サークルの飲み会で一気飲み、近畿大の学生死亡 飲み会に参加した学生などに賠償命じる判決 大阪地裁

サークルの飲み会で一気飲み、近畿大の学生死亡 飲み会に参加した学生などに賠償命じる判決 大阪地裁

サークルの飲み会で一気飲み、近畿大の学生死亡 飲み会に参加した学生などに賠償命じる判決 大阪地裁

 2017年、近畿大学の男子学生がサークルの集まりで酒の一気飲みを繰り返したあと死亡したことについて、学生の両親が当時一緒にいた18人の学生に賠償を求めた裁判で、大阪地裁は31日、飲み会に参加していた学生ら10人に約4220万を、飲み会の後に介抱に当たるなどした学生ら6人に2500万円あまりの支払いを命じる判決を言い渡しました。

 訴状などによりますと、17年12月、近畿大学の2年生だった登森勇斗さん(当時20歳)は、大阪府東大阪市内の居酒屋で開かれたテニスサークルの飲み会で、ビールやショットグラス約20杯分のウオッカを一気飲みしたあと、呼びかけに応じなくなりました。2年生の学生5人が3年生の1人に相談したところ、「いびきをかいているから大丈夫」と言われたため、救急車を呼ばずに、他の学生の自宅に運びましたが、翌朝、急性アルコール中毒で死亡しました。

 登森さんの両親は、飲み会に参加した学生や介抱にあたるなどした学生の合わせて18人が適切な救護を怠っていたほか、近畿大学も指導が徹底していなかったとして、合わせて1億円あまりの賠償を求める訴えを20年に大阪地方裁判所に起こしました。

 このうち近畿大学に対する訴えについては、大学が登森さんの両親に弔意を示すほか、学生に対する飲酒事故の啓発活動や近隣の飲食店に啓発のチラシを配るという再発防止の取り組みを徹底することを誓うという内容で合意し、3月、和解が成立しました。そのうえで、大学は和解とは別に両親に対して弔慰金100万円を支払うということです。

 一方、学生ら18人に対する訴えについては争いが続いていて、学生らはこれまでの裁判の中で「登森さんに飲酒は強要しておらず、寝ているだけだと思った」などと反論していました。

 大阪地裁は31日、飲み会に参加していた学生ら10人について「飲酒の強要は認められなかったものの、参加者全員で一気飲みをはやしたてるコーをかけるなど、登森さんが多量の飲酒を行っていたことを認識していた」と指摘しました。その上で、「放置すれば死亡する危険のある状態に陥っていることを認識しながら、救急隊の要請などをしなかった」として、約4220万を登森さんの両親に支払うよう命じる判決を言い渡しました。

 また、飲み会の後に介抱にあたるなどした学生ら8人のうち、6人についても、救護義務違反が認められるとして、2500万円あまりを支払うよう命じました。

 この問題を巡っては、飲み会に参加した18人の学生のうち、先に帰宅した人を除いた12人について、大阪府警が19年5月、保護責任者遺棄致死の疑いで書類送検しました。そのうち9人については検察が過失致死罪で略式起訴し、大阪簡裁が罰金30万円から50万円の略式命令を出しました。

 担当弁護士によりますと、学生の飲み会をめぐる裁判で、学生らに支払いを命じる判決は1999年の熊本大学医学部漕艇部での一気飲み死亡訴訟以来のことだということです。

 コロナ禍から日常に戻りつつある中で迎える新年度を目前に、今回の判決は学生の飲酒について、改めて考えるきっかけとなりそうです。

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