“宗教虐待”訴える宗教2世…安倍元首相銃撃で浮き彫りに 全国児相調査で相談10件 対応の難しさも
旧統一教会宗教2世の高橋みゆきさん(仮名)。旧統一教会を内部から変えたいとSNSを通じて自らの体験を発信してきました。
高橋さん「今までこの現実世界で神の子と呼ばれて育てられてきて、統一教会にとって都合の良いお利口な2世を演じてきたわけですけれど、本当の自分の素を出せる、そういう場所がSNSなのかなと思っていまして」
「マンセー!」。旧統一教会で行われている合同結婚式。高橋さんの両親もここで出会い結婚し、いわゆる宗教2世として育てられてきました。
高橋さん自身も付き合っていた人と無理やり別れさせられるなど教義を強制され、合同結婚式に参加するよう言われてきました。
高橋さん「こういう活動がばれると裏切り者ですよね」
教義に疑問を持った高橋さんは身元がばれないよう、肌が見えないように手袋をつけるなど注意を払いながら活動を続けています。
高橋さん「よろしくお願い致します」。
高橋さんは望まない信仰の強要を「宗教虐待」として捉えてほしいと署名活動を行い、7万人以上の署名を国に提出しました。
高橋さん「親からすると子供を地獄に行かせたくない、愛している大事な子どもが地獄に行ってほしくないということで虐待的な強制をするという教義を作って指導をして、親に子供を束縛させる。教会の組織としてこういう教えがなされています」
こうした声を受け、国はー。
加藤厚生労働大臣「宗教の信仰を含め理由の如何を問わずに児童虐待は決して許されるものではありません」
厚生労働省は昨年12月、特定の宗教団体が子どもに対し宗教活動への参加を強制することや、脱会を防ぐために「地獄に落ちる」などと脅すことは心理的虐待にあたる、などと具体的な事例を示したガイドラインを作り、全国の自治体に通知しました。
先月、読売テレビが全国の児童相談所に対して行ったアンケート調査。
通知が出されて以降、背景に宗教がある相談や保護があったかと尋ねたところ、全国で少なくとも10件の相談があったことが明らかになりました。
アンケートには児童相談所の職員から「宗教虐待」かどうか、見極める難しさを指摘する声が。
「どのくらい寄付をしているかなど、世帯の経済状況が把握しづらい」
「児童の意向が本人の意向なのか、宗教の教義に縛られたものなのか判断が難しい」
アンケートに回答した佐賀県の佐賀中央児童相談所。これまで背景に宗教がある子どもの相談や保護した事例はないものの対応の難しさを感じているといいます。
佐賀中央児童相談所の松藤英樹所長「どういう風な親の信仰の強さがあるのかどうか、わからない。児相って何らかの声を上げられて初めて対応するところ。周りでお話できる大人の人、先生方でも良いが相談をしてほしい」
ガイドラインの作成にも携わった高橋みゆきさん。今回の調査結果には表れていない、相談に至っていない子どもが数多くいると指摘します。
高橋さん「SNSを探しただけで数百人の被害を訴える人達が出てくる。実際につながることができたのが10件前後というのは非常に少ないと考えている。組織的な虐待が行われていたのは明白な事実であって、それに対して何のアプローチもされていなかったことに非常に日本の政治に対してガッカリした」
宗教2世の当事者団体に関わる専門家は、厚労省のガイドラインに一定の効果はあったものの、強制力のある法整備が必要だと訴えます。
宗教2世の当事者団体に関わる日本大学の末冨芳教授「恋愛の禁止だとか進学の禁止などが起きた時に明確に法的な根拠がないために調査や介入がしづらいということがあげられる。法整備、政策の整備、社会の側で子供たちを守り育てる体制の整備を含めて急がれる状況にある」
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