【解説】トランプ氏が出廷…34件の重罪で起訴も無罪主張 ポルノ女優への不倫の口止め…なぜ重罪に?

【解説】トランプ氏が出廷…34件の重罪で起訴も無罪主張 ポルノ女優への不倫の口止め…なぜ重罪に?

【解説】トランプ氏が出廷…34件の重罪で起訴も無罪主張 ポルノ女優への不倫の口止め…なぜ重罪に?

アメリカの歴史上、初めて、大統領経験者として起訴されたトランプ氏が5日に出廷し、無罪を主張しました。今後トランプ氏にどんな事態が待ち受けているのでしょうか?

◇トランプ氏“徹底抗戦”
◇口止め料…なぜ重罪
◇得をしたのは誰?

以上の3点を詳しくお伝えします。

■トランプ氏 記録の改ざんなど34件の重罪で起訴も…全て無罪を主張
まずは、5日の動きからです。トランプ氏は日本時間午前2時半ごろ、手をふって裁判所の中に入りました。アメリカメディアによると、指紋採取などの手続きが初めに行われたということです。

そして、15階にある法廷に険しい表情で移動し、起訴内容に関する罪状認否にのぞみました。

トランプ氏は、不倫の口止め料を支払ったとされる問題に関連した記録の改ざんなど34件の重罪で起訴されましたが、全てについて無罪を主張しました。

その後、裁判所を後にすると、フロリダ州の自宅で支持者を前に演説を行いました。

トランプ氏
「元大統領が起訴されたのは史上初だが、ほとんどの専門家は『根拠がない』と言っている」

■16ページの起訴状 最も問題になっている「口止め料」も

このニュース、いったいどんな罪で何が問題か、わかりづらいところをひもといていきたいと思います。

5日に公表された起訴状は16ページにのぼりました。トランプ氏は「記録の改ざん」など34件の重罪に問われています。

この34の重罪の中に含まれているのが、「ポルノ女優に不倫の口止め料13万ドルを支払ったこと」、また「トランプ氏に“隠し子”がいるという情報を持っている、トランプタワーの元ドアマンに3万ドル支払ったこと」、そして、「トランプ氏と性的関係を持ったとする女性に15万ドルを支払ったこと」、いずれも不正に処理したことなどがあげられています。
これが「重罪」なのかという疑問がありますが、そこがポイントとなっています。最も問題になっている「ポルノ女優への口止め料」について詳しくみてみると、過去にトランプ氏と不倫関係にあったと主張する女優のストーミー・ダニエルズさん。この人に13万ドル、現在のレートで約1700万円の「口止め料」を支払ったのは、トランプ氏の顧問弁護士でした。

トランプ氏はこの弁護士に対して、自分の親族の企業を通じてお金を弁済していますが、その際に、「これは口止め料ではなくて弁護士費用ですよ」とウソの会計処理をして隠したわけです。これが「記録の改ざんで悪質だ」と検察は見ています。

■大統領選挙の“わずか12日前”に口止めしたか 有罪となれば最大で4年の禁錮刑

さらにもう一つ、検察が重視しているのが「タイミング」です。「口止め料」の支払いが行われたのは、トランプ氏が初当選した2016年の大統領選挙のわずか12日前のことでした。もし、この不倫騒動が公になっていたとしたら、有権者の投票行動に影響を及ぼしたのかもしれません。

検察側は、「大統領候補が自らに不利な情報を有権者に意図的に隠したのではないか、ひいては、アメリカの政治に重大な影響を及ぼしたのではないか」ということを問題視していて、「重罪だ」としています。

なので、一般論ですが、もし有罪となれば最大で4年の禁錮刑となる可能性のある、「第1級の不正会計」として起訴しました。

■トランプ氏の支持率アップ…献金も13億円超え

大統領候補に手を上げている人が起訴されれば、普通はダメージがありますが、トランプ氏の場合はむしろ、共和党内で支持率がアップしています。

リアル・クリア・ポリティクスによる来年の大統領選に向けた共和党の候補者レースの支持率ですが、先月30日に起訴されるとトランプ氏の支持率が45.9%から急上昇して、4月4日の時点で50.8%まで回復していました。一方で、2位につけているデサンティス氏は逆に急降下。先月30日には30.1%だった支持率が4月4日の時点で24.6%まで落ちています。

トランプ陣営によると、お金の面でも起訴からこれまでに1000万ドル、日本円にして13億円を超える献金が集まり、候補者レースでかなり有利に立ったという見方も出ています。

■トランプ氏に利用されないよう検察が工夫…手錠はあえてかけず

ただ、長い目で見ると、トランプ氏が得をしたとは言い切れない部分もあります。

ワシントン支局の山崎大輔支局長の取材によると今回、検察はトランプ氏にあえて手錠はかけず、「マグショット」と呼ばれる容疑者の写真撮影も行わず、指紋を採るだけにとどめました。さらに、メディアからの生中継の要請も断りました。トランプ氏は、手錠をかけられたらそのイメージを逆手にとって、「こんなひどいことされたんだ」と支持者をより奮い立たせようとした可能性が高いとみられています。そこで、検察はトランプ氏に利用されないように最大限の工夫をしたということです。
さらに、アメリカ国民全体で見ると、「今回の起訴を支持する」という人が60%にのぼっています。来年行われる大統領選挙の本選、民主党対共和党という構図になると、トランプ氏は厳しい戦いを強いられるのではないかという見方も出ています。

■「機密文書持ち出し」や「扇動」…起訴内容にない疑惑でも捜査進む

実は、トランプ氏はより重大な疑惑でも捜査が進められています。

主なものとしては、「連邦議事堂の襲撃事件を扇動した疑惑」や、「大統領選の結果を覆そうとして、州務長官などに圧力をかけた疑惑」、さらには、「ホワイトハウスから機密文書を持ち出した疑惑」などがあります。

検察としては、元大統領を起訴するという史上初めての事態にかなり慎重になっていましたが、今回、起訴にこぎつけたことで、ある意味封印が解かれ、他の疑惑についても起訴へのはずみがついたとの見方もあります。

米メディアによると、実際、機密文書持ち出し疑惑については、トランプ氏自身が文書の入った箱を動かすよう指示した証拠がみつかるなど、捜査に進展があったということで、もしこうした件でも起訴されれば、大きな打撃になるとみられています。

   ◇

トランプ氏の次の審理は12月に予定されていて、裁判は長期化するとの見方も出ています。次の大統領選挙までの1年半、捜査の進捗次第ではトランプ氏が窮地に追い込まれる可能性もあり、アメリカ国民の分断が一層、加速することも懸念されています。
(2023年4月5日放送「news every.」より)

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