【料理で使った後の油】「廃食油」が高騰 需要増えるもコロナ禍で供給減り 卵の価格にも影響

【料理で使った後の油】「廃食油」が高騰 需要増えるもコロナ禍で供給減り 卵の価格にも影響

【料理で使った後の油】「廃食油」が高騰 需要増えるもコロナ禍で供給減り 卵の価格にも影響

空揚げなどの料理で使用した後の油「廃食油」の需要が高まり、価格が高騰しています。その影響は卵の価格高騰にもつながっているといいます。

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天ぷらや空揚げなど揚げ物料理には欠かせない油。使い終わった後にどうしているか、街で聞いてみました。

「ゴミに出してます。キッチンペーパーで拭いたり」

「古い布きれとかをとっといて、それで拭いて処理してる」

「固めるやつを使って可燃ゴミで出しますね」

ほとんどの人がゴミとして処分していると答えていました。しかし、使い終わった食用油は「廃食油」と呼ばれ、今、その価値が上がってきているといいます。

大手スーパーのネット販売専門店では、先月から無料で使用済みの食用油を回収するサービスを試験的に始めました。

イトーヨーカ堂お届け事業部 太田理史さん
「ご家庭でご利用になった食用油を、私どものネットスーパーでお届けの際に回収させていただいております」

回収希望者には専用ボトルが配布され、次回配達時に回収してもらう仕組みです。回収された油は石けん、インク溶剤などの製造へ再利用されるということです。

廃食油はこれまでも様々なものに再利用されてきました。今、さらにその価値を上げているのが航空燃料です。

イトーヨーカ堂お届け事業部 太田理史さん
「SAFの原料として使うことも検討しております」

「SAF(Sustainable Aviation Fuel)」とは廃食油などを原料とした航空燃料です。従来の燃料よりCO2排出量が大幅に削減できるということで注目されています。ここ数年、日本の廃食油はこの「SAF」の製造のために海外からの需要が高まっていて、それにともなって国内市場の価格も2021年の約3倍になったといいます。

全国油脂事業協同組合連合会 塩見正人事務局長
「2021年の秋口ぐらいから突然、(廃食油の)価格が上がり始めまして、かなり高額な状態が続いています」

これに追い打ちをかけたのが新型コロナウイルスの感染拡大の影響です。

全国油脂事業協同組合連合会 塩見正人事務局長
「飲食店とかがお店をやめてしまったりとかがあって、(廃食)油の出てくる量が減ってきている」

需要が増えているのに対し廃食油そのものが減っているのも、価格高騰の原因のひとつだといいます。

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その影響は意外なところにも出ています。千葉・船橋市にある養鶏所を訪ねました。

奈良養鶏園 奈良富士男さん
「こちらがニワトリのエサに配合している油です」

卵の価格高騰が続いていますが、その卵を産むニワトリのエサにも廃食油が欠かせないといいます。

奈良養鶏園 奈良富士男さん
「体力、体の維持を補強してもらうために(油は)大事な部分になりますね」

エサに油を入れてカロリーを摂取させることで体力がつき、卵をよく産んでくれるようになるそうです。この養鶏所ではエサを廃食油と穀物などをオリジナルで配合していますが、やはり価格の高騰に頭を抱えていました。

奈良養鶏園 奈良富士男さん
「2021年から比べると(廃食油)1缶あたり5000円の価格上昇になっています。(月に)5000×4なので、2万円エサにかかる金額が上昇してしまっています」

この養鶏所では直売所で卵の販売もしていますが、6個入り1パックの値段を30円から40円ほど値上げしたということです。

 奈良養鶏園 奈良富士男さん
「うちの経営がかなり厳しい状況になっていまして、ちょっと心苦しいのですが価格改定させていただいて」

卵の値段にも影響を与える廃食油の高騰は、今後もまだまだ続きそうです。
(2023年3月17日放送「news every.」より)

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