【憲法記念日】「同性カップル」が直面する不利益…憲法24条の「両性の合意」は“男女”の意味を示すのか?裁判所の判断をひも解く【Nスタ解説】

【憲法記念日】「同性カップル」が直面する不利益…憲法24条の「両性の合意」は“男女”の意味を示すのか?裁判所の判断をひも解く【Nスタ解説】

【憲法記念日】「同性カップル」が直面する不利益…憲法24条の「両性の合意」は“男女”の意味を示すのか?裁判所の判断をひも解く【Nスタ解説】

生活上様々な不利益が生じている同性カップル。憲法で「同性婚」をどう解釈するのか?5月3日の憲法記念日に考えます。

■憲法施行から76年同性カップル日本の現状は?

井上貴博キャスター:
現在の憲法が施行された76年前と大きく価値観が変わる中で、日本は伝統や家制度に縛られているところが大きいのかもしれません。

G7=先進7か国の中で同性婚を認めていないのは日本のみです。現状で同性カップルが直面する不利益の例を挙げてみました。

【住居】公益住宅多くの自治体で親族関係にない同性カップルNG民間の賃貸断られることも

【医療】パートナーが入院したとき症状の説明や面会が難しい

【生命保険】同性パートナーを受取人指定原則不可(一部商品では可能)

【相続】認めらず

【厚生年金】遺族としての受給不可

法の下の平等といいますが、本当に平等なんでしょうか。同性カップルというだけで、これだけ違い、不利益を被るというのはどうなのか。法律が前に進まないのであれば、自治体で変えられることはないか。

2015年、全国で初めて渋谷区が「パートナーシップ証明」というものを始めました。“同性婚”に相当する関係を認める証明書を発行します。法的に認められるわけではありませんので、配偶者控除などは認められませんが、公営住宅への入居、公的書類の作成窓口の設置など同性カップルに支援ができるようになりました。

これよりも一歩踏み込んだのが大阪です。2022年からはじまっている「ファミリーシップ制度」は同居する子ども、同性カップルの家族と認める制度で2人だけではなく、子どもに関してもしっかりと認める制度です。

現在、全国43の自治体で実施となっていますが法律上の効力があるわけではありません。(みんなのパートナーシップ制度HPより)

JNNの世論調査では「同性婚を法的に認めることについて」
▼賛成63%▼反対24%

30歳未満の女性の賛成は91%でした。年代別の差もどんどん大きくなってきていて、かなり意見が分かれるところもあるのかもしれません。

■裁判所によって「合憲」「違憲」判断が分かれる“同性婚”どう解釈する?

法律を読み解いていくと、法律家でも意見が分かれるようです。

【憲法14条】
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

と定めています。

婚姻に関しては…

【憲法24条】
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

“両性”というのをどう読み解くか。憲法を改正しなくても“両性”ということは、同性も想定内ではないか、このまま話を進められるのではという見方もあるわけです。

裁判所はどう規定しているのでしょうか。ここでも意見がわかれてきます。

2021年、札幌地裁では「違憲」としました。同性婚を認められないのは「法の下の平等」に違反するという判断を示したんです。

一方で、2022年、大阪では「合憲」としました。異性間の婚姻の目的は、男女が子を産み育てる関係を社会が保護するもの。同性婚は議論の過程にある

という判断を示しました。

札幌と大阪で裁判所も判断が分かれるというのが現状なわけです。

ホラン千秋キャスター:
これまでも様々な場面で憲法の解釈を変えましょう、解釈を加えましょうということをしてきたと思いますが、なぜこれに関しては頑なに「そういう解釈ができない」という態度なんでしょうか?

萩谷麻衣子弁護士:
憲法9条の専守防衛などは集団的自衛権を認められないという解釈だったのに認めるようになりましたよね。

私は憲法を改正しなければ同性婚は認められないという立場は取りません。解釈で十分変えられると思うのですが、24条では「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」と。その両性を男性同士、女性同士というように、異性じゃなくて、同じ性だと読みかえることもできますが、両性というのは、異性間というのが通説なんです。

ただ、異性間だとしても、この条文の目的は「両性の合意のみに基づいて成立する」というところにポイントがあって、異性間の合意のみに基づいて成立するということを定めていても、必ずしも同性婚を否定する趣旨ではない。

先ほどの大阪地裁の「合憲」だとした判決も、「憲法は同性婚を排除するものではない」ということは言っているんです。この後に東京地裁の判決が出ていますが、それは「違憲状態」だと判断しているので、やはり立法が動かないとどうしようもない状態になっているというのはその通りだと思います。

ホランキャスター:
G7=主要7か国の中で法的な保護を含めて同性婚が認められていないのは日本だけ。普通に考えますと、同性婚を認めたからといって社会が悪くなるとか、いけない方向にいくと考えることはないと思いますが、何かを恐れているような姿勢をずっと政府が示しているのがとても気になります。

萩谷弁護士:
自民党の保守層に伝統的な家族というのは男女の繋がりから子どもが生まれる。そこを守るべきだという強い意向があるということに忖度してるのかもしれないですよね。

井上キャスター:
自民党には票田がありますからね。その人たちにやはりしっかりと向き合わなきゃいけない。でも萩谷さんの話を伺っていると、国会さえ変われば、裁判所はそれを待ってるし、大きく変わっていく可能性があるということですか?

萩谷弁護士:
しかも憲法改正の議論をしてますけど緊急事態条項を議論するのであれば、こちらの方が人権の話なので喫緊の話だと思います。

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