「信頼を取り戻していく」保津川下りが運航再開 船の足場を改良し救命胴衣を変更、2種類の無線も完備
埼玉県からの観光客
「うれしいですよ。一度は経験してみたかった保津川下りですから」
京都・亀岡市民
「亀岡市民としては、楽しみにしていた保津川下りなので、一番初めの船に乗りたくて」
京都府亀岡市の保津川下りの乗船場には朝から多くの観光客が訪れ、17日午前9時すぎ、約3か月半ぶりに運航が再開されました。
今年3月、乗客と船頭4人、合わせて29人を乗せた船が転覆し、船頭2人が亡くなりました。
事故は、かじを取る船頭が川に転落したことが発端となったため、船を運航する「保津川遊船企業組合」は、船頭の転落を防止するため船の足場を改良しました。
また6月には、専門家の指導のもと、緊急時に備えた訓練を実施しました。
救命具については、これまで使用してきた「腰巻型」を廃止し、客は原則、自動で膨らむタイプの救命胴衣に変更しました。
豊田知八代表理事
「無線とトランシーバー、この2つ併用で使っていきます」
さらに、1隻の船に2種類の無線を完備し、保津峡全域が通信可能になったということです。
国の運輸安全委員会による調査は現在も続いていますが、早期の再開を目指し、地元自治体も協力しました。
亀岡市・桂川孝裕市長
「保津川は亀岡の街にとって大きな街の魅力を作り出す要素でありますので、この歴史を閉ざすわけにはいかない」
保津川下りは400年以上の歴史を持ち、地元にとっても欠かせない観光産業です。
亀岡市は新たな安全対策にかかる費用に充てるため、2000万円の予算で支援することも決めました。
観光客
「水しぶきがすごく気持ち良くて、急流が面白かったです。救命胴衣もちゃんと説明してくれて、安心感がありました」
「ライフジャケットの説明も細かかったし、子どもたちにもちゃんと着けてるかと、職員がチェックしてくれて安心しています」
豊田代表理事
「一日一日の安全運航をしっかりしていく、信頼を取り戻していく、そこしか道はない。お客様を安全に安心して嵐山に送り届けることが私たちの責務であり、最高の観光事業としてのサービスだと再認識自覚して、毎日やっていきたいと思います」
(取材・報告=藤枝望音記者)
「保津川下り」を運営する組合によりますと、17日の乗客の数は事故前の約3分の2ほどと完全に戻ってきてはいないということですが、635人の乗客が川下りを楽しんだということで、これからに期待したいと言っていました。
国内外の観光客も多かったのですが、思いのほか多かったのは、地元・亀岡市の住民でした。
亀岡市は、市民を対象に保津川下りの乗船料を2500円割り引く「市民割」に400万円の予算を計上しています。
事故があっての再開ということで、すぐに客足が戻るとは限らない中、市の貴重な観光資源を守るためにも、市をあげて何とかサポートしたいということです。
また、地元のホテルの支配人は「これから保津川下りの乗客もやってくることから、集客に期待したい」とも話していました。
ただ、まだ国の運輸安全委員会による事故の調査は続いており、調査の結果を待ってから再開する、という慎重な選択肢もあったかと思います。
保津川下りを運営する組合は独自の再発防止策を策定し、再開するという選択をしました。安全に対する責任が重くのしかかっているように感じました。
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