【福島第一原発】事故から12年 いまだ課題が多く残る“廃炉”促進と復興を目的とした施設とは
東日本大震災で発生した津波の影響で水素爆発が起きた福島第一原子力発電所では、解体して廃炉にする作業が進められています。しかし、放射線量が高い場所など、人が立ち入れない場所もあるため、ロボット等を使って遠隔操作で作業していきます。いまだ続く廃炉に向けての課題。
今回、河出奈都美アナウンサーが取材したのは福島県・楢葉町にある楢葉遠隔技術開発センターです。この施設では、福島第一原発の廃炉と福島の復興に貢献することを目的に遠隔操作機器ロボットの実証試験を行っています。
まず案内されたのは研究管理棟。そこには大きなスクリーンがありました。
楢葉遠隔技術開発センター大井貴夫センター長
「こちらはVRシステムといいまして、あたかも原子炉建屋内部にいる感じを実感できる、そういうシステムになっています」
スクリーンに映し出されている映像は、水素爆発がなかった福島第一原発2号機の事故後の原子炉建屋内を再現したものです。およそ4年かけて計測したデータになります。
スクリーンには、原子炉内の放射線量も数値化されていて、スクリーン画面右上に体験時間と、活動中に被爆している放射線量が表示されています。この表示があることで作業にかかる時間と目安を見極められるようになっているのです。
今回、特別に体験させてもらいました。実際の原子炉内は明かりがないので、照明を落としてスタート。
河出奈都美アナウンサー
「懐中電灯がつきました。確かにこうやって見ると本当にリアルですね」
通路を進んでいくと、原子炉の中心部分にたどり着きました。現在放射線量が高く、人は入れない場所です。
ほかにも、実際の作業の計画を立てやすくするために搬入したい機材を投影して動かしたり、通路や配管の長さなどを測ったりすることもできます。
続いて案内してもらったのは廃炉作業を行うロボットの試験エリアです。このエリアでは、原発事故後の原子力建屋内を模擬して、でこぼこの道や水中での作業を想定した試験を行っています。
楢葉遠隔技術開発センター大井貴夫センター長
「今年燃料デブリの試験的取り出しという重要な局面に入ります」
東日本大震災から12年経ち、ようやく集めたデータもそろい、今年にも2号機の燃料デブリを試験的に取り出す作業が始まるとみられています。
楢葉遠隔技術開発センター大井貴夫センター長
「福島第一原発廃炉の一番難しいところは、人間が立ち入ることが容易ではない場所での作業があるということです。そういう意味でロボットなどを使った作業をいかに安全に効果的に進めるかということが重要になります」
廃炉作業は30年以上続くと言われていますが、楢葉遠隔技術開発センターでは廃炉に携わる作業員だけでなく、次の世代へ受け継ぐために小学生から大学生までの若者たちを対象にしたロボット操作などの研修も行っています。
(2023年3月10日放送「Oha!4」より)
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