G7 母国に夫を残したウクライナ避難者は“継続的な支援”に期待「安全に暮らせる仕組みを考えて」
G7(先進7か国)広島サミットで最も大きな議題になるのがロシアによるウクライナ侵攻です。戦闘が長引く中、日本に避難するウクライナの人たちが今、伝えたいことは……。
滋賀県彦根市に避難してきたイリーナ・ヤボルスカさん(52)。激しい戦闘が続くウクライナ北東部の街・ハルキウに住んでいました。
日本人の男性と結婚した娘を頼りに去年3月に来日し、母と2人で生活しています。
「得意な料理を生かして生計を立てたい」と支援を募り、ウクライナ料理を振る舞うキッチンカーを開業しました。
5月末には、新たな店舗もオープンさせる予定で、より多くの日本人に故郷の味を知ってらもいたいと考えています。
イリーナさん
「料理を作ることやキッチンカーの仕事が楽しいです。お客さんともコミュニケーションをとっています」
仕事に手ごたえを感じる一方、ウクライナに一人残る夫のことが頭から離れません。
イリーナさん「仕事と家は大丈夫?」
夫・ローマンさん「全部大丈夫だよ」
イリーナさん「ハルキウは今どんな状況?」
ローマンさん「だいぶ落ち着いてきたけど、爆撃は毎日あるね。警報が1日に3、4回は鳴っている」
侵攻から1年以上がたっても、いまだ戦いが終わる気配はありません。
当初は一時的な避難と考えていましたが、家族が離れ離れの生活をいつまで続けるのか……。結論は出ていません。
イリーナさん
「この1年間、毎日、ウクライナの状況を心配しています。一瞬で状況が変わる可能性があるので、これから先の予定を立てるのが難しいです。一日が始まると夫と連絡を取って、『今日は大丈夫かな』という毎日です」
世界の首脳が集まるG7サミットに期待すること、それは母国への「継続的な支援」です。
イリーナさん
「世界の国々が話し合って、ウクライナへのより多くの武器の提供を決めてほしいです。その武器を利用し、ウクライナ軍が反転攻勢を実現して、ロシア軍を壊滅させ、撤退させてほしい」
戦闘が長期化する中、日本には今も約2200人が避難していますが、避難者から寄せられる相談にも変化が出ています。
京都市で外国人の生活をサポートする団体は、去年7月以降、心理士の資格を持つ3人のウクライナ人が避難者の相談にあたっていますが、今年に入り相談件数が急増しています。
外国人女性の会パルヨン代表理事のハッカライネン・ニーナさん
「(1年がたって)少し生活が落ち着いてきて、今まで閉じ込めていた感情があふれてくる。色んな大変な気持ちを持ちながら日本で生活しているので、その心の支えが必要なんです」
これまで財団などの助成金を使って運営してきましたが、その資金も底をつく状況となっています。
ニーナさん
「避難者が来たばかりの時は注目を浴びていた。そのために色んな助成金があったんですけど、1年がたって、助成金も減っていく。心理士たちに、『すみませんが、深刻なケースだけ受けて下さい』と指導をしました。それが非常に心が痛い」
避難者のサポートを続けるため、団体ではクラウドファンディングを行い、活動資金を募っています。
今、世界に伝えたいことは……。
ニーナさん
「自分の国の利益、目の前の利益だけではなくて、地球の将来の世代の人たちのことをもっと考えながら、平和に安全に暮らせる仕組みをみんなで考えていただきたい」
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