「熱湯を浴びせ続けた事実はありません」摂津市3歳児“虐待死”初公判 男は殺人罪を否認
2021年、大阪府摂津市で、当時の交際相手の3歳の長男に熱湯をかけ、殺害したとされる男の裁判員裁判が始まりました。男は「熱湯を浴びせ続けた事実はありません」として、殺人の罪を否認しました。
松原拓海被告
「熱湯を浴びせ続けた事実はありません。もちろん殺意もありません」
無職の松原拓海被告(25)は、21年8月、当時3歳だった新村桜利斗ちゃんに熱湯を浴びせ続け殺害した罪や、この2か月前に頭をクッションで殴り転倒させた暴行の罪に問われています。
22日の裁判員裁判で、松原被告は、暴行の罪については認めた一方、殺人の罪については否認しました。
事件をめぐっては、警察などの調べで当時の凄惨な状況が次々と明らかになっています。
3年前、桜利斗ちゃんの母親と知り合い、交際を始めた松原被告。事件が起きたとき母親は外出中で、大阪府摂津市の自宅には松原被告と桜利斗ちゃんの2人しかいませんでした。
松原被告の通報を受け救急隊が駆け付けると、桜利斗ちゃんは頭や上半身の皮膚がただれていて、その後亡くなりました。
警察の司法解剖によると、桜利斗ちゃんは熱湯を5分以上浴びていた可能性があります。
部屋の給湯器は、75度まで温度を上げられる仕様でした。
また、医師の所見では、桜利斗ちゃんは体を押さえつけられ、身動きが取れない状態で、やけどを負ってからすぐに死亡した可能性は低く、通報まで数時間にわたり放置された可能性があるということです。
事件後、松原被告は、母親の知人らに対して「故意ではない」と説明していました。
松原被告(事件直後の音声データ)
「シャワーを(桜利斗ちゃんに)かからないように壁の方に向けて出しっぱなしにしていた。(浴室の扉を)ぱっと開けたら、おりちゃんが、浴槽じゃない方の床にうつぶせになっていた」
松原被告は、救急隊が到着するまでに、「桜利斗ちゃんの体を冷やした」と説明していましたが、その形跡は見つからなかったということです。
22日に始まった裁判。弁護側は、殺人ではなく傷害致死罪にとどまると主張しました。
一方、検察は、「重いやけどは全身の9割に及んでいた」と指摘し、死亡する可能性を認識できたため、殺人罪に当たると主張しました。
この日は、桜利斗ちゃんの母親も証人として出廷。母親は、桜利斗ちゃんへの暴行罪で、すでに罰金刑を受けていて、法廷では母親と松原被告が桜利斗ちゃんを暴行しながら笑う様子の動画が流されました。
一方、熱湯で死亡した件については…。
桜利斗ちゃんの母親
「かくれんぼをしている最中に(桜利斗ちゃんが)浴室から出てこなくなり、リビングにいて、気づいたらやけどしていたと聞いた。桜利斗はシャワーが苦手で、出しっぱなしの状態で自ら浴室にいたとの被告の説明はおかしいと思った」
23日は、被告人質問が行われ、判決は来月14日に言い渡される予定です。
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