“永遠に教訓として”も事故後入社は6割超え“継承”大きな課題に…JR福知山線脱線事故から18年

“永遠に教訓として”も事故後入社は6割超え“継承”大きな課題に…JR福知山線脱線事故から18年

“永遠に教訓として”も事故後入社は6割超え“継承”大きな課題に…JR福知山線脱線事故から18年

 乗客106人が死亡したJR福知山線の脱線衝突事故から、25日で18年です。兵庫県尼崎市の事故現場では、追悼慰霊式が行われました。

報告・木村智子記者
「私の後ろに見えるアーチ状の屋根で覆われた場所が、脱線した列車が衝突したマンションです。今では4階までが残され犠牲となった方への祈りを捧げる場所になっています。

 事故当時、私は小学1年生でした。今日、負傷者の方々の“時間が経ってもこの日になると事故のことが思い出され、何年たっても安全への願いは変わらない”という言葉が強く心に残りました。

 今年1月に起きたJR京都線の立往生の事案を取材しましたが、
事故の教訓は生かされていたのか疑問に感じました。

 JRの社員の中にも、私と同じように事故を知らない世代が半数を超えました。事故の教訓をどのように受け継ぎ安全な鉄道であり続けるのか。

 犠牲者への祈りと、安全への誓いに包まれた一日をまとめました。」

 雨が降り、冷え込む朝……。

 多くの人の“日常”が奪い去られたあの日から18年……。

 それぞれの思いを胸に、亡くなった方々への祈りが捧げられました。

 車内放送「お亡くなりになられたお客様のご冥福をお祈り申し上げますと共に、ご遺族の皆様、おけがをされた方々のご家族の皆様に深くおわび申し上げます」

 電車は事故を起こした車両とは違って、ゆっくりとした速度で現場付近を通過しました。

 2005年4月25日に起きたJR福知山線の脱線衝突事故。制限速度を大幅に超えた快速電車が、カーブを曲がり切れず脱線し、乗客106人と運転士が亡くなり、562人が重軽傷を負いました。

 事故現場に整備された「祈りの杜(もり)」では、追悼慰霊式が行われ、遺族やけがをした方など約300人が参列し、黙とうがささげられました。

 二男(当時18歳)を亡くした上田弘志さん(68)
 「二男が生まれて18年で事故にあって、今日の18年というのは、いつもより思いのある18年」

 2両目で負傷した土田佐美さん(54)
 「あの日はこうだったというのは、鮮明に一瞬にして戻る感じ。それは何年たっても変わらない」

 妻(当時63歳)を亡くした西野道晴さん(83)
 「ここに来る度に事故の悲惨さはつくづく感じます。この悲惨さは永遠に教訓として残して、安全を優先してやってもらいたい」

 遺族らは今も訴え続けます。重大な事故を起こした企業への刑事責任を問う「組織罰」の実現を求め、署名活動を行っています。

 長女(当時23歳)を亡くした大森重美さん(74)
 「今は誰も責任取りませんから。逃げ得を許すような社会。安全をちゃんとやる社会を目指していきたい」

 事故の後に入社したJR西日本の社員は、6割を超えました。「安全」への誓いが、再び破られることがないように。事故の教訓をどのように継承していくかが大きな課題となっています。

読売テレビニュースカテゴリの最新記事