なぜ廃虚旅館撤去に万円公金負担約年放置され地元住人も危険訴え和歌山雑賀崎

なぜ廃虚旅館撤去に万円公金負担約年放置され地元住人も危険訴え和歌山雑賀崎

なぜ“廃虚旅館”撤去に7000万円公金負担? 約50年放置され地元住人も危険訴え 和歌山・雑賀崎

 全国で大きな課題となっている「空き家問題」。和歌山市の雑賀崎で19日、50年近く放置されたままの廃虚の旅館が倒壊する恐れがあるとして、市が「略式代執行」による取り壊しに着手しました。
(現場取材・報告=神田貴央記者)

 ここ、雑賀崎はとてものどかな港町で、独特の美しい景観が話題の景勝地としても知られています。海から街を見ると、山あいに多くの家々が連なる風光明媚な景色が広がっています。

 イタリアにある世界遺産「アマルフィ海岸」に似ていることから「日本のアマルフィ」とも言われています。どこか異国情緒漂う風景ですが、その歴史は古く、万葉集の和歌にも登場するほどです。

 また、この場所は2か月前、岸田首相の襲撃事件が起きた場所でもあります。ここから対岸にある漁港の施設内で事件が発生しました。

 最近でも何かと注目を集める場所ですが、今日もまた、新たな出来事が起きました。それが私の後ろにある崖の上に立つ建物です。廃墟となった元旅館で50年近く放置されていました。

 19日朝、市は倒壊する危険があることから、建物の取り壊しに着手しましたが、費用は約7000万円で、すべて公金で賄われる予定です。なぜ多額の公金負担が必要になるほど放置されてしまったのでしょうか。
和歌山県内で最大規模の代執行
 和歌山市職員「建築物の代執行を開始いたします」

 19日朝、始まった和歌山市による廃墟旅館の撤去作業。延べ床面積は900平方メートル余り。県内最大規模の代執行です。

 荒れ果てた状態の建物。建物の屋根は、風化が進んで地面に落ちてしまっています。調理器具や食器などが残されたままの場所もありました。

 建物は1975年ごろまで旅館として営業していましたが、近くの高台に新館を建築したのを機に使われなくなっていたということです。

 その後、2014年に旅館の運営会社が破綻。4年前の2019年に建物の所有者が亡くなり、関係者も相続を放棄したため、所有者不在の状態となっていました。建物は放置されたまま、老朽化が進み…。

 地元住民「台風21号が来た時にものすごかったんですよ」

 2018年の台風21号の時には木造部分が倒壊し、落ちてきたガレキが下の住宅を直撃。住民らは市に危険だと訴え、撤去を求め続けてきました。

 地元住民「そりゃぁもう早く取り壊して欲しかったよ。危ないもん」

 和歌山市は今年に入り、倒壊の恐れがあるとして撤去することを決断。法律に基づいて自治体が代わりに取り壊す「略式代執行」の手続きに入り、19日から着手したのです。

 地元住民「結構、時間がかかったかな」「やっと動いてくれたかなと」

 ただ、撤去にかかる費用は約7000万円。国と和歌山市・県がそれぞれ負担するとしました。税金が投入されることになった今回の代執行。和歌山市は来年3月中旬までに解体・撤去を終わらせたいとしています。

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