駿河湾の宝石「サクラエビ」が“豊漁” 不漁から一転…水揚げ量“44倍”も原因不明【もっと知りたい!】(2023年4月19日)
静岡県の駿河湾で始まったばかりのサクラエビ漁。関係者も驚くほどの豊漁で去年に比べてなんと、44倍です。
■漁師も驚き「満足いく量」
ホースから次々と飛び出してくるのは、旬を迎えた「サクラエビ」。これは13日、静岡県の駿河湾で行われたサクラエビ漁の様子です。
ケースいっぱいに詰められたサクラエビは、次々と甲板に積み上げられていきます。
“サクラエビ豊漁”の知らせを受け、番組は漁に同行しました。
日中は水深200メートルから300メートルの深海に生息しているサクラエビ。夜になると、餌(えさ)を求めて浅いところまで上がってくるため、漁は夜に行われます。
漁の方法は、2隻の船が1組となって行う「二艘曳き(にそうひき)網漁」。海の中にいる群れめがけて巨大な網を投入し、2隻で引いていくというものです。
船のソナーには、サクラエビの群れと思われる反応がありました。赤い線が、網の位置を示しています。
サクラエビ漁師 大正丸・熊谷好貢さん:「入りそうだと思う。網もそこそこの位置に行ってるようだし」
別の船の漁師:「100から140(メートル)ぐらいだな」
熊谷さん:「こっちはすごいですよ、幅がめちゃめちゃ。70から120(メートル)くらい。幅的に」
熊谷さん:「(Q.結構いい反応?)そうですね、この幅が広いもんで。わりとエビの層が広がっているんじゃないかな」
サクラエビがかかると、船同士を近付けて網を寄せ、その中にホースを投入。ポンプで海水ごと吸い上げていきます。
熊谷さん:「だいたい150箱ぐらいは取れたかな、両方(2隻)で。1回の網でそれだけ入ったかな。(1ケース)15キロのエビにする。水が切れた時にそれくらいなので17から18キロで量ってます。そこそこ満足いく量は取れたと思う」
■店からも期待の声「遠くから大勢のお客様」
国内では、駿河湾のみでしか水揚げされず、その美しさから「駿河湾の宝石」と呼ばれるサクラエビ。地元の飲食店にも、取れたばかりのサクラエビが運ばれました。
静岡市内にある店では、新鮮なサクラエビを使った「かき揚げ」や、地元ならではの生サクラエビの「海鮮丼」が楽しめます。
鮨処やましち 山崎伴子さん:「サクラエビは丸ごと食べられる。プチっとした甘さ、それは格別」
久しぶりの“豊漁”に、店からも期待の声が上がります。
山崎さん:「とてもうれしく、遠くから大勢のお客様が取れたことを喜んで食べに来てくれている。たくさん取れる時は、ものも良い。ちょっと大きくなっていてサラサラでとてもおいしい立派なエビ。色々な形でサクラエビを楽しんでもらえるよう工夫しています」
■2018年には記録的な“不漁”も
毎年、春と秋に漁が行われるサクラエビ。2008年に1800トンを超えていた漁獲量は2018年、312トンにまで激減。
記録的な不漁を受け、資源回復のため禁漁区を設けたり漁に出る回数を制限したりしてきました。
サクラエビに詳しい専門家は次のように話します。
東海大学 海洋学部 西川淳教授:「まず資源(サクラエビ)の取りすぎというのが1つ。それに加えてサクラエビの生息環境の変化というのがあり、具体的には黒潮の蛇行によって駿河湾内の植物プランクトンや動物プランクトンの生産力が少し低下。(さらに)サクラエビの産卵場の移動というのも要因の1つと考えている。ただ、しっかりとした根拠はまだない」
■去年の“44倍”の水揚げ 豊漁の原因分からず
そんななか、解禁された今年の春漁。初日の水揚げは去年のおよそ44倍となる40トンで、今月5日の初競りでは床一面にエビを満載したケースがずらりと並びました。
15キロあたりの平均価格も3万2750円と、去年よりおよそ2万円安くなりました。
由比港漁業協同組合 大石達也専務理事:「ずっと不漁で苦しい思いをしてきた。初日なので何とも言えないが、少し不漁から抜けたという印象。ここ数年、保護区を設け調整しながら取らないようにしてきたから、その成果が出始めたのではないか」
謎の多いサクラエビ。なぜこんなに復活したのか、詳しい原因は分からないといいます。
西川教授:「産卵量などある程度分かっているが、特に幼生の間、どういうものを食べてどういうふうに成長して、どのくらい死んでいくとか、そういった研究は非常に限られている。どういう生き方をしているか、もう少し解明することで資源の回復につながると考えている」
(「グッド!モーニング」2023年4月19日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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