建設アスベスト訴訟建材メーカー社の責任認め約億千万円の支払い命じる大阪地裁

建設アスベスト訴訟建材メーカー社の責任認め約億千万円の支払い命じる大阪地裁

建設アスベスト訴訟 建材メーカー12社の責任認め、約9億4千万円の支払い命じる 大阪地裁

 建設現場でアスベストを吸い込んで肺がんなどを発症したとして、大阪府などの元建設作業員と遺族ら約130人が建材メーカー21社に対し、約27億円の損害賠償を求めた裁判で、大阪地裁は30日、原告の訴えを一部認めて、12社に対し、9億4000万円余りを支払うよう命じる判決を言い渡しました。

 原告の右田孝雄さん(58)
「いつ死ぬかわからないというところにきていて、生きているうちにメーカー側は和解してもらいたいなと思います」

 この日判決を迎えたのは2016年から一昨年にかけて訴えを起こしていた関西などに住む元建設作業員と遺族ら約130人です。

 大工や内装工などに従事し、建設現場でアスベストを吸い込み肺がんなどを発症したとして、建材メーカー21社に対して、あわせて26億6750万円の支払いを求めていました。

 建設労働者のアスベスト被害をめぐっては一昨年、最高裁が国と建材メーカーが賠償責任を負う判断を示しました。

 菅前首相(2021年)「皆さんに心よりお詫び申し上げます」

 当時の菅首相が原告団に謝罪し、国とは和解が成立しました。しかし、いまだ、ほとんどのメーカーは「明確な因果関係は認められない」として争い続けています。

 この日の判決で大阪地裁はー。

 石丸将利裁判長
「被災者はせき、呼吸困難などに苦しみ、身体的な苦痛ははなはだ大きいものがある。十分な治療法がないことを知った際の不安感や絶望感、精神的な無念さも計り知れない」

 メーカー12社の責任を認め、原告104人に対し、9億4000万円余りの支払いを命じました。

 同様の裁判は各地で起こされ、一昨年の最高裁判決以降、メーカーに賠償を命じる判決が5例、立て続けに出たことになります。また、これまでの裁判で責任を認められてきた企業のほか、「パナソニック」「日本インシュレーション」の2社への責任も認めました。

 判決を受けて、原告はー。

 原告・高木敏子さん(73)
「大きな成果をもたらしたことはやってきてよかった。途中であきらめずによかった」

 原告・高山和代さん(58)
「病気のことで精神的にも経済的にも負担が大きかった。これを汲み取ってくれたことは本当にすごいことだなと思いました」

 一方で、解体現場や屋外での作業を行っていた労働者に対する賠償は認められませんでした。すべての被害者が救済される日はいつになるのでしょうか。

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