ネット上の“高額不正転売” 定価30倍の“1枚50万円”も…高騰の背景に“転売ヤー”(2023年3月5日)

ネット上の“高額不正転売” 定価30倍の“1枚50万円”も…高騰の背景に“転売ヤー”(2023年3月5日)

ネット上の“高額不正転売” 定価30倍の“1枚50万円”も…高騰の背景に“転売ヤー”(2023年3月5日)

 スポーツイベントなどのチケットを巡り、ダフ屋行為がいまだ横行している。そうしたなか、近年増えているのが、インターネット上での高額不正転売だ。その実態を取材した。

■警視庁「生特隊」に密着 “決定的瞬間”押さえる

 大型スポーツイベントなどでの観戦が盛り上がるなか、今、改めて問題となっているのが、ダフ屋行為をはじめとするチケットの不正転売だ。

 1月、東京・国立競技場で行われた大学ラグビー選手権の決勝戦。多くのラグビーファンが会場に足を運ぶなか、いまだ横行しているのが、チケットを売り買いするダフ屋行為だ。

 会場の最寄り駅前にたたずむ、怪しい男たち。群衆から、ダフ屋を摘発すべく目を光らせているのが、警視庁生活安全特別捜査隊、通称「生特隊」だ。

 この日、3人体制で取り締まりを行っていた。

 捜査員:「売る時は離れますから、場所」「会場方向に全員、移動し始めました。追えるところまで追いましょう」

 ダフ屋行為は、各都道府県の迷惑防止条例違反に該当し、逮捕することができる。

 男らは、去年10月にもダフ屋行為を行っていて、常習性があるとして「生特隊」がマークしていたのだ。

 そして、捜査員が決定的瞬間を押さえた。ダフ屋の手から、違法転売のチケットが購入客に手渡された瞬間だ。

 捜査員:「やつら、見ておいてもらっていいですか。もし動いたら追い掛けてもらって。私ら、お客さんに声掛けますんで」

 チケットを購入した女性に話を聞いた。

 捜査員:「すみません、ちょっと警察なんですけれど」
 チケットを購入した女性:「はい」
 捜査員:「さっきのおじさん、行為自体がダフ屋行為といって、違反なんですよ。だから、我々警察はね、今捜査していまして、ご協力いただいているんですけれど」
 チケットを購入した女性:「あ~良かった」
 捜査員:「いくらのチケットですか?」
 チケットを購入した女性:「5000円です」
 捜査員:「それをいくらで?」
 チケットを購入した女性:「3500円です。最初4000円と言われて、値切って。1人3500円で」
 捜査員:「じゃあ定価より安くあれかな、分かりました。ああいうおじさんは違反なんで、今後は気を付けてもらって」
 チケットを購入した女性:「すみません、ありがとうございます」

 観戦目的で、ダフ屋から買っただけでは、罪には問われないが、捜査員はダフ屋撲滅のため、購入する側にも注意を促した。

 捜査員:「本来は、これでお客さんに協力を得て、現行犯逮捕でもいいんですけど、彼らは否認するというのと、常習性の裏付けをとるという意味で、きょうは捜査をすると」「(Q.否認しても捕まえたいからということですか?)そうです。証拠をそろえたうえでですね、現行犯逮捕じゃなくて、(通常逮捕)という形ですね」

 この日、「生特隊」は男らの行動確認や内偵捜査を進めるにとどめた。

■東京 常習の場合“1年以下懲役か100万以下罰金”

 9日後の1月17日午前8時半ごろ、ダフ屋行為を共謀した男らの同時逮捕に踏み切るという。

 不特定の者に転売する目的でダフ屋行為を行ったとして、栃木県宇都宮市に居住する無職の男(75)を逮捕した。男は容疑を認めている。

 また、同じダフ屋グループで、国立競技場付近で女性にチケットを売っていた、横浜市に居住する無職の男(72)も逮捕。男は容疑を否認している。

 さらに、もう1人を逮捕したが、起訴猶予となった。

 東京都内でダフ屋行為が行われ、常習の時には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる。

■チケット1枚50万円 “定価30倍”で不正転売も

 一方で、こうしたチケットの不正転売で、現在、主流となっているのがインターネット上での不正転売だ。いわゆる「転売ヤー」の実態に迫った。

 実際にチケットを調べてみると、このように50万円など高額で転売されている。

 来週8日から開催されるWBCを直前にして、インターネット上で横行しているのが、チケットの不正転売だ。

 中には、定価1万6000円のチケットが、1枚当たり50万円と、30倍の高額で不正に転売されているケースもあった。

 ネットでのチケット転売については、2019年6月に施行された「チケット不正転売禁止法」により、犯罪行為として摘発することが可能になったのだが…。

 日本野球機構・加賀山昭宏事業本部長:「去年の日本シリーズでは、把握できているだけでも、チケットの不正転売は4000件を超えていました。把握できていないものを含めると、それ以上の数が転売されていると考えられます」

■「軽い気持ちで…」高騰の背景に“転売ヤー”

 こうしたチケットの高額転売は、なぜ後を絶たないのか?

 定価1万円のチケットを10万円の高額で購入したことがあるという男性は…。

 チケットを高額で購入した男性(20代):「そもそも、倍率が高くて全然当たらない時とかは、ただ(会場に)入りたいからっていうので買うってことが多いですね」

 一般の人がチケットを手に入れにくい背景に、まさに「転売ヤー」とも呼べる業者や個人の存在が…。番組では以前、チケットを不正転売したという人物に話を聞くことができた。

 チケット不正転売経験者(20代):「最初は、同行しようとしていた友達が新型コロナになって空席になるので、空席作るくらいなら直前に行きたい人に席を譲ってあげようかなと、始めて。そこから段々という感じですね」

 軽い気持ちで手を出したというが、次第に高値で売れ、小遣い稼ぎになると数回にわたり転売したという。

 チケット不正転売経験者:「最低金額を提示して、オークション形式じゃないですけど、その中で一番条件がいい人に売ったりしています。自分は(定価1万円を)8万円くらいで取引したことがある」

■自動プログラムで…“買い占める業者”も

 中には、チケットの転売が数回繰り返されることで、チケットがより高額で取り引きされるケースもあるという。

 さらに、個人ではなく、不正転売を行う業者も横行しているという。

 チケット不正転売経験者:「集団でチケットをたくさん集めて、それを高値で売りさばいている人たちもいるみたいですね」

 コンピューターの自動プログラムを使って申し込みを行い、チケットを買い占め高額で転売する業者もいるという。

 こうしたネット上の不正転売に、業界団体は危機感を強めている。

 加賀山事業本部長:「チケットを取ろうとしているのに取れず、売り切れた直後から転売サイトでチケットが定価の何倍もの価格で販売されている。不正転売は、本当に野球を観たい方が正規価格でチケットを手に入れることを妨げ、ファンの皆様に公平、公正に試合観戦を楽しんでいただく機会を妨げます」

■チケット高額転売の法規制 禁止行為は?

 オークションやインターネットなどでの高額転売の問題について詳しくみていく。

 競技場などでのダフ屋行為とは別に、インターネット上でのチケットの不当な高額転売については、各都道府県の条例では取り締まることができなかったため、2019年6月に「チケット不正転売禁止法」が施行された。

 そこで禁止されている行為としては、特定興行入場券と呼ばれるチケットを不正転売すること、そして、チケットの不正転売を目的として譲り受けることだ。

 この「不正転売」とは、興行主に同意を得ず販売価格を超えて転売することで、違反した場合には、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、または、その両方が科される。

 この特定興行入場券のチケットとは、販売に際し「興行主の同意のない有償譲渡を禁止する旨を明示し、その旨が券面に記載されていること」「興行の日時・場所・座席が指定されたものであること」、そして「購入者の氏名・連絡先を確認したうえで販売されたものだと券面に記載されていること」。これらのいずれにも該当し、かつ不特定または、多数の者に販売される芸術やスポーツイベントなどもこうしたチケットに含まれる。

■高額転売の出品者がいた場合は…?

 では、私たちがチケットを購入していて、急きょ行けなくなった場合にどうすればいいのかというと、チケットを希望する方へ公式のリセールサイトを利用し、定価で転売することが可能だという。また、チケットの払い戻しに対応しているところもある。

 こうしたネット上でのチケットの高額不正転売に関して、適正なチケット流通のために、警視庁は業界団体と協力協定を結んでいる。

 チケット適正流通協議会の野村達矢代表幹事は、「もし高額転売の出品者がいた場合、警察と連携し、出品を取り下げるよう警告し、転売目的でチケットを購入している人の動向を警察と共有し、ブラックリストを作って購入されないように努める」と話し、本当にアーティストを応援してくれる人のもとにチケットが届いてほしいと思いを話してくれた。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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