地元は不安も迫る処理水放出IAEA安全基準に合致(2023年7月4日)

地元は不安も迫る処理水放出IAEA安全基準に合致(2023年7月4日)

地元は不安も…迫る“処理水放出”IAEA「安全基準に合致」(2023年7月4日)

福島第一原発の処理水を海に放出することについてIAEA(国際原子力機関)が「人や環境への影響は無視できる程度」とした報告書を岸田総理に手渡しました。

IAEA・グロッシ事務局長:「きょう重要な節目を迎えている」

岸田総理:「報告書の内容をお聞かせいただいたうえで、わが国として誠実に対応していきたい」

福島第一原発で、今もたまり続ける“処理水”は、トリチウムなどの放射性物質を含みます。保管するタンクの97%が埋まっていて、来年の2~6月ごろに満杯になるとされています。そのため、政府は、基準を下回る濃度に薄めたうえで、今年の夏ごろに放出することを決定。実施する時期の検討を進めていました。

放出に向けた歩みは、じわりじわりと。先月には、海底トンネルや放出口など、すべての設備が完成。その安全性をめぐる規制委の審査と、今回の報告書をもって最終判断するとされています。

IAEA・グロッシ事務局長:「提案された計画は、国際基準に合致していると結論付けた。一定の放射性物質を含む水の放出は、中韓米仏など多くの国で行われている」

報告書では、日本の計画が国際的な安全基準に合致していると明記。人や環境への放射線の影響は「無視できるほどごくわずか」としたほか、「IAEAが客観的な安全性の評価を続けていく」としています。ただ、大前提となるのは「関係者の理解を得られること」。漁業関係者は、反対の立場に変わりありません。

宮城県漁業協同組合・寺沢春彦組合長:「1回だとか1年で済む問題ではなくて、30年40年と長期にわたることなので、どういうことが起きるかは誰にも想定できない部分もあるので。それを考えれば、今、不安な部分が払拭できない状況であれば、反対だという言葉しか言えない」

福島で魚を販売する業者も、風評被害の払拭に取り組んでほしいと訴えます。

福助水産・古長司社長:「『風評被害』は、言葉では簡単に言えるけど、見えない部分で色んなところで独り歩きしてしまう言葉だと思うので。どういうふうに払拭できるかが一番の課題」

周辺国では、反発も起きています。中国外務省は「日本は12年前の原発事故で世界から支援を受けたが、12年後に核汚染のリスクを全人類に転嫁した」と批判を展開。韓国では、与党側は「結果を謙虚に受け入れなければならない」とする一方で、野党が抗議活動を行う場面もありました。市民の不安も根強いということで、グロッシ氏が直接訪れ、説明することにしています。

報告書を受け取った岸田総理は…。

岸田総理:「今回のIAEAの包括報告書を踏まえて、引き続き科学的根拠に基づいて、国の内外に対して高い透明性をもって丁寧に説明を行っていきたい」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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