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【解説】“落とし物”が増加 現金は都内で「過去最多」約40億円『知りたいッ!』
去年1年間の「落とし物」のうち、現金は東京都で約40億円も届けられていたことが分かりました。これは過去最多になります。
●40億円の行き先は
●現金を拾ったら?
●1000万円に申し出続出
以上のポイントを中心に詳しく解説します。
■現金の“落とし物” 都内だけで約40億円…毎日「1000万円以上」計算に
2022年の1年間に東京都内で警視庁に「落とし物」として届けられた現金の合計額は、「39億9652万4634円」と、約40億円に上ったということです。全て1万円札として計算すると40億円の重さは約400キロで、大相撲の力士3人分ほどになるといいます。
この約40億円というのは、前年の2021年と比べて約6億円増えていて、統計が残っている1940年以降で過去最多となりました。日数で割ると、毎日、1000万円以上が届けられている計算になります。1件あたりの最高額は「約3400万円」ということでした。
■拾われたお金の7割以上が持ち主に それ以外は…
届けられた現金は、その後どうなっているのでしょうか。
去年1年間に“処理”された金額は、正確には約40億円の行き先とは一致しないのですが、「持ち主の元に戻った」のが約30億円、「拾った人に引き渡された」のが約4億8000万円、拾った人が辞退するなどして「東京都のものになった」のが約5億2000万円となっています。拾われた約40億円の7割以上が持ち主に戻ったということになります。
では、どのような条件がそろえば「拾った人」に引き渡されるのでしょうか。拾得物の扱いに詳しいAuthense法律事務所・高橋麻理弁護士に話を聞きました。
重要なのは、現金を拾った時にしっかりと警察に「届け出る」ことです。この場合、「落とし主が判明しないまま3か月たつ」と拾った人のものになります。
一方で、「3か月以内に落とし主が判明した」場合は、拾った人は落とし物の価値の5~20%の間で“お礼”を受け取ることができます。お礼をもらう場合は、拾った人の「名前・住所」を落とし主に教えることになっています。また、道ばたなどではなく施設で拾った場合は、お礼の金額は施設側と拾った人で折半になります。
■現金だけでなく「物」も 多かった項目は
去年、東京都で届けられた現金は約40億円でしたが、現金だけでなく「物」も多く届けられました。その数は約371万点ということで、前の年より70万点ほど増加したといいます。
多かった物の上位3位は次のようになっています。
1位…約73万点 運転免許証・保険証などの「証明書類」
2位…約39万点 交通系ICカードなどの「有価証券類」
3位…約33万点 手袋などの「衣類」
前年に比べて落とし物がこれだけ増えている理由について、警視庁は「新型コロナウイルスの水際対策の大幅緩和や社会経済活動の再開で、人の流れが急に増えたことが要因として考えられる」としています。
■「落とし主」どう特定? SNSに写真アップで“支障”も
現金の落とし物といえば、「今年1月30日に北海道札幌市の資源ごみ回収施設で現金1000万円が見つかる」という出来事がありました。分別中の作業員が発見し、その後、上司が警察に届け出たものです。それが今、少し思わぬ事態になっています。
なんと「落とし主」を名乗る人が続々と現れ、これまでに問い合わせが14件に上っているということです。その言い分も「車の中のカバンにあった1000万円を無くした」「認知症の父母がごみと一緒に捨てたかも」「金庫から5000万円がなくなっている。自分の娘と彼氏が最近まで札幌にいたので怪しい」と様々だといいます。
では、どうやって“本当の落とし主”を特定するのか高橋弁護士に聞いたところ、一般論としては「拾った物の特徴や状況など落とした本人でなければ知り得ない情報を聞いて、それが合致するかどうかなどで判断する」ということです。
ただ、最近は拾った人が良かれと思ってSNSなどに「こんなもの拾ったので警察に届けました」など、写真を投稿するケースが増えているそうです。これだと、“落とし物の特徴”が広く知られてしまい、落とし主の特定に支障をきたすこともあるということです。
◇
今回のデータでは、去年1年間で「落としました」という届け出よりも、「拾いました」という届け出の件数の方がはるかに多いです。落とし物がかなりの確率で返ってくるという日本の良い文化を、これからも続けていきたいですね。
(2023年3月15日放送「news every.」より)
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