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グランフロント大阪10周年 安藤忠雄さん“うめきた”開発は「空間が大事」大阪の魅力を世界へ発信
JR大阪駅の北側にある複合施設「グランフロント大阪」が26日で開業10周年を迎えました。「うめきた」エリアの街並みを大きく変えました。(取材・報告=平田博一記者)
高い建物が立ち並ぶグランフロントです。JR大阪駅に直結しているということで、訪れたことがある方も多いのではないでしょうか。
開業10周年ということで、広場では記念のイベントが行われていて、その奥には、現在、急ピッチで開発が進められている「うめきた2期」地区があります。
先月には、地下にJR大阪駅の新たなホームが開業しましたが、地上でも建物の開発が進んできていて、来年夏ごろには、一部が先行して街開きするということです。
「うめきた」エリアは、かつては貨物列車に荷物を積み降ろしするための駅が広がっていました。この「グランフロント大阪」の開発によって、その街並みは大きく姿を変えることになりました。
10年前のきょう開業した日には、朝から約1000人が行列を作り、約30分前倒しでのオープンとなりました。北館と南館で約260の店舗、オフィスやホテルも入っていて、この10年間で累計で4億7000万人が、この場所を訪れたということです。
まさに、現在「大阪の顔」となったグランフロント大阪ですが、皆さんがまず思い浮かべるのは、高くそびえ立つ建物の姿ではないでしょうか。しかし、開発のキーマンは、街づくりのポイントに、建物以外の“ある場所”をあげています。
世界をまたにかける建築家は、いったい、どのような思いで「うめきた」の街づくりを進めてきたのでしょうか。
「水の都・大阪」。一人の建築家が大阪の発展に欠かせないと考える原点です。
建築家・安藤忠雄さん「私は大阪生まれの大阪育ち、大阪から出て行かれへん人間、大阪に頑張ってもらわなあかんねん、できないと思っていることをやらないと」
建築家・安藤忠雄さん、81歳。1969年、28歳で事務所を設立し、1979年に「住吉の長屋」で日本建築学会賞を受賞。その後も数多くの名建築を生み出してきました。
その安藤さんも携わったJR大阪駅の北側、グランフロント大阪などの「うめきた先行開発地域」が26日、開業10周年を迎えました。
駅からすぐのところに広がるのが、約1万平方メートルもの広さがある「うめきた広場」です。安藤さんは大型商業施設ではなく、この巨大な空間こそが街の発展には欠かせないと考えていました。
訪れた人
「未来を感じさせるよ。グーです」
「変わった、変わった、全然変わった、これができてから特に。華やかさは別になかったよね、大阪といえども」
安藤さん「まず、玄関でないとね。玄関、大事じゃないですか。まず駅前から降りてきた時に、水の大空間が見えると。何と言っても水の都だから。子どもたちがそこで育って、ああ、私は大阪で育ったな、と言うためにはどうするかというので、まず水を使いたいと」
国鉄時代から138年間にわたり貨物駅として利用されてきた大阪駅の北側エリア。そこに「うめきた」の構想が具体的に現れ始めたのは2002年。
周辺では、その前の年に家電量販店のヨドバシカメラが進出し、開店前には3000人を超える行列ができていました。
“最後の一等地”として残されていた「うめきた」は、「世界の都市間競争に打ち勝つまちづくり」を目標に開発が進みます。
安藤さん「東京の駅前とはまた違った、いわゆる森の中に水がある、水の中に人が集まってくる。同時に梅田に入ってくる鉄道の駅が地上にある、地下にもあるんですね。こんな立体的でありながら人の心にしっかりと残る場所はないだろうと。大阪はやっぱりすごいぞと。あの空間は人々と共に大阪を生かそうと思った人たちの心が、あそこにあったんだということになるのではないかと思っています」
開業から10年。うめきた広場では様々なイベントによるにぎわいが生まれ、周辺の公示地価も10年間で約2・6倍に上昇しました。
一方、民間の研究機関が世界主要48都市を評価したランキングでは大阪は37位、東京は3位と大きな差が開いています。東京に比べ、経済力のほか、“都市空間の清潔さ”や“緑地の充実度”などの環境面で低い評価だったためです。
安藤さんは、この課題も今後の「うめきた」の開発で変えていきたいといいます。
安藤さん「大阪になかったもの。なかったものをつくらないと。大阪は緑がいっぱいというイメージはないでしょう。それをやっぱり逆転しないと。大阪すごいぞと思わせないといけない」
大阪の国際競争力を強化するために…。当時、うめきたの建設現場に掲げられていたメッセージがあります。「夢の種を、まきました」
安藤さん「『夢の種をまいた』というのは、子どもたちに夢を与えないかんと。その子どもたちの夢が大きくならないかん。大阪も変われると。パワーのある子どもたちを育てるための種でなかったらいかんと思っています」
こちらが、その「うめきた広場」ですが、安藤さんがポイントに挙げた“水”がご覧のように、かなり広い面積に張られていることがわかります。
この前の週末も、取材で訪れたのですが、親子連れがベンチでゆっくりと過ごす姿や、観光に訪れた外国人がもの珍しそうに写真を撮る姿が多くみられました。
安藤さんが、思い描いていた「人々が集う場所」になりましたが、当初は、都会のど真ん中に1万平方メートルもの広大な広場を作り、木を植えたり、水も多く使ったりということで「管理はどうするのか」などといった反対の声もあったということなんです。
ただ、今までの大阪になかった、「人びとが憩える場」を作って、「大阪の顔」となる場所にしたいという思いが実を結び、今の「うめきた広場」が作り上げられることになりました。
(Q:今、開発が進んでいる「うめきた2期」地区もそのような思いが継がれているのですか?)そうなんです。私の後ろで開発が行われているのが「うめきた2期地区」ですが、完成のイメージ図はこちらです。
南側と北側には商業施設やオフィス、ホテルが入る高層のビルが建設されますが、なんといっても注目されているのが、中央に広がる甲子園球場1個分、約4万5000平方メートルもの広大な公園です。
先ほどのインタビューでも「大阪には緑が少ない」という話がありましたが、水を使った「うめきた広場」と豊かな緑が広がる、うめきた2期の「都市公園」を大阪の玄関口に作ることで、東京とは違った大阪の魅力を世界に発信していきたいという思いが込められています。
来年には、一部が先行して街開きされるということで、関西最後の一等地、「うめきた」はこれから、また大きく姿を変えようとしています。
2025年の万博、そして、その後のIRなど世界から訪れる人々に大阪を魅力ある場所としてアピールできるかが注目されます。
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