事件から約13年 神戸・男子高校生殺害の初公判「殺すつもりはなかった」遺族は語気を強め何度も質問
13年前、神戸市北区で高校2年の男子生徒(当時16)を殺害した罪に問われている元少年の裁判員裁判が、神戸地裁で始まりました。元少年は殺意について否認し、争う姿勢を示しています。
元少年
「殺すつもりは、ありませんでした」
事件から12年8ケ月が経ち開かれた初公判。殺意について否認した被告の元少年は、現在30歳になっていました。
2010年10月、神戸市北区の路上で、当時高校2年の堤将太さんは、交際していた女子中学生と一緒にいたところ、刃物を持った男に襲われ死亡しました。
刺した男は逃走。遺族らは、ビラ配りなどで行方を追ったものの、未解決事件として長い年月が経ちました。
事件から10年以上経った2021年。殺人の疑いで逮捕されたのは、事件当時17歳だった元少年です。
事件への関与を、周囲にほのめかしていたといいます。
元少年(当時28)(警察の取り調べに対し)
「女子中学生と一緒にいるのを見て腹が立った」
そして7日、神戸地裁で始まった元少年の裁判員裁判。
男が事件当時、17歳だったことから、名前などは開示されない一方、成人と同じ公開の法廷(傍聴席との間に遮蔽板がない状態)で行われました。
元少年(現在30歳)
「(堤将太さんと)同年齢の男性を複数回刺したのは事実です。殺すつもりはありませんでした。被害者の名前、年齢は分かりません」
スーツ姿で出廷し、か細い声で、殺意について否認した被告の元少年。
続く冒頭陳述で、検察側は「人を死亡させる危険性の高い行為で殺意はあった」「責任能力は著しくは低下していなかった」などと主張。完全責任能力はあったと指摘しました。
一方、弁護側は。
弁護側
「電車内で、不良のように見えるカップルの男性の首を絞めるなど、この時期、被告は通常の精神状態ではなかった」
これまでに起こした問題行動などを挙げ、被告は「幻聴や妄想に取りつかれていた」などと主張。事件は、「自分に迫ってくる不良の人たちを、退散させようと及んだ行為」であり、善悪の判断が困難な「心神耗弱」の状態だったと述べました。
午後には、元少年の父親が証人として出廷。すると、元少年はうつむき、天を仰ぎ、そして涙を流し始めました。
一方、亡くなった将太さんの父・堤敏さんは、遮蔽板で隠された元少年の父親を見つめ、質問を畳みかけました。
堤敏さん
「今までに謝罪はしたのですか?」
元少年の父親
「していません」
敏さん
「もし有罪だと、どうしますか?」
元少年の父親
「事実をもとに、謝罪文を書面でまとめたいです」
敏さん
「被告人の社会復帰については、どのように考えていますか?」
被告の父親
「選択肢はいろいろと考えていますが、どの選択肢かは決めていません」
8日は、元少年に対する被告人質問が行われます。
裁判を傍聴した記者はー。
敏さんは質問する際、語気を強め何度も質問を繰り返しました。
敏さんは、元少年とその家族がなぜこれまで謝罪すらしてこなかったのか。また元少年の父親に対して、罪にどう向き合っていくのかといった内容を立て続けに投げかけ、裁判長から「お気持ちは分かりますが冷静にお願いします」と注意を受けるシーンもありました。
一方の元少年ですが、我々からは表情が見えますので、父親が入廷して来た際には、涙を流し、終始うつむいたり、天を仰いだりと感情をあらわにして落ち着かないシーンが目立ちました。
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