警察と連携すべきだった専門家が指摘歳男児の遺体発見から週間なぜ命を救えなかったのか

警察と連携すべきだった専門家が指摘歳男児の遺体発見から週間なぜ命を救えなかったのか

「警察と連携すべきだった」専門家が指摘 6歳男児の遺体発見から1週間 なぜ命を救えなかったのか

 神戸市西区の草むらで6歳の男の子の遺体が見つかってから1週間が経ちました。なぜ男の子を救うことができなかったのか。児童虐待に詳しい2人の専門家に話を聞きました。

 1週間前、遺体で見つかった穂坂修(なお)くん(6)。母親の沙喜容疑者(34)とその弟の大地容疑者(32)らきょうだい4人は修くんの祖母を監禁し、ケガをさせた疑いで逮捕されました。

 スーツケースに入れられて、自宅近くの草むらに運ばれたとみられる修くんの遺体は、背中全体に打撲によるアザが数多くあり、司法解剖の結果、死因は外傷性ショックとみられています。

 捜査関係者によると、自宅から棒のようなものが複数見つかっていて、警察は見つかった棒のようなものが暴行に使われたとみて、詳しく調べています。

 修くんが亡くなる2か月前、通っていた保育園は“虐待を疑わせる兆候”に気づいていました。

 神戸市こども家庭局・丸山佳子副局長
「(保育園から4月24日に、子どもさんのお尻と右肩に小さなアザがあるということで、西区役所に連絡が入りました」

 市は修くんを一時保護の対象となる児童福祉法上の要保護児童に位置付けましたが、母親や祖母から「もう大丈夫」と言われ、保留にしていたということです。しかし付近の住人からは―。

 近くの住民
「(修くんが)2階から『助けてください』って」
「男が入り込んでから、男の怒鳴り声がよく聞こえていた」
「『俺のいうことは聞けへんのか!』と命令口調でよく言っていた」

 修くんを取り巻く家族の状況が一変したのは、去年の末に、二男の大地容疑者が戻ってきてからだとみられています。

 元児童相談所の所長の津崎哲郎さんは、複雑な家庭事情がリスクを急激に高めたと指摘します。

 NPO法人児童虐待防止協会・津崎哲郎理事長
「例えば母子家庭で暮らしていたところに男性が入り込んできたということになると、お母さんが子どもを守れなくなる。子どもは(男に)懐きませんから、男からすると『しつけができていない』と暴力が急速にその子どもに対してなされる。その急速な悪化が(児童相談所は)読み切れてなかったんじゃないか」

 また、元警察庁の官僚で虐待防止対策を行ってきた別の専門家は―。

 元警察庁官僚でシンクキッズ代表理事・後藤啓二氏
「本来であれば『虐待の危険あり』と、警察と連携して子どもを守る活動を行うべきだった。建前上は連携してやると言われていながら、実際には自分たち(神戸市)だけでやろうとしていた。児童虐待は一つの機関だけで対応できるほど甘いものじゃない」

 修くんをなぜ、救うことができなかったのか。警察は家族6人の関係性を供述などから慎重に調べ、事件の全容解明を目指しています。

(中継・佐藤翔平記者)
 まず、今回の事件で重要なポイントとなってくるのは、『沙喜容疑者の供述や行動』です。

 知人の方に取材をしますと、沙喜容疑者は本当に修くんをかわいがっていたようですが、そんな修くんの遺体を「4人でスーツケースで運んだ」といった趣旨の話をしています。また、その後4人で大阪や京都に出かけたとみられています。その目的はわかりません。そして、警察に見つかった後には、素直に修くんを捨てた場所を案内しています。

 これは、どういう考えや思いのもとに取った行動なのか。そこには、家族6人のどんな関係性が影響しているのか。ここは重要なポイントになると思います。

 そして、市の対応について問題が指摘されていますが、子ども虐待に詳しい元警察官僚の後藤さんは「児童虐待は一つの機関だけで解決できるほど甘くない。警察と連携して近隣住民に聞き込みをすることもできたはず」と話しました。

 また、元児童相談所の所長の津崎さんは、児童相談所が抱える問題について「人材が育っていない」ということを挙げていました。「虐待のシグナルに気付き、いろんなケースに対応できるには5~6年ぐらいの経験値が必要で、専門性のある体制が維持できる相談機関にしないと難しい」と話していました。

 今回の事件を教訓に、子どもの命を本気で救う体制づくりを議論していく必要があると思います。

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