内戦激化スーダンから日本人救出へ自衛隊初「陸上輸送」の可能性も…「非常に高いハードル」とは?【サンデーモーニング】|TBS NEWS DIG
内戦が激化しているスーダンに残る日本人を退避させるため、自衛隊機が中継拠点のジブチへ派遣されました。そもそもスーダンの内戦の構図とは?そして、戦闘が続く中で自衛隊はどのようにして現地の日本人を救出することができるのでしょうか?今回、自衛隊の歴史上初めてとなる他国の領土での「陸上輸送」を含む救出活動が行われる可能性もあります。自衛隊トップの統合幕僚長を務めた河野さんは「非常に高いハードル」があると指摘するその任務とは?手作り解説でお伝えします。
■日本人がスーダンで人道支援
スーダンになぜ日本人が約60人滞在しているのでしょうか?スーダンでは2003年に「世界最大の人道危機」と呼ばれるダルフール紛争が発生。紛争が激しかった2010年頃までに約30万人が命を落とし、200万人以上が住む場所を追われました。そんな中で多くの日本人が人道支援に携わっているのです。
現地の情勢に詳しい東京大学大学院アフリカ地域研究センターの遠藤貢教授は「最貧国のスーダンで、行政サービスが限られる中、日本人は医療や教育などの支援を行っていて非常に評価されている」と話しています。
■なぜ内戦が発生?
このダルフール紛争では、当時のバシル大統領の独裁政権が、アラブ系の民兵を利用して、アフリカ系の住民を虐殺などしたとされていますが、その民兵組織が後に正式にバシル政権の傘下に入って勢力を拡大。それが、現在「国軍」と内戦を続けている「RSF」です。
両者は2019年には、協力してクーデターを起こし、バシル政権を倒しました。その後、共に立ち上げた政権では、ナンバー1に国軍トップのブルハン将軍、ナンバー2に「RSF」トップのダガロ司令官がついています。しかし、民政への移管で権力争いが起こり、4月、激しい内戦に発展したんです。
■自衛隊が救出へ
今回、日本政府は邦人退避のため、スーダンの東にあるジブチに自衛隊の輸送機など3機を送りました。ジブチには、2011年ごろソマリア沖で頻発した海賊被害への対処をきっかけに、自衛隊が初めて海外に設置した拠点があります。ただ今回、このジブチから先、スーダンでの救出活動をどう進めるのかは、まだ明らかになっていません。
■初の「軸乗輸送」の可能性
想定される一つの方法としては、スーダン国内の安全を確保できる空港まで輸送機を飛ばし、そこから日本人のいる場所まで自衛隊の車両で迎えにいく可能性があります。邦人救出のために他国領土内で自衛隊が車両による輸送を行えば、初めてのこと。この「陸上輸送」は、2013年の法改正によって、新たに自衛隊が可能な活動に加えられていました。
ただし、「陸上輸送」を行うためには、受け入れ国の同意が必要です。自衛隊トップの統合幕僚長を務めた河野克俊さんは、「内戦下のスーダンでは、国軍とRSFのどちらが国を代表しているのかわからない。両方から同意を得る必要があるのかなど複雑な要素が絡み、ハードルは非常に高い」と指摘します。また、そもそも安全に離着陸できる空港を確保する必要がありますが、日本時間の24日までとされる「停戦」も不安定な状況です。スーダンに残る日本人の救出には、難しい問題が立ちはだかっています。
(「サンデーモーニング」2023年4月23日放送)
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