【実態】新卒で遠洋漁業の漁師に! 急増の背景に年収と生活苦も…
漁師の人手不足や高齢化が進むなか、今、「遠洋漁業」の漁師に新卒で飛び込む若者が増えているといいます。今年は新卒でいきなり就職する若者が、前年度より4倍ほど増えているというのです。若者が遠洋漁業を選ぶそのワケとは…。
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カツオやマグロの遠洋漁船の基地がある宮城・気仙沼市の水産研修センターを訪ねました。そこでは、若い男性たちが船の上で必須となるロープワークの技術を、元漁師の先輩から教わっていました。遠洋漁業の会社に就職したというこの若者、年齢を聞くと…
遠洋漁業の会社に就職
「18歳です。高校を先月、卒業して」
「遠洋漁業」は時に荒れ狂う海の上で1年近くも生活します。しかし、今年度は新卒でいきなり就職する若者が、昨年の4倍ほどに急増しているといいます。
若者たちを大海原へと駆り立てる理由の1つが、ずばり“収入面”です。
遠洋漁業の会社に就職した若者(18)
「基本給だけ見ても、ほかの人(会社員)の倍以上はあるので」
水揚げ次第では「新卒1年目でも年収500万円が可能」だといいます。しかも、船に乗っている間は家賃や食費など、お金が一切かからないという点も大きな魅力だというのです。
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さらに、遠洋漁業を希望する若者たちの“学歴”にも、変化が起きていました。漁業への就労セミナーなどを行う団体によると、これまでは参加者のほとんどが水産学校の学生だったといいます。
全国漁業就業者確保育成センター 馬上敦子事務局長
「今度、遠洋マグロ船に乗るという大学生がいるんですけど、コロナで採用も減っているのと、あとお給料面を考えると、奨学金借りている関係もあると…」
“新型コロナの生活苦を脱しようと、遠洋漁業にかける大卒の若者も増えている”というのです。
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一方で、遠洋漁業をめぐる、ある課題も深刻化しているといいます。
全国漁業就業者確保育成センター 馬上敦子事務局長
「『奨学金を返したら、マグロ船を降りる』というわけではなくて、船の環境を良くして『この仕事が好きだから続けたい』となっていかないといけないので」
水産庁によると、2003年には約23万8000人だった漁業就業者は、2020年には約13万6000人に減少したといいます。漁師の高齢化が深刻となるなか、ベテラン頼みだった遠洋漁業は「若者の定着」が喫緊の課題となっているのです。
その大きな壁となっているのが、遠洋漁業につきまとうマイナスなイメージです。街の人に聞くと…
東京・有楽町 20代新卒 IT系
「プライベートがちゃんと保てるのかな」
東京・有楽町 20代医療系
「お金がない人が仕方なく、肉体労働をさせられているイメージがあったんですけど」
ところが、気仙沼市で漁船の中を見せてもらうと、おしゃれできれいな船室内にはベッドやテレビ、ゲーム機もあり、まるでホテルのようです。広々とした食堂も完備されていました(船によって部屋は異なります)。遠洋マグロ漁業を行う臼福本店の臼井壮太朗社長は、この船の狙いについて「若い人たちにできるだけ興味をもってもらいたいと思って、おしゃれな船をつくりたいなと」と話しています。
さらに「宮城県北部船主協会」では、動画サイトで船の上でのリアルな生活を発信していました。
宮城県北部船主協会 吉田鶴男 事務局長
「お菓子・菓子パン・ジュースというのは、個人で仕込んで海に詰め込むという形になります」
SNSも有効活用して遠洋漁業のイメージアップを図っています。
宮城県北部船主協会 吉田鶴男 事務局長
「第一歩を踏み出すハードルを下げるために、普通にこういう若い人たちが来ているんだよと」
日本の食を守るため、若者の漁師をもっと育てていきたいということです。
(2023年4月4日放送「news every.」より)
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