発生した福島県いわき市。市内を流れる蛭田川は氾濫危険水位を超え、一時、市内全域に警戒レベル5の「緊急安全確保」が発令されました。
市内を流れる別の川の防犯カメラには、信じられない光景が…。激しい勢いで川を流れていく光る物体。よく見ると、ライトがついたままの車です。
動画撮影者 馬上政和さん:「橋の下に(車が)ぶつかって、すごい音がして。そのまま流れてしまったので。白っぽい車で軽自動車ではなかった」
9日、いわき市内郷内町では、60代とみられる男性が側溝で倒れているのが見つかり、その後、死亡が確認されました。
目撃者:「体の向きはうつ伏せで、こういう状態で横に。(発見した時は)もうパニックでした」
この週末、人々は家の片づけに追われ、至る所に“災害ごみ”があふれていました。
まだ十分使えたであろう家財道具など、変わり果てた姿になっています。
被災した女性(94):「90年以上生きてきて、初めての経験です。自然が変わりましたね。つくづく思います」
濁流で“終(つい)のすみか”に大きな被害を受けた94歳の女性。復旧させ、再びこの家に住む気力は残されていませんでした。
必要なものだけを持ち、親戚の家に身を寄せることにしたといいます。
被災した女性:「これ解体です。長年住み慣れたところですけど。人生の一生の整理を今回やります。涙が出ますけど」
■渋谷区で街路樹が…墨田区では工事の足場が…
被害は東京都心にも…。渋谷区代々木公園近くの道路では街路樹が倒れ、通行止めになりました。けが人はいなかったものの、真下にいたタクシーに直撃したといいます。
被害に遭ったタクシー運転手:「ちょっと休憩しようと思って外に出たんです。いきなり自分の車めがけて、落下してきた」
また墨田区では、錦糸町近くにある7階建てのビルで、外装工事の足場が崩れました。
けが人は確認されませんでしたが、現場周辺は規制が敷かれ、一時騒然となりました。
■工事の様子を見ていた人が目撃…“異様な光景”
危険な工事現場は、他の場所にもあります。
マンションが立ち並ぶ都心のど真ん中で行われている、ビジネスホテルの解体工事です。
目につくのは、工事の“ずさんさ”。機械式駐車場とマンションの間にある幅5メートルほどの狭いスペースに無理やり重機が入り、6階建ての建物を解体しています。がれきは不安定なまま放置され、今にも落ちそうな状態です。
8日には、台風の影響が…。地上およそ3メートルの高さにあるコンクリートブロックが、鉄筋だけで建物にぶら下がっている危険な状態です。
現場は品川区、京浜急行の大森海岸駅からおよそ徒歩1分のマンションが立ち並ぶ住宅街です。
驚くことに、ロープを使って足場を電線に固定。さらに、隣のマンションとの境にあるフェンスは、がれきの重みで歪んでいます。
歩道まで飛び出したがれきの上にのぼる重機。道路側のシートは取り外されています。
不安定ながれきの上で、斜めに傾いている様子も…。
工事の様子を見ていた人は、異様な光景だったと話します。
工事の様子を見ていた人:「めっちゃ危険ですよ。服装が普通にTシャツ、ジーパンで、ヘルメットもせず。マスクも何もせず。隣の養生との間にがれきを蹴っ飛ばしたりしていたので。ちょっと、悪質だなというのは見て普通に思います」
近くを通る人は…。
近隣住民:「あんなビニールなんか飛ばされそうだしね」「(Q.崩れたりしたらと思うと?)ぞっとするよね」
通行人:「あんなの崩れて落ちてきたらどうすんの。いま地震があっちこっちであるじゃないですか、全国で。ここ今、地震あったらどうなる。怖いよね」
■居酒屋店主「飛んできた石の破片見せたら…」
向かいにある居酒屋は、工事の影響でガラスに大きなひびが入っています。
居酒屋店主:「やたらめったらコンクリートひっかいてんの。間違いなく飛び石なのよ」
解体工事の現場から、道路を超えて石が飛んできたといいます。
居酒屋店主:「昼に来てから(ガラスが割れていることに)気づいたんです。あっと思って見渡したら、前しかないじゃない。あの緑の大きいユンボっていうのかな、あれが来ていたので、間違いないなって。ただ僕たちが来る前に、もう割ったあとに、彼たち、もうきれいに片付けるの」
ガラスを割った石やガラスの破片は、店主が出勤する前に、片付けられていたといいます。しかし、近くにはコンクリートの破片が残っていました。
居酒屋店主:「最初、知らないって言っていたんだけれど、飛んできた石の破片見せたら、うちだって言って。うちで直します。来週1週間待ってくれって言われています。あのガラス破片だって、飛び散っただろうし、上のランプだって飛び散っただろうし、本当に営業中だったら危ないですよね、怖い怖い」
■解体業者を直撃取材も…「担当者がいなくて」
解体工事の「ずさんな様子」は、他にもあります。
工事現場の前にまであふれたがれきは、歩道をふさいでいました。上から撮影された映像では、囲いのシートまでびっしりとがれきが広がっている様子が分かります。
5000件以上の建物を解体した実績を持つ別の業者は、「周辺の安全が確保できていない」と指摘します。
クリーンアイランド 谷池一真代表:「都心部の狭いところに立っているビルは、基本的に足場を四方囲って、自力で手で解体しながら、下の廃材をどんどんトラックに積んで搬出していくのが通常なんですけれども。仮囲い、養生シートなんですけれども、その辺がしっかりできていないというのと。解体した廃材が周りに飛散したり飛び散ったりっていうのが問題」
近所の住民からは、作業員の安全も守られていなかったと指摘する声が…。
今年6月、工事が始まったころに撮影された写真です。作業員が立っているのは、地上およそ5メートルの細い鉄パイプの上。しかし、命綱やヘルメットは身に着けていません。
撮影者:「命綱もなく、ヘルメットもかぶらず、複数人が作業していたので、とても危なそうでした」
一体なぜ、こんなにも“ずさんな解体工事”が行われたのか。工事を受注している解体業者は、次のように話します。
電話相手:「(Q.解体現場のことでお話を聞きたくてお電話差し上げたんですけれども)はい」「(Q.担当者の方でよろしいでしょうか?)はい。あ、担当者がいなくて、折り返し電話よろしいですかね」
電話に出たのは、片言の日本語を話す男性です。
電話相手:「(Q.事務をされている方?)プープープー」
電話を掛けなおすと、つながりませんでした。
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