【韓国の“視察団”】ナゼいま?福島原発に メディアは「汚染水」不信感も
日韓首脳会談で合意された福島第一原発の処理水をめぐる韓国の専門家視察団の派遣について23日、その視察団が福島第一原発に入りました。今回の派遣が実現した背景にあるとみられる「2つのポイント」について解説します。
■「韓国の専門家が視察し検証すれば」提言も
有働由美子キャスター
「韓国・SBSは23日、日本の福島第一原発に韓国の専門家21人が視察に入ったというニュースを伝えました。なぜ今、韓国の専門家が視察に来たのでしょうか?」
小野高弘・日本テレビ解説委員国際部デスク
「SBSのアナウンサーは『汚染水』と言っていましたが、日本では『処理水』と言っている水の問題です。もう1つが、日韓両トップの思惑です」
「廃炉作業の過程で発生する『処理水』ですが、日本政府は安全だと捉えてこの夏にも海に放出する計画です。国際原子力機関(IAEA)も『放出計画は評価できる』としています。しかし、韓国はこれを『汚染水』と呼んでいます。『安全と言いつつ問題があるのではないか』と不信感があるわけです」
有働キャスター
「韓国は水産物の輸入も止めていますよね」
小野解説委員
「福島ではカツオ、ヒラメ、ウニ、冬はズワイガニと海の幸が豊富ですが、検査で科学的に問題がなくても輸入しないというわけです。この不信感をどうしたらいいか…。韓国・ソガン大学のイ・ドクファン名誉教授は『福島第一原発を韓国の専門家が視察し、その目で安全性を検証すればいい』と提言しています。漁業への影響を心配する韓国の人たちも『韓国の専門家が言えば安心できる』と取材に対し答えています。今回の専門家の派遣には、こうした背景もありそうです」
■日韓両首脳の考え“一致” 韓国世論に向けパフォーマンスの側面も?
有働キャスター
「ずっと懸案だった問題が動き出したのは、日韓関係の改善が関係しているってことですか?」
小野解説委員
「それが2つめのポイントです。今回の視察が決まったのは、今月7日の日韓首脳会談でした。韓国の尹大統領は、処理水をめぐる問題でアクションを起こすことで、日韓の関係改善をより強く進めたいという考えです。一方の岸田首相は、韓国国内の理解を得る絶好のチャンスになるという考えで、両者の考えは一致しているわけです」
「そして視察後の23日午後、視察団の人が取材に応え、『今日(23日)は放射能を除去する設備がどのように作動しているのか、集中的に調べた。明日(24日)は、放出する設備がどのような仕組みになっているのか点検する』と話していました」
有働キャスター
「落合さんは、どうみていますか?」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「僕は、科学的に安全が証明されているのであれば、処理水は海に流すべきという考えです。今回の韓国の視察については、韓国国内の世論に向けたパフォーマンスの側面もあるんじゃないかと感じていますので、本当に来る必要があったのか、僕としては疑問も残ります」
有働キャスター
「実は、G7広島サミットの首脳宣言でも処理水などについて『国際原子力機関(IAEA)とともに行われている日本の透明性のある取り組みを歓迎する』と触れられています。科学の目によりフェアに検証してもらい、広く世界に伝わるといいと思います」
(2023年5月23日放送「news zero」より)
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